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白い外


外。

暴風雪が吹き荒れる中に、四人が現れる。


「寒っ!」

「そりゃこの大寒波ですしね!」

「早く車に行こう」

「私はダンジョン内に戻ります」

「ああ、わかった」


アイはもう一度光り、消える。

激しい雪の中、残された三人は車へと向かった。

何とか車にたどり着くが、豪雪は車の上につもり積もって、とても動けそうになかった。

もとより走る予定はないとはいえ、これでは車がつぶれてしまってもおかしくない。

上の雪を何とかおろし、三人は車に乗り込んだ。


「ふぅ」


結城が一息つきながら、エンジンをつける。

セルモーターの音とともに、車内がにわかに揺れ始めた。

エアコンが起動し、温風が吹き始める。


「こんなところにとまってたら、雪に埋まっちまう。立体駐車場に行こう」


そういって、結城はシフトレバーをドライブに入れ、アクセルを踏み込んだ。

エンジン音がにわかに大きくなり、車は雪を押しのけて走り始める。

ハンドルを右へ切り、車は雪に埋まった道路へ入った。


「そうだ、向こうにも移動すること連絡しといてくれ」

「あ、はい。……あそこ、電話つながるんですかね。北風博士」

「私に言われてもね。初めて見た魔法だし……。でも、転移魔法が使えたんだし、電話も使えておかしくないんじゃないか?」

「そうですか……とりあえず、電話はかけてみます」


スタッドレスタイヤは雪を押しのけ、車はゆっくりと進む。

いや、実際にはそこそこのスピードが出ているのだが、雪や周りの景色のせいで非常に遅いように思えてしまうのだろう。


「……電話かけるとは言いましたけど、残った人たちの電話番号知りませんね」

「まじかー……あのー、何だっけ? 木村さんの電話番号が俺のスマホに入ってるから、それ使って」

「いつの間に電話番号を登録してたんですか……」


言いながら、和佳奈は結城のスマホを奪い、電源をつけた。

スマホの画面がパッと光ると、何かに気が付いた和佳奈が言った。


「これ、5%しか充電ありませんよ!?」

「あぁ、車に充電器あるから大丈夫だよ。まぁ、コードの長さが短いから電話はその充電でどうにかして」

「えぇー」


そういいながらも、和佳奈は電話アプリをタップする。

スクロールし、登録された電話番号を押すと、短調な呼び出し音が鳴り始めた。


「雪が激しくなってるね……」


北風がそういった。

しかし、誰もそれに対して言葉を返さない。


「……雪に包まれた静寂の車内。まるで冷たい社会の中のひと時の安息みたいだね」

「え、えぇ……そうっすね」


結城はそういいながら、ハンドルをゆっくりと切った。

車体は雪を押しのけ、進んでいく。


「……静かでいいねぇ。小学校のことを思い出せる」

「……そうですね」


――だいぶうるさいけどな、雪の音で。

そんなことを和佳奈は考えるが、無粋なので言わなかった。


「……こうしてると、小学校とかの子供のころに帰りたくなるね。雪ではしゃげていたあの頃に……」

「……」

「……ずっと何言ってんだこの人」

「吹雪の雰囲気にあてられてんだろ」

「正解」


その時、電話がつながった。


『はいもしもし!?』

「あ、木村さん? 私ですけど……」

『ああ! 何!?』


電話の向こうでは、何やら衝撃音が響いてきている。

駆ける足音もあり、何かから逃げているのだろうか?


「ちょっと待ってください、そっちでは何が起こってるんですか?

『え!? ああ、ちょっとねーーあぶねっ!』


爆発音。

何かが散らばるような音とともに、足音がさらに激しくなる。


『とりあえず用件だけ言って!』

「あ、はい……車を立体駐車場に移動させようと思って」

『OK!』

「あの、本当にそっち何が起きてるんですか?」

『それは――』


その時、通話が切れる。

否、スマホの充電が切れたのだ。

画面を見ると、バッテリーのマークが表示されている。


「あ、充電が」

「そこにコードあるから充電しといて」

「はい……しかし、何が起きてたんだろう?」


と、その時、後部座席の北風がつぶやいた。


「ん……? 何だろう、あれは」


雪の奥から、影が向かってきているのが見えた。

「面白かった!」


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