ファリスター魔導王国防衛戦
~サエナルト大陸・ファリスター魔導王国北部~
ファリスタ―魔導王国北部、ギャイタ山地。
テリャティア帝国とファリスタ―魔導王国の国境線である山岳地帯を、テリャティア帝国の大軍が進んでいた。
日本と友好的な関係を結んでいるファリスター魔導王国を滅ぼし、
サエナルト大陸における自国の優位を確固たるものにしようとしていたのだ。
騎兵隊を先頭に、軽装歩兵、重装歩兵、魔銃兵隊、魔導士隊と、編成に隙がない。
総勢10000名の大軍は、ファリスター魔導王国を蹂躙し、テリャティア帝国はサエナルト大陸における覇権を自国の優位を確立する……はずだった。
「……ん?」
ヒュー……という、不気味な風切り音が響いたかと思うと、部隊の大多数が吹き飛ばされる。
「な、何事だ!?」
***
山の向こうで炎が立ち上がり、一瞬遅れて爆発音が響く。
前線観測班からの通信をもとに仰角を調整、再度発砲する。
ファリスター魔導王国の北部に位置する都市、
カリルール市の郊外に布陣している陸上自衛隊特科連隊は、
その砲撃によって帝国軍を蹂躙していた。
『弾ちゃーく……今!』
もう一度、爆炎と轟音。
ここからは見えないが、着弾地点は大変なことになっているだろう。
***
――ヒュー……
「また来たぞ! 防御魔法をっ」
魔法を展開するのが間に合わず、爆風と炎によって残った兵士の多くが吹き飛ばされる。
「なんだ!? 何が起こっている!?」
帝国軍の指揮官、イラリオが、慌てた様子で叫ぶ。
砲撃から逃げる帝国軍は、隊列も何もなく無秩序に逃げ惑っており、とても統制された軍隊のそれとは思えない。
指揮官が乗っていた馬もいなくなっている。
死んだか、逃げ出したか。どちらかはわからない。
「どこだ!? どこから撃たれているんだ!?」
またもや、風切り音が響いてくる。
「ま、またかっ!」
指揮官は、砲撃によって空いたクレーターに飛び込んだ。
天然の蛸壺壕となったクレーターは、爆風と炎から彼を守ってくれる。
しかし、後方に逃げようにも、クレーターから出たら一瞬でバラバラになりそうだ。
すこしクレーターで待っていると、砲撃が収まった。
今のうちにと、クレーターから飛び出し、さらに後方のクレーターに滑り込む。
砲撃が再開され、クレーターに入れなかった兵士たちが吹き飛ばされた。
命からがら逃げだすものの、生き残ったのは彼含めて数人だけである。
***
「しかし……ニホンってのはすごいですねぇ」
そうつぶやいたのは、ファリスター魔導王国軍の魔導砲兵中隊中隊長だ。
本来ならこの戦い、彼らがやらなければならないのだが、
ファリスター魔導王国軍は先の大寒波で大ダメージを受けているため、
陸自に任せきりになってしまったのである。
なお、日本はファリスター魔導王国と臨時的な軍事同盟を結んでいるものの、
先ほど言ったように魔導王国の軍はほぼ壊滅状態であるため、実質的な軍事力は日本のみが有している。
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