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大学へ


「……見たところ、普通の大学だね」


ホームページをあらかた見終わって、さくらはそう呟いた。


「ですね……なんでこの大学に行きたいの?」

「この大学にいる教授さんに会いたいんです」

「教授かぁ……まぁ、行ってみましょうか、この大学」

「だね」

「でも、ここから鷹那大学まで結構遠いッスけど、大丈夫ッスか?」

「レンタカーでも借りようか。最寄り駅でさえ、かなり距離あるみたいだし」

「ちなみにだれが運転するんです? 僕は免許持ってませんけど」

「私はペーパードライバーだから無理」

「俺免許持ってますよ。AT限定だけど」

「よし、じゃあ内村君が運転するってことで」


***

レンタカーを借り、五人は横浜市の端、鷹那大学横浜キャンパスへ向かう。

そして、鷹那大学横浜キャンパスの正門前に到着した。


「そう言えば、大学って、関係者以外でも入れるんですか?」

「入れるんじゃない? 知らないけど」


***

~鷹那大学・横浜キャンパス・受付~


「で、会いたい教授ってのは何て名前の人?」

「えっと……タチバナって人です。天文学者って聞きました」


直樹が受付に『タチバナ』という名前の教授がいないか尋ねると、

受付の係員はしばらくシステムを確認してからこういった。


「タチバナでしたら、2号棟の研究室にいます。

ただし、出かけている可能性もあります。

ご用件がある場合は、研究室にお越しいただくか、

メールや電話で事前にご連絡いただくことをお勧めします」

「2号棟の研究室ですか。ありがとうございます」


五人は受付の案内に従い、鷹那大学のキャンパス内を歩きながら2号棟を目指す。

途中、学生たちが傘をさして歩いていたり、

グループで話していたりする様子が見受けられた。


「やっぱり大学って雰囲気あるッスねぇ。俺は大学行ってなかったんで、新鮮です」


翔が感心しながら言った。

案内された部屋の前に到着すると、ドアには『天文学研究室』と書かれたプレートが掲げられている。

さくらがドアをノックすると、中から男性の声が返ってきた。


「どうぞ入ってください」


中に入ると、一人の男性がパソコンの前に座っている。


「失礼いたします。タチバナ教授はおりますか?」


さくらが尋ねた。


「ああ、私がタチバナです。何かご用件でしょうか?」


男性は親しげな笑顔で答える。

名札には、確かに『橘 勇気』と書かれていた。

アイが前に出て、こういう。


「あのっ、私、アイと言います!  実は、橘教授に聞きたいことがあって……」

「聞きたいこと?」


その時、雨音が止まった。


「なんでしょうね」


そう言って、橘が立ち上がった。

橘は窓の外を見ると、止まる。


「どうしました?」


他の五人も窓の外を見た。

雲の間に、模様の入った巨大な球体が浮かんでいる。

五人には、それが何かわからない。

しかし、橘はそれが何かわかっているようだ。


「橘さん、いったいあれは?」

「あ、あれは、新木星です」

「新木星?」

「はい。転移後に発見された、レターサ系第五惑星、レターサⅤ……通称、新木星」


レターサ系とは、この新世界が位置している星系の正式名称だ。

一般的には、新太陽系と呼ばれている。


「新木星ですか……」


新木星は、どんどん大きくなっていく。

呆然とそれを眺めていると、新木星が雲に覆われ、再度豪雨と暴風が吹き荒れ始めた。

おそらく、先ほどは台風の目に入っていたのだろう。


「……そう言えば、君――アイさんでしたっけ? 私に聞きたいこととは?」


橘が、アイに向かってそう言った。


「え……あ、はい!」


アイは迷ったように動き回ると、言葉を続ける。


「あのっ、私……あれなんです!」

「あれ?」

「あの……えっと……」

「落ち着いて。ゆっくりでいいよ」


さくらが、アイを落ち着かせようと、そう言う。

アイは何度か深呼吸をすると、言った。


「私……あれなんです。えっとー……」


黙る。

そして、突然、研究室の外に走り出した。


「あっ!?」


アイを追いかけ、四人も研究室の外に駆け出る。


「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


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