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衛星

「いずも」との遭遇から数日。

第八護衛隊群は引き続き、日本を目指していた。


そんな艦隊の中心を進む「しなの」の飛行甲板。

多くの人が集まり、何かをしていた。


彼らの目の前には不思議な機械が設置してあり、

それは、様々な電化製品から作られたその場限りの機械に見える。


机の上にデスクトップパソコンが固定されており、それに様々な電子パーツが取り付けられていた。

露出している部分だけでも、トランジスタや集積回路、コンデンサ、真空管など、電子部品が目白押しだ。

また、それらこまごまとした電子部品の中にはトークロイドの電子頭脳回路も見える。

その機械からは数本の配線が伸びており、「しなの」の衛星通信アンテナにまでつながっていた。


艦内から出てきた太田が、その機械を見て、さくらに尋ねる。


「これは?」

「故障した衛星通信システムの代わりに、外付けの衛星通信システムを作ろうと思ってさ。作るのには彼女が協力してくれたよ」


そう言って、機械の前でキーボードをたたいているナオを指さした。


「あの人は?」

「加原重工の佐々波さん。航空宇宙工学専門だって」

「へぇ……」


太田がそう言ったとき、ナオが彼らに近づいてくる。


「調整が終わりました。えーっと、世界地図ってありますか?」

「ああ」


さくらはそう言って、どこからか取り出した世界地図をナオに渡す。

それを受け取ると、彼女は機械について説明し始めた。


「まず、この機械は在り物で作ったものなので、最初に接続するときは衛星の近くに行かなければなりません。しかも、高度の低い衛星じゃないとだめなので――『ゆうやけ35』がいいですね。『ゆうやけ35』は、高度500km付近を周回する通信衛星です。観測環境が整えば、目視でも見れますね。それで、『ゆうやけ35』は今日の8時ごろ、この地点を通過するので、それまでにここへ向かわなきゃなりません」


ナオは、そういいながら地図に印を書き込む。

それを見て、さくらが言った。


「最大戦速でいけば間に合いそうだな」


***

~午後7時58分・『ゆうやけ35』通過予定地点~


「あと2分」


ナオはそうつぶやく。

その声を聴きながら、さくらたちは夜空を眺めていた。

観測条件が整っているので、しばらくしたら「ゆうやけ35」が見えるはずである。


「……あっ!」


水平線の向こうに、小さな光点が見えた。

その光点は、高速で登ってきている。


「間違いないです。あれが『ゆうやけ35』ですね」


ナオは、そう言いながら機械に向かった。


「えーっと……多分、接続できました。これで、日本との通信ができるはずです」


すこしして、ナオがそう言った。


***

第八護衛隊群と日本との連絡が復旧したことにより、情報不足はかなり改善。

日本とルヴトレム株式会社の戦争状況もある程度わかった。


現在、護衛艦「いずも」及び第八護衛隊群を失った海上自衛隊は、敵軍に対して有効打を与えられずにいる。


しかし、敵地上空の制空権は日本が握っているため、定期的な航空偵察は行われているらしい。


第八護衛隊群は、横須賀司令部からの指令を受け、

エーンヤード大陸で補給および修理を受けたのち、敵地周辺の制海権奪取に向かうことになった。

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