戦闘、脱出。
「ミサイル感知! 新たに4発!」
「対空戦闘、CIC指示の目標! シースパロー、攻撃はじめ!」
「シースパロー発射用意よし!」
「発射はじめ! ってーっ!」
VLSが開き、中から発射したシースパローが、目標の方向へ飛んでいく。
「インターセプトまで10秒! 10、9、8、7、6、5、4、3、2、1……ターゲット、マークインターセプト!」
レーダー画面上で、ミサイルの表示が消える。
「ひとまずは大丈夫か……」
『こちら艦橋右ウィング! 陸から戦車が! 米軍のM1エイブラムスです!』
「エイブラムスぅ!? なんでそんなもんが日本にあんのさ!」
「知りませんよ! 転移前、秘密裏に持ち込んでたってことじゃないんすか!?」
「そんな馬鹿な! メインモニター、舷門のカメラを!」
「は、はい!」
CICのメインモニターに、艦内から舷門を映すカメラ映像を流す。
舷門が吹き飛ばされ、米軍戦車と多数の兵士が格納庫に駆け込んでくると、あちこちに展開し始めた。
「……まずいぞこれは。相手の数が多い。停泊中だったことが裏目に出たか……CICを最終防衛ラインに設定! 隊員を集めろ!」
さくらがそう命令を下した。
***
敵兵は階段を駆け上がり、CICや士官室、作戦指令室のある第2甲板になだれ込んでくる。
奴らはCICを狙っているようで、上層――艦上構造物が位置し、飛行甲板として利用される第一甲板――への階段には目もくれない。
CICへつながる通路には適当な家具を積んで防衛拠点を築いているが、相手は艦内とか関係なしに爆発物を使ってくるので、通常銃器だけでは心もとない。
「士官室防衛陣地陥落!」
「防衛線を縮小! 再度構築し直せ!」
CICには大勢の隊員が集まっており、ほとんどが武器を持っている。
当然、さくらや直樹、翔も銃を持っていた。
出入り口前の通路にはMNIMIによる機関銃陣地が構築されており、簡易バリケードで敵の侵入を防ぐ。
ただ、モニター越しに見える艦内の映像では、敵はロケットランチャーや手りゅう弾をこれでもかと使用し強行突破してきているため、あまり意味をなしていない。
「防衛陣地が続々と陥落してるな……まぁ、人も武器も少ないから仕方がないか。隔壁を閉鎖! 敵の進入を防げ!」
「了解」
幸い、CICからは艦の様々な機能にアクセスできる。
しかも、「しなの」のCICには機関室や搭載艇格納庫まで直通の通路があるため、いざとなったら逃げることも可能だ。
各部の隔壁を閉鎖するが、敵はそれを爆薬で破壊して突っ込んでくる。
少しすると、CICの扉が吹き飛ばされ、銃を持った敵部隊がなだれ込んできた。
敵部隊員が銃を乱射したので、さくらと直樹はとっさにコンソールの裏に隠れる。
銃弾はあらゆるコンソールやモニターに命中し、火花を散らした。
モニターが割れ、コンソールに大量の銃痕がつく。
部隊員がCICの他員に向かって、拙い日本語で「降伏しろ!」と言った。
「太田君、逃げるよ」
「は、はい」
小声でそう話し、コンソールの裏を匍匐前進して搭載艇格納庫へつながる扉へ向かう。
途中、同じようにコンソールに隠れていた翔もつれて。
「よーし……ばれずにここまでこれた」
「しかし、ここが最後の難関ですよ。扉まであと1メートルですが、そこには一切の障害物がありません」
「どうするか……コンソールから飛び出たらすぐ撃たれそうだぞ」
「……そうだ、あのコンソールで冷房の操作ができるはずっす。あれをいじって敵の気をそらしましょう。俺が行ってきます」
「頼んだ」
翔はコンソールの裏に隠れながら冷房の操作コンソールまで向かう。
そして、その温度を最低に設定した。
外が大寒波に襲われているせいか、CICはすぐに寒くなっていく。
敵兵はその寒さに気が付き、冷房の捜査コンソールを探し始めた。
そのすきに、扉へ向かう。
――ガチャン!
開くことは静かにできたが、閉じるときに音が鳴ってしまった。
敵兵がそれに気が付き、こちらへ向かってきている足音がする。
「走るよ!」
三人は通路を走り、搭載艇格納庫へ向かった。
格納庫に到着し、船に飛び乗る。
ハッチを開き、搭載艇を海に落とした。
――ドッシャーン!
船が海面にたたきつけられ、大きく揺れる。
猛吹雪で周りがよく見えないが、逃げるのにはちょうどいい天気だ。
「エンジン!」
「あ、はい!」
翔がエンジンをかけ、搭載艇が低いうなり声を上げながら動き出す。
激しい波を切り裂きながら、「しなの」から離れ始めた。
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