改良
数十分後。
「ところで、この船に正規パイロットっているんですか?」
戻ってきた技術者が、改良図案を広げながらそう聞いた。
「一応、36式のパイロットならいたはずっすよ」
「なら大丈夫ですね。操縦系統はほとんど変わっていないので……それで、これが改良図案です」
机の上に広げられた図案は、ぱっと見ではどこが変わっているかわからなかった。
「……どこが変わってるんです、これ?」
「着地用の圧縮酸素タンクが残ってたので、これを流用して脚部に取り付けることで、地面を高速で滑れるように——いわゆる、スノーモービルにします」
「ああ、なるほど。だから足の裏にスキーみたいな構造が……」
翔が、図案の足を指しながら言う。
確かに、足の裏にはスキー板のようなパーツが描かれていた。
「ええ。これは、もともとタンクを収納していた場所の装甲板を流用します。あの程度の装甲板なら外しても問題ありませんしね」
「それで、この改良で機動性はどれくらい上がるんすかね?」
「実験をしてないので、定かではありませんが……30%は機動性を改善できるかと」
「30%も!」
「はい。まあ、雪上に限るんですけど……」
「この大雪なら問題ないってことっすね」
「その通りです」
「……やってみますか!」
「ですね!」
『艦長や司令に指示を仰がなくてよいのですか?』
「まあいいっしょ」
「武装は36式の物を流用しましょうか」
「この船にあるのはマシンガンと……あとバズーカくらいっすかね」
「バズーカなんてあるんですか! 凄いですね……ロマンだ」
ツバキは、エンジニア二人組を呆れたような表情で眺めていた。
***
WVR-0は生まれ変わった。
白い塗装はそのままに、試作機であるためにそこかしこに張られていた黄色と黒のボーダーステッカーをペンキで塗りつぶし、すべてを白く。
所属がわかりやすいよう、左肩に取り付けられた盾には「海上自衛隊」と書いた。
全体的にすらっとしたそのプロポーションはそのままに、足元にはスキー板のように加工した鉄板が取り付けられている。
各部にブースターを追加することで、機動性も増加。
最も、これらは着地の際に利用する圧縮空気タンクを使用した物と同じ物であるため、ほぼ使い切りとなっている。
一応、背中にいくつかのタンクを背負い、パイプでブースターとつなげているため、いくつかのパイプが外に露出している形となる。
『このパイプ、機動性に影響は出ないんですかね、オーナー』
「大丈夫……なはずだが。ま、中身は空気だから、壊れたとしてもそこまで影響はないし、最悪ぶっ壊れても問題ない」
『そうですかねぇ……』
ツバキは、訝し気に翔を見ながら、つづけた。
『まあ、それはいいです……。ですが、もう一つ問題があります』
「問題?」
『はい。今、3Dスキャンをしたんですが――色々仕様を変えたせいで、ピーキーな機体になってませんか? これ』
「……よくわかったな」
『私は最新機ですからね、一応』
「まあ、そこのところは問題ない……操縦者は人間じゃないし」
「人間じゃない?」
「そ。まあ、つまるところ――ツバキ、君に乗ってもらうってことだ」
『……なるほど。それでしたら、性能のピーキーさは問題になりませんね』
「そういうことだ」
『私は超高性能ですから』
「自意識過剰だな……否定はしないが」
「加原重工が誇る最新鋭機ですからね、RIV-43は」
突然、後ろから声がかかり、翔は軽く飛び上がる。
振り向くと、そこには、少し離れていたはずの加原重工の技術者が立っていた。
「びっくりした……いつの間にそこに?」
「今の間に。少し、物を作っていましてね」
「物?」
「はい。WVR-0に関する改良用部品です」
そう言って、彼は何やら機械を服から取り出した。
「これは……」
「面白かった!」
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