フサワ貿易港占領戦の終結
一方、CWV隊は道路を走る。
高さ約4mの大型ロボットを歩兵が止められるわけもなく、CWV隊は敵兵をなぎ倒しながら突き進んでいた。
34式の四本脚はタイヤもついており、舗装路での機動力も高い。
しかし、装甲は非常に薄いため、大口径砲の直撃には耐えられないのだが、ここにそのような大口径砲は存在していない。
魔導銃の弾はCFRP製の装甲にはじかれ、CWVには傷一つつかなかった。
CWVは肩のATGMで駅舎の門を吹き飛ばし、構内に突入する。
中に待ち構えていた兵士がすぐさま門のほうを向き、銃を撃ってきた。
が、やはりCFRP装甲に阻まれ、ほとんどは跳ね返される。
しかし、弾の一つが二番CWVのメインカメラを貫いた。
「カメラが!」
CWVのコックピット、そのメインモニターに映っていたメインカメラの映像が、突如消えてしまった。
サブカメラの映像をメインモニターに表示し、それに対処する。
しかし、サブカメラはメインカメラに比べて解像度が低いため、映像が見づらい。
サブカメラの電源をつけるのに手間取っていると、歩兵がたくさんまとわりついており、動けなくなってしまった。
「あっ、くそっ!」
『落ち着け。排熱システムを起動しろ』
隊長から指示が飛ぶ。
CWVには、激しい運動などをした際、機体にこもった熱を一気に噴出する機能が搭載されている。
運動量にもよるが、この温度は一般的に高く、人に直撃したらやけどしてしまうほど。
そのため、敵兵にまとわりつかれた際、排熱システムを起動することでそれを退けることが可能だ。
「了解」
パイロットが排熱システムを起動すると、熱を持った空気が排出される。
その熱を受け、歩兵は機体から離れざるをえなかった。
敵歩兵が離れたので、二番CWVは自由に動けるように。
CWV隊は敵兵を払いのけながら駅のホームへ向かう。
その時、魔導機関車が走りこんでくると、壁にぶつかって停止した。
壊れた車両からトークロイド隊が駆け下りてくる。
両部隊が合流すると、大勢の敵が駆け込んできた。
「降伏しろっ! さもなければ撃つぞ!」
部隊は360度敵に囲まれている。
敵兵は魔導銃と弓矢、杖を構えており、日本部隊に向けていた。
少しして、先ほどのセリフを言った兵士が崩れ落ちた。
トークロイドが超高速で動き、彼を気絶させたのだ。
「なっ!?」
「う、撃てっ!」
それを皮切りに、その場にいる全員が動き始める。
トークロイドが弾をよけ、敵兵の一人を思いっきり殴った。
衝撃で吹き飛ばされ、壁にぶつかって崩れ落ちる。
血が出ているが、死んだわけではないようだ。
トークロイドの最大出力は一般人の骨を砕き、内臓を破壊するほどのパワーを持つ。
しかし、法律によってリミッターの搭載が義務化されているため、思いっきり殴ったつもりでも人を即死させるほどの力を出すことはできない。
当然、リミッターを取り外せば最大出力を出すことができるが、もともと最大出力を出すように作られていない以上、故障しやすくなるため推奨はされない。
最も、リミッターは簡単に外すことができないように固定されているうえ、外すと警報が鳴り響き、警察に通報されるようになっている。
これは、取り外しが法律で禁止されているためだ。
「撃て!」
「取り押さえろ!」
敵兵の一人が兵士を殴った機体に向かってとびかかってきた。
それをよけ、足をつかんで投げ飛ばす。
ほかの兵士はそれ以外の機体に襲い掛かるが、体が触れるより先にCWVに払われ、あたりに弾き飛ばされた。
***
現在、日本側の戦力はCWV三機、トークロイド二十機ほど。
敵側は槍兵が十名、盾兵が十名、魔銃歩兵が十名、魔導迫撃砲兵が十名、騎兵が一名。
日本側はCWVをバリケードにしてトークロイド隊が銃を構えており、敵側は一番前に槍兵、その後ろに盾兵。
それをバリケードにして魔銃歩兵がおり、彼らは参列に配置されている。
一般的な魔導銃は火縄銃と同じく連射できないため、このような陣形になっているのだろう。
そして、そのさらに後ろに魔導迫撃砲兵がいる。
この駅は天井が非常に高いため、迫撃砲も問題なく撃つことができるのだ。
一番後ろには部隊の指揮官と思われる騎兵がおり、さらに後ろからは増援が走ってきている。
『CWV分隊は弾幕を張れ! 小隊は敵の増援が来る前に退避する!』
シズクがそう叫んだ。
相手のほうが数が多く、増援も来ている状態ではまともに戦っても勝ち目はない。
「逃がすな! 撃てっ!」
敵隊長がそう叫ぶと、敵の魔銃歩兵と迫撃砲兵が攻撃を開始。
しかし、CWVの制圧射撃で弾幕が張られ、攻撃は妨げられた。
CWV分隊も射撃しながら後退、駅から脱出し、フサワ貿易課ビルへと向かう。
***
フサワ貿易課ビル。
人がおらず、もぬけの殻であった。
どうやら全員撤退したようだ。
こうして、フサワ貿易港占領戦は終わったのである。
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