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準備せよ


「司令ー。司令ー? 『いずも』から通信でーす。おーい。起きろ馬鹿ー」


直樹が、司令室の扉を叩きながら中のさくらにそう呼びかける。


「きみ、上官あいてにそのいいかたはないとおもうぞ」


さくらは、寝ぼけ眼をこすりながら、扉を開いてそういった。


「そんなのどうでもいいですから」

「どうでもよくはないぞ」

「『いずも』から通信が来ました。一度、護衛艦隊を東京湾沖で結成するそうです」

「無視辞めてよ……まぁOK、OK。『いずも』は無事だったんだね」

「運よく出港してましたから」

「そうだったね……あっ、そうだ。第八護衛隊群の他の艦はどうなった?」

「さぁ。多分、まだ横須賀基地に……」

「『しなの』と違って穴が開いてないんだよな? 多分」

「多分そうでしょうね」

「そうすれば、人数さえいれば奪還できそうだな……じゃあ私はもう一回寝る」

「駄目です。仕事してください。ただでさえ人手足りねーんですから」

「えぇー……仕方ないなぁ。じゃあ事務作業を……」


閉めようとした扉をがっちりとつかみ、引っ張り戻す。


「今、事務仕事なんてないでしょう? もしあったとしてもやっている場合じゃないし」

「私は疲れたの!」


そういいながら、彼女は両手で扉を引っ張り、閉めようとする。


「うるせえさっさとこいください」

「なんだその敬語!」


直樹は扉を片手で押さえながら彼女の襟首をひっつかむと、そのまま外に引きずり出した。


「力つよっ!」

「まあ男ですから。さぁ、肉体労働の時間でーす!」

「嫌だっ! というか何やるの!?」

「装備確認と修理です」

「群司令の仕事じゃねーだろそれ!!」

「人手不足だってんだろボケ!」


言いながら、直樹はさくらを引きずっていった。


***

――「しなの」格納庫。


「脚部のジョイントがやられちゃってる。さすがにパラシュートなし降下は無理があったんじゃ……」

「いや、それはないです! これはパイロットの問題です! わが社の機体に不具合はありません!!」

「すごいな自信が」


つぶやきながら、翔は格納庫に転がされたWVR-0の脚部関節を覗いている。

36式と部品規格自体は同じようだが、規格が同じとはいえ性能は違うだろう。

おそらくだが、信頼性では36式用部品の方が高い。

しかし、純粋な性能ではWVR-0の圧勝だろう。


「まあ、この船には36式の部品しかないんだが」


彼は思考を打ち切ると、WVR-0の脚から地面に飛び降りる。

そして、開きっぱなしのハッチからコックピットを覗いて、言った。


「全天モニターか」

「ええ。理論上、180°全方向を見ることできます」


いつの間にか後ろに立っていた加原の技術者が、そう説明した。


「こっちの小さいモニターはレーダーですが、デザインのせいでアンテナがちょっと……あれなんで、性能はまぁ……」

「低いんですか」

「低くはないです! 低くはないですが……まぁ高くもない……」

「普通ってことっすか?」


技術者は、ばつが悪そうにしながら、歯切れの悪い様子で答える。


「まぁ……はい」

「なんで性能じゃなくてデザインを重視したんすか……」

「試作機なんで」

「試作機だとしてもおかしいでしょ」

「……」


彼はぐうの音も出ない、というような顔をしながら、あー、と小さな声を出して、一拍置くと、再度話し始めた。


「そ、そんなことよりも、ジョイントを取り換えましょう。あと――ちょっと改良できそうな内容を思い出したので、ちょっと考えてきます」


そういうと、彼は目をそらしてすたこらさっさと逃げていった。


「思いついたじゃなくて、思い出したなんだ……」

『どうでもよくないですか、それ?』

「うっわびっくりした!」


突然、後ろから話しかけられ、驚いたように飛び上がる。

見ると、そこにはツバキが立っていた。

彼女のレンズアイが、キュイーンという音を鳴らしながらジトっとした目で翔を睨んでいる。


「ど、どうした?」

『部品を持ってきましたよ。ここに、置いておきますね』

「あ、ああ……ありがとう。いつの間に聞いてたんだ、さっきの会話……」

『私はあなたのポケットに盗聴器を忍ばせていますから』

「ほんとにいつの間に!? ……ところで、あなたってなんか他人行儀だな」

『急ですね。じゃあなんとお呼びすれば?』

「……オーナー?」

『初期設定のまんまじゃないですか。まあ、わかりましたよ。オーナー』

「トークロイドの二人称って初期設定オーナーなんだ。知らなかった」

『技術者のくせになんで知らないんですか』


ツバキは呆れた、というような表情で翔を眺めている。

翔はそれを無視して、ツバキが運んできた部品を手に取り、WVR-0に向き直った。


***

数十分後。


「ところで、この船に正規パイロットっているんですか?」


戻ってきた技術者が、改良図案を広げながらそう聞いた。


「一応、36式のパイロットならいたはずっすよ」

「なら大丈夫ですね。操縦系統はほとんど変わっていないので……それで、これが改良図案です」


机の上に広げられた図案は、ぱっと見ではどこが変わっているかわからなかった。


「……どこが変わってるんです、これ?」

「着地用の圧縮酸素タンクが残ってたので、これを流用して脚部に取り付けることで、地面を高速で滑れるように——いわゆる、スノーモービルにします」

「ああ、なるほど。だから足の裏にスキーみたいな構造が……」


翔が、図案の足を指しながら言う。

確かに、足の裏にはスキー板のようなパーツが描かれていた。


「ええ。これは、もともとタンクを収納した居た場所の装甲板を流用します。あの程度の装甲板なら外しても問題ありませんしね」

「それで、この改良で機動性はどれくらい上がるんすかね?」

「実験をしてないので、定かではありませんが……30%は機動性を改善できるかと」

「30%も!」

「はい。まあ、雪上に限るんですけど……」

「この大雪なら問題ないってことっすね」

「その通りです」

「……やってみますか!」

「ですね!」

『艦長や司令に指示を仰がなくてよいのですか?』

「まあいいっしょ!」

「武装は36式の物を流用しましょうか」

「この船にあるのはマシンガンと……あとバズーカくらいっすかね」

「バズーカなんてあるんですか! 凄いですね……ロマンだ」


ツバキは、エンジニア二人組を呆れたような表情で眺めていた。

「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


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