レター沖海戦
「対艦戦闘用意!」
艦内にアラームが響き渡り、隊員たちが配置に着く。
機材が所狭しと並べられたCICには、砲雷科の乗組員が何人も座っていた。
「各部配置よし!」
そのような報告が入る。
レーダー画面には、「しなの」を中心として、輪形陣を組んだ護衛艦、
「やまと」「さくら」「あかぎ」「きい」「あおば」が映っており、
その前には縦状陣を組んだ敵艦が三隻、その間に「さんふらわあ しぐれ」が表示されていた。
「……『やまと』は目標αの進路を妨害しろ。『きい』は『やまと』に続き、『さんふらわあ しぐれ』と目標αをつなぐロープを切断すること。武装の使用は主砲とRWSに限って許可」
命令が下ると、「やまと」が敵艦隊の先頭を進む船の進路上に割り込んだ。
武装を使用しないにしても、「やまと」ほど巨大な戦艦……いや、護衛艦が目の前に出てきたら、たいていの船は停船するだろう。
「目標α、停止!」
敵艦が停止したその隙に、「きい」がRWSを起動。
「さんふらわあ しぐれ」と敵艦をつなぐ曳航ロープを打ち抜いた。
「よし! 立検隊を編成、艦載機で発艦させろ!」
「了解」
SH-60Jが発艦し、「さんふらわあ しぐれ」へと向かう。
「さんふらわあ しぐれ」屋上のヘリポートに着陸し、立検隊が乗り込んだ。
立検隊は速やかに「さんふらわあ しぐれ」を奪還。
その間に、テリャティア帝国軍はどこかに逃げ去っていた。
***
~エーンヤード大陸・ヌレラト港・「しなの」艦内~
護衛艦「あおば」が「さんふらわあ しぐれ」を曳航し、エーンヤード大陸のヌレラト港に入港。
「さんふらわあ しぐれ」を切り離したのち、予定通り演習へ向かう。
演習はつつがなく終わり、港に戻ってきた頃にはすっかり夜になっていた。
「暗いねー……」
「え? まぁ、そうですね……」
現在、「しなの」が停泊しているエーンヤード大陸は、
高度文明圏国家による開発が進んでいるとはいえ、依然、そのほとんどが原生林だ。
街灯などなく、夜になれば月明りだけが頼りである。
さくらは、艦内を照らす赤い照明を見ながら、言った。
「多分、この大陸で電気使ってるの、私たちだけだと思うんだけど、どう思う?」
「どう思うって言われましても……」
その時、ドサッ、という、何かが落ちたような音が響いた。
音の方を見ると、甲板に本のようなものが落ちている。
「……あれはいったい?」
「さぁ……外から投げ込まれたもののようですけど」
「投げ込まれたって……どんな強肩?」
「……確かに」
言いながら、直樹は艦内電話に手を伸ばす。
甲板の航海科員に本を回収してもらうためだ。
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