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第63話 まじない師の剣

(この右手の力が消える……)


 メレンケリは強く右手を握った。


「それは間違いないのですね?」

「ああ。私はその手の呪いについてずっと調べて来たからね、よく知っているんだ。まじない師なんて言っているけど、呪術師の末裔をなめてもらっては困る」


(ならば、私の出す答えは一つだけだわ……)


 メレンケリは大きく息を吸って、ふうと息を吐きだすとフェルミアに言った。


「私、その大蛇と戦います」

「メレンケリ……!」


 マルスが驚いたように声を上げるが、一方でフェルミアは笑った。


「そう来なくっちゃな」

「フェルさん!」


「急に大きな声を出すな」

「すみません……」


 フェルミアは、自分に叱られて小さくなったマルスを見て、小さくため息をつきつつもこう提案した。


「お前、メレンケリの何なのか知らないが、そこまで心配するならお前もついて行ってやればいいだろ」


「ついて行ってって……それが出来ればそうしますけど、剣は通じないのでしょう?」


 フェルミアの話では、大蛇には剣の攻撃は効かないという。だからグイファスはここにきて、封印の石のありかを聞いていたのだ。それなのに、剣でしか戦う術を持たない自分に何ができるのかと、マルスは聞きたそうな顔をしていた。


 するとフェルミアは、自分の後ろの壁に無造作に立てかけてあった二本の剣を掴むと、それぞれグイファスとマルスに投げてよこした。


「それならほら、これをやる」

「……っ!」

「うわっ!」


 グイファスはフェルミアから投げてよこされた剣を驚きながらも黙って受け取り、マルスは慌てた様子で受け取った。


「投げるならそう言ってください!」


 マルスは叫んだ。


「私が力を貸してやると言っただろう。お前たちにその剣を託そうじゃないか」

 マルスの声には耳を貸さぬまま、フェルミアはにやりと笑う。


「……この剣は?」


 一方でグイファスは、剣を見定めながら尋ねる。


 蔦植物の装飾がなされた鞘に、しっかりと納められた剣は古めかしかった。だが試しに少しだけ鞘から抜いてみると、よく磨かれ青白い光を反射する刃が姿を現す。呪術師に鍛えられた、強い力を持った剣だった。


「我が一族に伝わる剣だ。強い術がかけられていてね、邪悪なものを斬る時に使う」


「いいのですか、そんな高価なもの」


 マルスが大事そうに剣を撫でる。


「タダでとは言っていないさ。私も生きていかなくちゃいけないからね。慈善活動なんてしちゃいられないから、出世払いでもいいから払ってもらう。まあ、引き取れるほどの金がないって言うなら、貸すだけでもいいよ。その分の料金は貰うけど」


 するとマルスは笑った。


「最初からそう仰ってましたね。情報も有料ということでしたから、この剣は随分と高そうだ」


「どうだ、買うか? 買わないか?」

「この剣は絶対に大蛇に太刀打ちできるのでしょう?」

「ああ。それは間違いない。奴にも通じる、斬れる剣だ」


 フェルミアのその答えに、マルスに迷いはなかった。


「なら買いましょう。お幾らですか?」

「五万ギル(約五十万円)。払えるか?」

「分かりました。払います」


 マルスの返答は即答だった。だが、それに異議を唱える者がいた。

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