脱出
事情を聴いたレンの案内により、四人は艦尾発着場へと向かった。
途中、噴き出してきた炎でさくらが大火傷するなどのハプニングはあったものの、何とか発着場にたどり着いた。
レンは、駐機されていた大型複葉機へと駆け寄り、何かを確認している。
「……駄目だ、エンジンの始動器がやられてる。手動で動かさなきゃいけないが……すぐ切れそうだな。グライダーとして利用するしかなさそう。……まぁ、とりあえず、乗りましょう」
その時、艦が大きく揺れ、発着場が傾いた。
墜落は秒読みだ。四人は急いで複葉機に乗り込む。
レンがクランクハンドルを回して格納庫のシャッターを開き、エンジンの一つを手動で始動した。
プロペラがゆっくりと回り始める。
「よし、逃げますよ!」
機内に飛び込み、スロットルを全開にする。
飛行機は「エミクロン」から飛び出し、「しなの」へ向かった。
その後、「エミクロン」と「ペトローグ」は海に墜落。
轟音と高波が発生し、その海域にいた艦隊はこの高波に巻き込まれ、沈没したのだった。
***
五人の乗った大型機は第八護衛隊群の近くに墜落。
救助された。
さくらは「しなの」医務室で火傷の治療をしたものの、病院でしっかりした治療を受けるべきだ、と医官に言われ、日本に戻るまでは医務室で安静にすることに。
また、「しなの」は墜落地点の海で浮かんでいた兵士たちを救助し、「しなの」に収容。
一度エーンヤード大陸に運搬された。
ただ、作戦自体は成功。
戦況は一気に日本有利に傾き、上陸作戦が開始した。
なお、「しなの」は日本に帰還したため、この作戦には「しなの」型二番艦の「あまぎ」が参加することになっている。
***
「あまぎ」は、「しなの」に続く固定翼機搭載護衛艦として製造された艦だ。
「しなの」型ではあるが、「しなの」と比べると小さいし、武装も弱い。
それでも、一般的な護衛艦と比べたら大型である。
また、「しなの」と違って上陸部隊の展開がしやすいような設計となっており、空母というよりかは強襲揚陸艦に似ている艦だ。
なお、今回の作戦では、CWVやトークロイドが主に利用されるが、必要に応じて航空機も展開することになっている。
「作戦開始1分前」
赤色灯に照らされた「あまぎ」艦橋で、隊員がそう言った。
今回の作戦は夜襲だ。
二つの月があたりを照らす中、CWVやトークロイドの乗った上陸艇が発艦する。
CWVの装甲は簡単に貫けないし、トークロイドは完全自立AIを搭載している。
隊員に被害が出ることは、何か予想外のことが発生しない限りないだろう。
今回、部隊が上陸するのはフサワ湾岸貿易街。
重要拠点となる建築物は、フサワ電波塔、湾岸防衛員詰め所、フサワ貨物駅、フサワ湾岸貿易課ビルの四つだ。
街の北部にフサワ湾岸貿易課ビルがあり、その南西にフサワ貨物駅。
その真南に湾岸防衛員詰め所が、南東にフサワ電波塔が位置している。
今回の作戦では、まず、フサワ電波塔を制圧し、敵の通信網を停止。
その後、沿岸防衛員詰め所を制圧したのち、フサワ貨物駅に向かう。
駅を制圧した後は、全部隊でフサワ湾岸貿易課ビルを制圧するというのが大まかな作戦だ。
なお、この作戦の主目標はフサワ湾岸貿易課ビルであり、他の建築物はフサワ湾岸貿易課ビルを制圧するための足掛かりでしかない。
……こんな回りくどい作戦をせずとも、制空権が確保されているのだから空爆や空挺降下で敵首都、というか本社を占領すればいいのでは? と思う人もいるだろう。
これまで日本と戦った国ならそれで問題ない。
なぜなら、これまで日本と戦った国はすべて中央集権国家であるためだ。
中央集権国家の場合、首都を占領すれば、多くの場合に戦争は終結する。
しかし、この国――企業だが、ここでは便宜上国と呼ぶ――は、地方分権国家。
一応、首都のようなものである本社は存在するものの、そこを制圧したから戦争が終わる、ということはない、といっても過言ではないだろう。
そのため、地方から制圧していくことで、首都をすぐに制圧するよりも早く、戦争を終わらせることができるのだ。
閑話休題。
一方、「あまぎ」のCIC画面には大雑把な街の地図が映っている。
地図には、目標建築物や部隊の上陸予定地が表示されていた。
今回の作戦に参加する部隊は、水陸機動団隷下、
第一水陸機動連隊より、第一トークロイド中隊、第一小隊。
また、同じく水陸機動団より特科大隊隷下、
第一CWV中隊以下、第一小隊より、第二分隊。
この二部隊である。
また、先に書いたほどの重要目標ではない物の、制圧できれば大きな効果がある地点が四か所。
フサワ古代遺跡、タツナイラ橋、スナイラ橋、ホガヨア橋だ。
フサワ古代遺跡はフサワ湾岸貿易街を縦断するタスラ川の西に位置する古代魔法文明の遺跡で、ルヴトレム株式会社の魔術師たちが調査のためにやってきていることがわかっている。
タツナイラ橋、スナイラ橋、ホガヨア橋はタスラ川かかる三つの橋で、タツナイラ橋が最も大きい。
これらの橋は、部隊の展開を円滑にするために必要であるため、制圧しておくことが望ましいだろう。
また、航空偵察により、敵の防衛戦力も少し判明している。
魔法を使う重装兵、魔術兵と、グリフォンに乗って戦うグリフォンナイト。
通常の歩兵に、魔法銃を持つ魔銃歩兵。
あとは車に乗る機械化歩兵が防衛戦力として配備されているようだ。
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