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出港せよ

護衛艦「しなの」格納庫。


「俺の愛機がーっ!」


そう叫ぶ第一航空隊の隊員の前には、無残な姿になったF-35Cがあった。

あちこちが銃創まみれになり、羽根は折れ、フラップはひしゃげ、両翼から取り外されて格納庫の床に捨てられている。

キャノピーはまんべんなく割られており、座席はズタズタに切り裂かれていて、電子機器に至っては基盤や銅線、半導体などが引っ張り出され、ぶちまけられている。

また、後部のジェットエンジンには鉄パイプが突っ込まれており、周りにはネジや歯車が散らばっていた。


「ここまで……ここまでするか……!?」

「絶対に修理させないって意思を感じるな……」


と、その時、格納庫の別の場所を見ていた隊員が走ってきて、声を張り上げる。


「駄目だ! 乗り物という乗り物は、戦闘機から装甲車、自転車からエアロバイクまで全部ぶっ壊されてる!」

「エアロバイクって乗り物のカテゴリに入るの!?」

「破壊されてるってことはそうなんだろ」

「そ、そういえば、俺たちのスマホは!?」


ほかの隊員がそういうと、また別の隊員が言った。


「こっちにあったぞ!」


言ってみると、隊員から奪われ、集められたスマホがSIMカードを抜かれた状態で転がされている。

そして、近くには炭……SIMカードだったものの山があった。


「SIMカードを焼くってなんだよ……!」

「あいつらもうめちゃくちゃだ」


と、その時、整備員が一人駆け込んでくる。


「確認してきました! 電信室、CIC、CATCC、艦橋、すべての通信機が壊されてます!」

「絶対に援護を呼ばせないつもりだな……SH-60Kは!」

「エアロバイクすら壊した連中が見逃すと思いますか? エンジンすら動きませんよ」

「くっそあいつら全部ぶっ壊していきやがった! これじゃあ取り戻した意味ほとんどねえじゃん!」

「艦載兵器は使えるから……」

「そんなのどうでもいいわお前ら! 動きそうな機体探してこい! 修理するぞ!」


そう、歌宮機関長が整備員たちを一喝した。


「機関長!」

「どした!」

「田中二曹の自転車なら直せそうです!」

「自転車直してどうすんねん! 飛行機探せ飛行機!」


***

甲板。


「ひー、寒い。ゼロの中は暖房が効いてたからなぁ……」


WVR-0のモーションキャプチャーアームを自分の腕から外すと、ヒカリはそうつぶやく。

WVR-0はもちろん、すべてのWWVはフットペダルとモーションキャプチャーアームによって操縦する方式だ。

フットペダルで下半身、モーションキャプチャーアームを腕につけることで、WWVの腕を操作する。

これによる直感的な操作方式が、WWVを普及させた要因の一つである。

二足歩行型WWVが普及したのは神水大震災からだが、それ以前の多脚型WWVもこの操縦方式であるため、多脚型WWVの普及していた市場で二足歩行型が普及したのも、これのおかげと言える。

閑話休題。


ヒカリはコックピットの中にあるハンドルをひねり、WVR-0のハッチを開くと、吐いた息が白く染まっていた。

そして、ため息をつきながら座席の横に保管されていた折り畳みのはしごを引っ張り出す。

多くのワーカーは高さ3〜6mほど。

そして、WVR-0は高さ5.8mとワーカーの中でも高身長の機体であるため、コックピットは高さ5mほどの位置に存在しており、降りるためにははしごが必須なのだ。

はしごを下り、ふわふわした新雪を踏む。


「さっきよりも吹雪が激しくなってる……」


そうつぶやきながら、スマホのニュースを見た。


――大寒波、26日深夜に最大勢力、27日、28日にかけて回復に転じる模様 - 気象庁


これは、まだまだ強くなるな。

寒波に肩を縮め、艦内へ向かって歩きながら、彼女はそう思った。


――しかし、あの機体には私の発明が使われていたな。バッテリー切れでもう動かないが……。


歩きながら、彼女は、自分の発明がしっかりと使われていることを少しうれしく思う。


――北風式リチウムポリマー二次電池。

通常「北風電池」または「北風バッテリー」と呼ばれる先進的バッテリーである。

北風博士が2025年に実用化したバッテリーであり、従来のリチウムイオン電池と比べて高い安全性、軽量性、エネルギー保存量を誇る。

この電池の出現は世界に衝撃を与え、これなしではトークロイドの実現はなかったとまで言わしめた。

現在、あらゆるロボットが発展し、普及し、利用されているのは、この電池の実用・量産化が深くかかわっている。

この電池に使用されている技術は「先進的ポリマー技術」と呼ばれる技術であり、これは北風博士が考えた先進的なポリマー化技術であるが、その解説は長くなるので、またいつか。


「……」


ふと、空を見る。

激しい雪が降り落ちる中、「しなの」のレーダーマストが見えていた。


***

一方、船倉。


――よし、これで十分か。


潜水服を着た翔は、大穴をふさぐように貼られた板を見ながら、心の中でそうつぶやいた。

ハンドサインでほかの作業員たちに知らせながら、泳いで上へあがる。


「よーし、ポンプを動かしてくれー」


ヘルメットを開きながら、そう言った。

ハッチからは排出用ポンプのホースが水中へとつながっており、ポンプの電源がつけられると水が吸い上げられていく。

このホースは甲板までつながっており、海水を排出する。

本来の排水システムは故障していたため、このような方法をとるしかなかったのだ。


***

数分後、艦橋。

部下からの話を聞いていた直樹が、さくらの方を見ていった。


「司令、修理と排水が終了しました。さすがに全速は無理ですが、両舷前進微速ならなんとか……」

「よし、なら早く出発しよう。敵の援軍がこんとは限らんからな」

「了解。出港準備! 前部員、錨鎖上げ方!」


「しなの」の錨が、ガシャガシャと金属音を鳴らして引き上げられていく。

やがて、起き旗が掲げられた。

それを確認すると、直樹は号令を下す。


「両舷前進微速!」

「両舷前進びそーく!」


「しなの」は、ゆっくりと進み始めた。

また、甲板では停止したWVR-0が艦上クレーン車を使ってエレベーターに運ばれている。

一度、格納庫に入れるつもりなのだろう。

全高が高いために引きずる形となっているが、雪が積もっているおかげかあまり問題はなさそうだ。


「……東京湾から出るのに時間がかかりそうだな」

「そりゃ微速ですしね。ただ――」


直樹は降りしきる雪を見る。


「この猛吹雪です、港から離れたら目視はできなくなるでしょう。レーダーはいけますが……」

「ECM使えばいいじゃん」

「あ、確かに……」


「しなの」はほかの護衛艦と同じく電子戦装置が搭載されている。

これを起動すれば、少なくともレーダーに映ることは無くなるはずだ。


「ところで、あれはどうします?」

「あれ? ああ、あのヘリね……」


上を飛んでいるサンダーホークを見ながら、さくらはそうつぶやいた。


「とりあえず電話かけて、今後について話しますか」


「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


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