北部航路
~数日後・護衛艦「しなの」艦橋~
「群司令。まもなく、北部航路です」
「OK」
北部航路。
日本の北を流れる海流を利用した航路である。
この海流は非常に高速で、本来なら一か月ほどかかる航海を数日で終わらせることができるほどのものだ。
昔からこの異世界でよく知られていた海流ではあるが、
海流の速さと、海上で発生する原因不明の暴風のせいで、
帆船や初期の動力船では安全な航行ができないため、
これを航路として使おうという国はほとんど存在しなかった。
航路として使用されている現在も、現代船を保有する日本以外は利用できない。
今回、「しなの」率いる第八護衛隊群がこの航路を使用する理由は、
サエナルト大陸の南、中央海で演習を行うためである。
演習をするだけなら、日本の東に広がる新太平洋などを使用すればいいのだが、
今回の演習はテリャティア帝国への示威行動も兼ねているため、
中央海で行うのが最も効果的なのだ。
『CICより艦橋。救難信号を受信。
発信元は貨客船さんふらわあ所属フェリー、「さんふらわあ しぐれ」。
方位2-3-3』
「さんふらわあ しぐれ」。
株式会社「貨客船さんふらわあ」が所有する、フェリーの一つだ。
元は国内用のフェリーであったが、異世界転移後、客船の需要が激減。
それに比例するように、貨物船の需要は右肩上がりになったため、
貨客船さんふらわあは、自社の所有するフェリーの多くを貨物船にすることで、新たな収入源を確立。
今では、貨物船・客船の二刀流で活動している。
そんな「さんふらわあ しぐれ」は、
エーンヤード大陸開発のための重機や資材の類を運搬する船だったはずだ。
通信によると、北部航路を運航中、暗礁に衝突。
機関が故障し、海流によって西へ西へと流されているらしい。
このままでは、サエナルト大陸東部……つまり、テリャティア帝国領内に流れ着く可能性が高いとのこと。
また、「さんふらわあ しぐれ」には、重機類を管理するための技術者も多く乗っているそうだ。
もし彼ら彼女らがテリャティア帝国に捕まれば、
彼らの持つ重機類の構造や使用法、技術などが流出し、いろいろ大変なことになってしまう。
何としてでも、サエナルト大陸漂着前に見つけ、曳航しなければならない。
海上保安庁の巡視船も来ているらしいが、
現在「さんふらわあ しぐれ」と最も近い船は、「しなの」を含めた第八護衛隊群の艦たちだ。
「よし、救助に向かうぞ」
「了解!」
「312度ヨーソロー!」
「312度ヨーソロー! ……ヨーソロー312度!」
「ヨーソロー!」
第八護衛隊群は転進し「さんふらわあ しぐれ」へと向かう。
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