情報収集
本を読み終わり、さくらは深いため息をつく。
「さて……情報をまとめようか」
そう言うと、彼女は一冊の手帳を取り出した。
シャープペンシルを使い、本の内容を書き記している。
「まず、レターサⅤとは……?」
「レターサ星系の第五惑星です。
我々の住む新世界惑星の3分の1ほどの大きさで、生物が生存できる環境だそうです。
また、地表は酸化鉄の混じった砂で覆われており、その中には人工物があるとか」
「それが怪しいね。調べてみる価値はありそう」
「調べるなら、『橋霧天体観測所』が一番いいですね。
ここから近いですし、一般人に開放されてます」
「なるほど。じゃあ、他の四人が戻ってきたら、そっちにも行こう」
「そうですね。今のうちに、必要な情報をリストアップしておきましょうか」
***
「う~ん……アイとやらはいったいどこへ行ったんだ?」
結城と和佳奈は『橋霧町観光MAP』を見ながら、アイの向かった場所を推測していた。
「えーっと、まず、時系列順にこの街で起こった出来事を整理していこう」
結城は、紙に時系列を書き込む。
・2036年12月09日 午後1時57分 首都圏に台風21号が上陸
・同日 午後2時05分 勅使川原医院にアイが突っ込んでくる
・同日 午後2時30分 カフェ朱雀でアイが現れる
・同日 午後3時12分 五人が鷹那大学へ
・同日 午後3時13分 新木星を目撃
・同日 午後3時21分 加原重工製品展示館で四人が気絶
・同日 午後3時26分 勅使川原医院に搬送
・同日 午後3時30分 勅使川原医院から脱出。区民図書館へ
「ちょっと待ってください。
この時系列があっていたらの話ですが、
たった25分で勅使川原医院からカフェ朱雀まで言ったんですか!?」
和佳奈が驚いたようにそう言った。
勅使川原医院は橋霧町の東、カフェ朱雀は橋霧町の西に位置している。
つまり、アイはものすごいスピードで動いていることになるのだ。
「とんでもないスピードで動いていることになるな……」
「人じゃありませんね。車でも、電車でも、これほどのスピードは出せません」
「空路ならいけるかもしれんが……この雨だしな。ヘリコプターは飛べない」
「やっぱり、生身で飛んでったんでしょうかねぇ」
「それが一番あり得るんだよなぁ。普通、一番ない選択肢のはずなのに」
「さて、それはそれとして、加原重工製品展示館から、どこに行ったかが問題です」
「救急車を呼んだのは彼女だと思うから、
3時21分から3時30分までの9分間で行ける範囲の場所だろうが……」
「う~ん……行けそうな場所といったら、『橋霧天体観測所』『鷹那大学』
『加原重工横浜技術研究所』『橋霧町民図書館』『勅使川原医院』
『鷹那大学前駅』ですかね」
「大学、病院、図書館、大学前駅は除外するとして、
残りは二つか……総当たりしたほうが早そうだな」
「ですね」
その時、雷鳴が響き、地面が揺れた。
図書館の電気が切れ、光源は窓からの日光だけになる。
しかし、雨が降っているため凄く暗い。
「停電か……」
結城は、スマホのライトをつける。
先程の揺れで、本棚から多くの本が落ちていた。
その本たちのほとんどは、何かの専門書のようである。
どうやら、専門書コーナーの本棚から落ちたもののようだ。
とりあえずそれを戻そうと、落ちた本の一冊に手を伸ばす。
その本の間から、一枚のメモがひらり、と落ちた。
それを拾い上げ、中身を読む。
『12/10 加原技研 怪しい動きアリ』
「……なんだ、これ?」
そうつぶやいた後、手に持っていた本の違和感に気が付いた。
その本が置かれていたはずの本棚は、専門書コーナーである。
しかし、彼が今持っている本は、子供用の絵本であった。
「いったいどういう事だ……?」
とりあえず本を棚に戻し、メモはポケットに入れる。
そして、こういった。
「とりあえず、出口でほかのみんなと合流しよう」
「そうですね。行きましょう」
二人は、図書館の出口へと歩き始める。
***
その後、6人は出口の近くで合流した。
ツバキと翔は、特に情報を得られなかったようだ。
6人は、とりあえず『橋霧天体観測所』に行くことになった。
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