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橋への攻撃


「ディメンション01、橋への攻撃を開始する」

『「あまぎ」、了解』


「あまぎ」第一航空隊、コールサイン「ディメンション」が橋の防衛部隊への攻撃を開始した。

隊長機が急旋回し、他の機体もそれに追従する。

部隊は橋と水平に飛び、橋塔や対空砲に照準を合わせた。


「ディメンション01、FCSロックオン! FOX3!」


隊長の号令とともに、機関砲が火を噴いた。

ヴォオオオオン、という異様な音とともに、橋に築かれたバリケードは一瞬にして瓦解。

路面に土煙がたち、25mm弾の弾痕が地面に刻まれる。

橋の上に止められていた車両類は銃弾に貫かれ、使い物にならなくなっている。

タイヤはパンクし、エンジンは故障、発火している車両もあった。


「対空砲ー! 急げーっ 撃てーっ!」


兵士たちは路面の端に設置された対空砲を撃つが、まったく当たる気配がない。

対空砲の近くには砲弾が山のように積まれており、それを手に取って放り込み、撃つが、やはり当たらない。


「だめだ、退避ーっ!」


対空砲を撃っていた兵士が、そう叫んで逃げだした。

その直後、多数の銃弾が砲弾の山に命中し、大爆発を起こす。

その爆発で、対空砲が設置されていた周辺の路面が崩落した。

対空砲、土嚢、そして兵士たちが路面や鉄骨のがれきとともに川へ落下する。


「うおおっ!」

「全員物陰に隠れろーっ!」


兵士たちは物陰に走り込み、銃撃を避けようとする。

橋の近くに停泊していた船の対空砲が動き、航空隊を撃ち落とそうとするが、やはり当たりそうにない。

ルヴトレムの対空砲は第一次世界大戦ほどの航空機にも対処しきれないほどの制度なので、当然と言えば当然である。


「ディメンション2、FOX2!」


ミサイルが発射され、その船の甲板に突き刺さる。

そして爆発し、甲板上の対空砲や兵士たちが吹き飛ばされた。

甲板が燃え、装甲が吹き飛び、水を押しのけて転覆し始める。

中型船な上、装甲も弱い。そのため、ミサイル一発でも十分致命傷になったのであろう。


「総員退艦! 総員たいかーん!」


兵士が急いで川に飛び込んでいく。

船が横転し、船の右半分が水面下に入ったのち、船体中心部が大爆発。

真っ二つに折れて沈んでいくが、川の底が浅く、完全に沈むことはなかった。


さらに発射されたミサイルがテンヌルッシャー橋の橋塔を吹き飛ばし、その残骸が川に落下。

岸へと泳いでいた兵士たちを直撃し、川に飲み込まれていった。


***


「……お、収まったか?」


二時間にも及ぶ攻撃が終わり、路面のひび割れに隠れていた兵士が、そうつぶやきながら顔を出す。

攻撃は収まったが、橋上に止められていた車という車は破壊され、火を噴いている。

た土嚢や火薬も穴だらけにされ、使い物にならないだろう。


「くそっ……」


兵士たちは物影から出て、周りを見る。


因みに、ルヴトレムは近代化に失敗しており、軍隊の7割が中世の様相を呈している。

残りの3割は装甲車や対空砲などの近代的装備を持っているが、その部隊はほとんど首都周辺にしか展開していない。

この橋の部隊も近代的装備だが、先ほどの攻撃でほとんどの武装が破壊され、使い物にならなかった。

現在、個人装備の中で残っているのは剣程度だ。


「だめだな……これじゃ、もう戦えない」


兵士の一人が、そうつぶやいた。

すると、別の兵士が言う。


「じゃあ……どうするんだ?」


その兵士は、少し考えて言った。


「……撤退しよう。とりあえず爆薬は爆発して。橋は崩れないだろうが――少しの時間稼ぎにはなるだろう」

「……了解」


指揮系統や階級差もめちゃくちゃになっているので、兵士たちはそんなあいまいな指示に従い、撤退を開始した。

全員が橋を渡り切ると、爆薬に着火。

轟音とともに橋が吹き飛び、路面のコンクリートが辺りに散らばった。

それらが川に落ち、水しぶきが立つ。

鉄骨がギギギ、というきしむ音を鳴らすが、橋が崩れることはない。


***


数分後、陸上自衛隊の部隊がテンヌルッシャー橋に到達する。

敵兵は完全に撤退しており、誰もいなかった。

その後やってきた施設科により橋は修復され、大部隊が渡河。

防衛線の崩壊とともに、首都はあっという間に占領。

ルヴトレムは崩壊し、ギャルシリア王国が復活した。

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