作戦会議
『再起動が完了しました。……今は一体どういう状況ですか?』
コンビニエンスストアの駐車場。
再起動の終わったツバキが、そう聞いた。
車内の暖房で暖まりながら、翔がこれまでの出来事を説明する。
直樹、さくら、アイも後部座席に移動し、逆に和佳奈は助手席に移動していた。
『なるほど……では、これからどうするのですか?』
「どうしようかねぇ……」
さくらがそう言った直後、エンジン音が止まった。
それと同時に、電気と、暖房も切れる。
「あれ、エンジンが……」
そういいながら、結城はエンジンスイッチを押し込む。
しかし、スターターの動く音さえ聞こえない。
「さっきの衝撃で壊れたのか……?」
「自分が見てみますよ」
そう言って、翔が車の外にでる。
そして、車のボンネットを開けようとした。
先ほどの衝撃でひしゃげており、簡単には開かない。
工具でそれをこじ開けると、エンジンの状況を確認し始めた。
「で……いったいどうするんですか?」
包帯を巻かれたアイがそう言う。
先ほど吹き飛ばされた時に怪我をしていたため、結城が応急処置をしたのだ。
「う~ん……いったん、目的を纏めようか」
「メモ帳にまとめるか」
そう言って、結城がさくらにメモ帳をわたす。
***
「まず主目的についてだが……」
「これは『在日米軍の反乱を収める』ですかね」
「まぁそうだろうな。あとは――『反乱の原因を調べる』とか?」
「不満が募ってたのはわかりますけどね……ちゃんとした原因がわからないと」
さくらは、メモ帳に「反乱を収める」、「原因調査」と書き込んだ。
「とにもかくにも情報だ。情報。書き込んでくれ」
「はいはーい」
先ほど書いた文言の下に「とにもかくにも情報」と書き込む。
『あとは武器ですね。我々の持つ武器は、私に体内保管されてる拳銃だけですし。ほかの武装は、整備用に取り外されちゃいました』
そういうと、ツバキは自身の体内から拳銃を取り出した。
自衛隊用の9mm拳銃。ごくごく一般的なもので、少なくとも人間相手ならデウス・エクス・マキナにもなりえるだろう。
ただ――それも、相手が少人数の時だけだ。
ツバキは、人間に比べてはるかに高い命中精度と、はるかに高い連射速度を持つ。
しかしそれでも、相手が多人数なら、9mm拳銃だけでは対処できないのは間違いない。
もっと、強力な武器が必要だ。
「おーけー、武器ね」
さくらは「武器」とメモ帳に書き込む。
「しかし、武器か……どこで調達する?」
「医療用メスならあるけど」
「それは武器じゃないだろ」
直樹からの正論を聞き、結城は「うっ」という声を漏らす。
「まぁー……あとは人手だな。六人……いや、七人ではいささか心もとないです。相手の量はわかりませんが、十人を超えてるのは間違いないですし……」
直樹がそういうと、結城が言う。
「じゃあ私が知り合いに連絡しようか」
そして、スマホを取り出した。
それとほぼ同時に、さくらが「人手」とも書き込む。
「あ、スピーカーで話すから黙っててね」
「なんでスピーカー……?」
プルルルル、プルルルルと呼び出し音が響く。
『はい、二階堂です。なんすか?』
電話の向こうからは、女性の声が聞こえてきた。
「なんすかって……先輩にそんな言葉使いだけでしょ」
『あんたが先輩だったの、何年前だと思ってんですか』
「五年前」
『覚えてるんかい。……まあいいや。なんの用っすか?』
「来てくれない? こっち。一時間以内に」
『こっちって?』
「東京」
『東京!? え、ちょ、東京!!?』
「うん」
電話の向こうの女性は激しく混乱しているらしい。
『え、私が今いる場所わかります!?』
「さぁ」
『神水市っすよ! 神水市!!! 宮葉県!! どこにあるか知ってます!!?』
「近畿地方」
『そうだよ!!! 近畿地方から東京まで、一時間以内に行けるわけないでしょ!! 東京行の飛行機も全便欠航してるし!!』
「え、そうなの」
『そりゃそうでしょ! 大寒波と米軍反乱、これで欠航してなかったら逆におかしいわ!』
「確かに」
『はぁ……もう切りますね』
電話が切れた。
「……協力者ゲットできたね!」
「できてないでしょ」
和佳奈がそういうと、結城は黙り込む。
それとともに、さくらが話し始めた。
「まぁ、人手の収集は後でもいいでしょ。最悪、なくてもいいし……」
「それはそう」
「でー……やるべきは、情報収集かな」
「情報収集って、どこに行くべき――」
「エンジン直りましたよー」
そういいながら、翔が乗り込んでくる。
それを聞いた結城がエンジンスイッチを押すと、すぐにエンジンがかかる。
暖房が動き出し、車内の光が付いた。
と、その時。電源の付いたヘッドライトが照らした先に、怪しい人影が見える。
人影はこちらが気が付いたことに気づき、近くの車に乗り込んで逃げていく。
「あ、あれは?」
「とりあえず追おう! 怪しすぎる!」
「はいはい!」
結城がアクセルを踏み、駐車場から急発進した。
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