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ルヴトレム本社都市攻防戦

さくらたちが説明を受けていた一方そのころ、ルヴトレム株式会社本社。

周辺都市を陥落させた自衛隊は、本社都市への攻撃を開始した。

最初に敵基地へと爆撃を行ったのち、地上部隊による占領が行われる。

この都市は数個の地区に分かれており、それぞれあばら家やバラックの並ぶシャンティ・タウン「スラム街」、工場だらけの「工業区」。

本社や企業議事堂の立つ「行政区」、軍事施設だらけの「軍事区」、兵士が住む「住宅区」だ。


地区の位置関係としては、スラム街が一番外縁に位置し、その内側には工業区が。

さらに内側に軍事区があり、それに守られるように住宅区と行政区が位置している。


そんな街のうち、一番外縁のスラム街に位置する一つの通りを、自衛隊の戦車中隊と普通科中隊を合わせた混合連隊が進んでいた。


***

大きな舗装路の近くに立った木製の廃墟。

その陰に、一両の車両が止まっていた。

89式装甲戦闘車。

陸上自衛隊が保有するほぼ唯一の歩兵戦闘車だ。


その車内で、車長席に座った普通科分隊分隊長が、外を見ながら言う。


「敵影は……ないな。大丈夫そうだ」

「了解。こちらライダー。敵影なし。オクレ」

『了解。戦車を前進させる。戦車が行くまで待機し、追随せよ。通信オワリ』


エンジン音とキュラキュラという履帯の音を響かせながら、10式戦車が89式装甲戦闘車の横を通り過ぎ、舗装路に出た。

スラム街の道はほとんどが舗装されていないが、一部の大通りはレンガで舗装されており、双輪車両でも走りやすくなっている。

最も、舗装されている通りが非常に少ないため、今回の作戦で双輪車両はほとんど使われていないのだが。


「よし、俺たちもいくぞ」

「了解」


10式戦車の後ろに89式装甲戦闘車が追従し、進んでいく。

キュラキュラ、キュラキュラと履帯の音が響き、低いエンジン音もそれに重なった。

戦車が進む道には、廃屋や崩れた建物ばかりで、人の気配など全くない。


「……ん? あれは……あっ! 建物内に敵歩兵!」


廃墟の中に、歩兵がたっていた。

どうやら、車列が建物の前を通るのを待っているようだ。

おそらく、通ったときに奇襲するつもりなのだろう。


「こちらライダー。前方に敵歩兵部隊を発見。オクレ」

『了解。ウルフ、建物ごと部隊を撃滅せよ』

『ウルフ1、了解』


10式戦車がゆっくりと主砲を建物へと向ける。

敵歩兵は10式戦車からでは死角の場所に立っており、89式がいなくては早期発見などできなかっただろう。

10式の車内で、戦車小隊小隊長がいった。


「一〇、目標、正面の敵歩兵部隊! 対りゅう、小隊集中。使命!」

「砲手、準備よし」

『一二、準備よし』

『一三、準備よし』

『一四、準備よし』

「一〇、撃てっ!」


10式戦車の砲撃により、敵歩兵のいた建物は吹き飛ばされる。

周りのボロ小屋も吹き飛ばされ、残骸があたりに散った。


「敵撃破」


車列は、もう一度進み始める。

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