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第350話 久しぶりの再会


 三校合同演習の日がついにやってきた。集合場所はディオム魔術学院の演習場である。三大魔術学院の中でも最も魔術戦に力を入れているディオム魔術学院は、軍事演習に使用する巨大な演習場を持っているからだ。


 もともと、俺はディオム魔術学院に行くのは初めてではない。去年はアリアーヌに会うために女装姿で乗り込んだからだが……まぁ、そのことは極秘事項であるのだが。


 俺たちはいつものメンバーで学院へと向かう。


「うぅ……緊張するよぉ……」


 エリサはずっと怯えているような声を出していた。曰く、三校合同演習なんて大それたものに緊張しているのだとか。確かに、エリサは身体能力は高くない。しかし、彼女には魔術の知識がある。最近は魔術の精度も上がってきているので、それほど緊張しなくてもいいと思うのだが……。


「エリサ。大丈夫だ」

「レイくん……?」

「君には膨大な魔術の知識がある。それに最近は、魔術もうまく使えるだろう? きっと役に立つ時が来る。去年のカフカの森の演習の時のようにな」

「う……うん。ありがとう、レイくん」


 微かに笑みを浮かべる。決してお世辞で言っているのではなく、俺は心からそう思っている。エリサの緊張を少しでも緩和できるのなら本当によかった。


「ふん! 私は緊張なんてしてないけどね!」


 と、声をあげるのはクラリスだった。しかし、ツインテールは微かに震えている。これは緊張している時の兆候なのでクラリスも口ではそう言っても、思うところがあるのだろう。


「クラリス。大丈夫だ。今まで環境調査部で培ったものを思い出せば、きっと無事に演習を終えることができる」

「そ……そう? いや、別に緊張はしてないけど! そ、そう思う?」

「あぁ。男子たちほどではないが、しっかりとトレーニングをしているじゃないか。それにステラのトレーニングにも付き合っているとか」

「あ……まぁ、ステラはそうね。うん。あれを思い出すとなんだかできるような気がしてきたわ……!」


 ステラと一緒に極秘のトレーニングをしているらしいクラリス。実はステラに話を聞いているのだが、「秘密だよ、お兄ちゃん!」と言って教えてくれない。でもだからこそ、クラリスも確実に成長しているのだろうとは思う。


「ねね。レイ」


 アメリアが隣からツンツンと肩を触ってくるので、顔をそちらに向ける。


「私にはその〜何かないのかなぁ〜とか?」

「アメリアは大丈夫だろう」

「えっと……! 実は緊張しているような?」


 緊張している様子は全く見えない。むしろ、何かを心待ちにしているようだった。ともかく、アメリアにも声をかけておくべきか。


「そうだな。アメリアは去年の魔術剣士競技大会マギクス・シュバリエから成長が著しい。二度のエインズワース式ブートキャンプをこなしたことで、身体能力は抜群になった。もはや、自信を持たない要素がないだろう」

「えへへ……そうかな?」

「あぁ」


 そう二人で話していると、こそこそと話しているのが聞こえてくる。


「結構露骨よね、アメリア」

「しっ……クラリスちゃん! 乙女の戦いなんだよ!」


 そう話しているクラリスとエリサ。


「あはは。いつも通りだな〜」

「そうだな。まぁレイのいいところでもあるが」


 エヴィとアルバートも何か話をしているようだった。


 そしてたどり着いたディオム魔術学院。すでに生徒たちはかなり揃っているようで、賑わっている様子だった。今回、三校合同演習に参加するのは二年生だけである。


 しかし、三校も揃うということで人数は百人近くなってくる。


「あ! みんな、お久しぶりですわ!!」


 艶やかなロールヘアーをしている一人の女子生徒。女性にしてはしっかりとした肉体を持っている彼女は──アリアーヌ=オルグレン。


 会うのは久しぶりだが、どうやら元気そうだった。


「アリアーヌ。久しぶりだな」

「えぇ。レイもお元気でしたの?」

「もちろんだ」

「ふふ。そうでしたか」


 口元に手を持っていき笑うアリアーヌ。なんだか、初めて会った時よりも和らいかい雰囲気になったような気がする。


「アリアーヌ。久しぶり……でもないか」

「アメリア。そうですわね。春休みは一緒にお買い物に行ったりもしましたので」


 次はアメリアとアリアーヌが会話をする。今までは距離感のあった二人だが、話を聞くに今となっては昔のように仲がいいとか。俺としては春休みは筋トレに勤しんでいたので、初めて聞く話だった。


「それにしても、今回の三校合同演習ですが思い切ったことをしますわね」

「ん? それは誰のことを言っているんだ?」

「おそらくはアビー=ガーネット学院長なのでしょうが……今は貴族間で派閥争いもありますし、色々と面倒なんですわ」

「そうなのか……」


 その時思い出すのはホスキンズの話だった。


 曰く、裏の組織とつながっているとか。アメリアにはすでに話を聞いているが、あくまで噂の域を出ないと言っていた。それに、ホスキンズ家の派閥をよく思っていない貴族が流しているデマの可能性もあると。


 今回の三校合同演習、無事に終わってくれたらいいのだが……。

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