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病院でのドタバタ


さくらが目を覚ますと、そこは病室であった。

起き上がると、他の二人も同じ病室で眠っている。

ツバキは、端の充電ターミナルでスリープモードに入っていた。


『昏睡状態からの離脱を確認。スリープモードを解除します』


ツバキが目を開き、さくらを見る。


『おはようございます。群司令』

「あ、ああ……ここは?」

『横浜市霧立区、勅使川原医院の502号室です』

「勅使川原医院?」

『はい。誰かが、救急車を呼んだようです。なぜか記憶データが欠損しているため、詳しいことはわかりませんが……あ、看護師に連絡しておきました。

まもなく医師が来るでしょう』

「あ、ああ……」


***

その後、三人は検査を受けたが、特に異常は確認できなかった。

アイは行方不明になっているようで、どこにいるかはわからない。

三人は、すこしだけ経過観察をしたら、外に出られるそうだ。


「暇ですねぇ」

「暇だなぁ。まぁ、すぐに出られるはずなんだけど……」


さくらが直樹とそんなことを話していると、部屋の外から騒がしい音が聞こえてきた。


「なんでしょうね」

「見てきます」


翔が立ち上がり、扉へ向かう。

扉の窓から廊下を覗くと、医師や看護師が何かから逃げているのが見えた。


「なんかヤバそうです」

「マジ? この部屋に居たら危ないな。外に出るよ」


四人は病室から出ると、出口に向かって走り出す。


***


「医院長ーっ! 何なんですかあの化け物ーっ!」

「知るかボケぇーっ!」


結城と和佳奈が院内通路を走る。

その後ろには、不定形な怪物がいた。


「医院長ーっ! どっから現れたんですかあの化け物ーっ!」

「多分遺体安置所ーっ!」


そう言いながら、結城は全身麻酔薬の入った注射器を怪物に向けて投げる。

それは怪物の体に深々と刺さるが、効いている様子はなかった。


「まぁ人間用の薬品だもんなーっ!」

「もっとなんかないんすか!? 武器!」

「ニトログリセリンの錠剤ならあるけど!?」

「錠剤じゃ意味ねーんだよボケェ-っ!」

「敬語を使えっ! 私は医院長だぞ!」

「どけ! 俺はお兄ちゃんだぞ! に似たものを感じる!」


二人がそんな言い合いをしていると、

和佳奈が通路の角から飛び出してきたさくらに衝突した。


「「きゃっ!」」


二人はしりもちをつく。

和佳奈が先に立ち上がり、さくらに言った。


「だ、大丈夫ですか!?」

「あ、大丈夫です」


桜も立ち上がり、ズボンをはたく。

そんなことをやっている間も、怪物は近づいてきていた。


「と、とりあえず逃げましょう!」

「あ、そうですね!」


六人は出口へと走る。


***

~勅使川原医院・駐車場~


「病院の外まで追ってきました!」

「と、とりあえず、オレの月産ABに逃げ込もう!」

「なんでビジネスカーを愛車にしてんの!?」


六人は結城の愛車に乗り込む。


「狭いなぁ、この車……」

「5人乗りだからね」

「そんなのいいですから、さっさとエンジンをかけてください、医院長!」

「わかって――うわっ!」


化け物がABバンに飛び掛かり、車体を揺らした。


「早く発進して!」

「わかってる! わかってるけど、エンジンがかからない!」


さくらは襲い掛かる化け物を見ながら、結城をせかす。

しかし、車のエンジンがかからない。


「エンジンがかからない!? 最近の車なのに!? そんなホラー映画みたいなことあるん!?」

「いや普通はないはずなんだが……」


結城はセレクトレバーを何度も変更したり、

ブレーキを踏みなおしたりしながら、エンジンスイッチを何度も押す。

しかし、エンジンはかからない。


「なんで!? バッテリーでも上がったのか!?」


エンジンスイッチを連打しながら、結城は叫ぶ。

怪物は車を攻撃し続けており、後部座席のドアウィンドウにひびが走った。


「まずいまずいまずい」


しかし、車はうんともすんとも言わない。


「あーもう! 動けこのポンコツが! 動けってんだよ!」


そう言って、結城はメーターパネルの上をぶん殴った。

すると、エンジン音が鳴り響く。


「あっ、動いた!」

「そんな映画みたいな……」

「とにかく発進して!」


セレクトレバーをDに入れ、アクセルを踏み込んだ。

車は怪物を振り落とし、道路を爆走する。

「面白かった!」


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