陰謀の香り
東京某所——
タワーマンション。
「雪はやみそうにないな、村雨君」
恰幅のいいスーツを着た男が、吹雪が降り注ぐ東京を見ながらそう言った。
その後ろに立っていた、スーツ姿の女性がそれにこたえる。
「はい。気象庁によると、28日の――」
しかし、言い切る前に、男がそれを制止する。
「いや、そのようなことを聞きたいわけではない。君は有能だが、面白くないやつだな……」
咥えたタバコに火をつけながら、さらに続けた。
「それで……あの資料は手に入れることができたかね?」
「はい。データの入ったUSBメモリは回収しましたが、どうやらデータが欠損している模様です。現在、残りの情報を持つ者を捜索中です」
「なるほど……どれくらいで、見つかりそうかね?」
「この吹雪が終わるまでには」
「そうか……やはり君は有能だ」
男は、タバコを灰皿に押し付ける。
「あの技術を手に入れ――日本をワシのものにするまで、そうそう隠居する気はない」
そうとだけ言うと、男は女の方に振り返った。
「しかし、隠居したら、第一線はお前に張ってもらわにゃならん。いいな?」
「はい」
「よろしい。素直な奴だ……お前が政治にかかわっていると知ったら、亡きお前の父……村雨元総理も喜ぶことだろうな」
「……ええ。そうですね。沼田幹事長」
雪は、さらに激しくなっていく。
まるで、東京全体を隠してしまうかのように……。
***
「村雨?」
「はい。先ほど逮捕したクーデターの被疑者がそのような名前を……」
「具体的にはどんな証言だ」
横須賀警察署。
先ほど、結城達から引き取った異世界人の容疑者の取り調べが行われていた。
そして、それで得た証言について、刑事課の担当刑事たちが話しているのである。
「何でも、彼女は加原重工のインターンらしく……祖国のために、このクーデターに協力すべきだと、村雨と名乗る女に言われたそうです」
「ふーむ。なるほど……村雨か。珍しい名字だな。下の名前は」
「知らないと……」
「そうか……よし、都内の前科者を洗い出せ。有名人もだ。政治関係者も含めろよ、当然な」
「了解!」
刑事課は、猛吹雪の中動き始めた。
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