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第349話 三校合同演習


「はいは〜い! 今日はちょっと新しいことについて説明するよ〜!!」


 キャロルがいつものように教壇の前で甲高い声を上げている。今となってはもう慣れてしまったが、改めて見るとよく教師が務まっているものだ。


 それにしても新しいこと、とはなんだろうか?


 確かそろそろ一年生はカフカの森での演習、そして二年生もまた演習があるはずだが……そのことに関してかもしれない。


「実は、今年は三校合同演習をすることが決定しましたっ! キャピっ☆」


 なぜか顔の横でピースを決めているキャロルだが、今はそんなことはどうでもいい。今、言った三校合同演習とは……文字通りに受け取るならば、うちの学院だけではなく他の二つの学院も含めて今年は演習をするということだろう。


「アーノルド魔術学院、ディオム魔術学院、メルクロス魔術学院。去年の大規模魔術戦マギクス・ウォーでも三校が混ざるような形で大会があったけど、今年は演習にも取り入れようって話になったんだよぉ〜☆」


 と、キャロルがどうしてそうなったのかという理由を説明してくれる。確かに、去年の大規模魔術戦マギクス・ウォーは記憶に新しい。今まではそれぞれの学院が交わることなどなかった。


 互いに切磋琢磨しているが、どちらかといえばライバルに近い関係だ。敵対意識を燃やしている生徒もいると聞く。


 もしかすると、新しい風を取り込みたいという意図もあるのかもしれない。


「三校合同演習は来週の月曜日から水曜日までの三日間! お泊まりになるから準備はしっかりとね〜☆ そ・れ・と……! 今回は二年生だけの演習になるからね! 他の学院の生徒とも仲良くするように……! キャピ☆」


 相変わらず途中で挟む謎の言動をどうにかして欲しいのだが……ともかく、三校合同演習はさっそく来週から開始されるようだった。


 果たしてどうなるのだろうか。



「ふっ……ふっ……!」

「はっ……はっ……!」

「ふん! ふん!」


 俺、エヴィ、アルバートの三人は筋トレに励んでいた。今となっては、俺たちの部屋にアルバートもやってきて三人で筋トレをすることは当たり前だ。学内にあるジムを利用することもあるが、実はリビングのスペースを思い切って筋トレ専用に変えてみたのだ。


 俺たちトレーニーにとって筋トレができる場所はあればあるほどいいからな。


 そして、上半身裸で三人で汗を流す。今となってはアルバートの筋肉もかなりのものに仕上がってきている。一年前とは比べ物にならない。魔術の方もかなり伸びてきており、今となっては学内でも屈指の魔術師と言っても過言ではないだろう。


「ふぅ。終わったな」

「あぁ」

「今日もいい筋トレだったぜ!」


 俺たちは筋トレ後、タンパク質をすぐに摂取する。三人でクールダウンをしながら、来週月曜日に行われる三校合同演習について話をするのだった。


「三校合同演習だが、二人はどう思う?」


 俺が話題を振ってみる。すると先にエヴィが答える。


「うーん。どうなんだろうなぁ……去年の大規模魔術戦マギクス・ウォーから色々と風向きは変わっているような気もするけど、大胆なことするよなーとは思うぜ? 今までは他の学院とは敵対しているような感じがあったし」


 エヴィの言っていることは一理ある。

 

 そもそも毎年夏に開催されている魔術剣士競技大会マギクス・シュバリエの影響もあって、三校はライバル意識が強い。といっても俺は詳しくは知らないのだが、そのことはある種当然のことであり入学する時にもそれは意識するのだとか。


 そして、次はアルバートが口を開いた。


「最近、貴族の方でも風向きが変わってきていてな。今までは血統主義がほとんどだったが、他の主張をする貴族も増えてきた。才能だけではなくその他の要因もまた必要不可欠だと。だからこそ、血に固執し過ぎるのは良くないのではないか、とな」

「そうなのか?」

「あぁ。去年の大規模魔術戦マギクス・ウォーも三大貴族の助力が大きいと聞く。もともと三大貴族はスポンサーのような側面があるからな。今となっては、昔と比べるとかなり柔軟になった印象だが……今回の三校合同演習もその一環かもしれない」

「なるほど……」


 三大貴族の意向も汲まれている、ということか。それぞれの当主にも考えがあっての今回の合同演習が実行されることになった。ただ俺は一点だけ気になることがあった。


「アルバート。ホスキンズの件は関係ないのか?」

「あぁ。その件だが、ずっと探っていたんだが一つ噂があってな」

「それは?」


 アルバートは一息置くとその噂について話をしてくれた。


「ホスキンズ家は何か裏の組織と繋がっているというものだ」

「裏の組織?」

「詳しい名前は知らないが、そこからのサポートによって一大勢力になったかもしれないとな。思えば、ホスキンズ家はそこまで突出していなかった。急な成長には何かあるのかもな」

「ふむ……」


 流石に演習に大きく介入してくることはないだろが、去年の件もある。それにきっと、アルバートが言っている組織とは優生機関ユーゼニクスの可能性がある。


 去年の演習ではグレイ教諭が干渉してきたが、今年もどうなるのか分からない。まぁ、流石にアビーさんが何の対策もしないわけはないが……一応、気をつけておくに越したことはないだろう。


 そうして俺たちは三校合同演習を迎えることになるのだった。

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