513回目の世界
何故か、累積していた違和感が消えた。〈外部〉からの干渉があったようだ。この世界に何が起きている、我は守るために、この世界への影響力を高めなくてはならない。〈従者〉の作成は、そういう意味では正解だっただろう。
我が〈従者〉を作成したことで、動き出した者が居た。いつもの二人ではあるが、イニシエンとレアルだ。メビウスは興味が無いのか、何を考えているのかよく解りはしないのだが。フォルフルゴートにとっては、ドラゴンが〈従者〉のようなものだ。ドラゴンに〈魂〉がある事が不思議に思われるかもしれないが、おそらくは、敵対すべき人間と格として同列である必要があるのだろう。そうでなくては、人間を守るために、世界によって淘汰されてしまう。それに、ドラゴンの〈魂〉は、中身の無い殻のようなものだ。〈在り方〉無くては存在出来ない。
話が逸れた。レアルは、どんなに〈従者〉を造り出そうとも、それはレアルという存在にしかならなかった。元々、複数の身体を持つ存在。分けるという事が出来ないのだろう。だが、問題はイニシエンである。我でさえ、驚いてしまった。気でも狂ってしまったかと、本気で心配してしまった。
まず、権限の一部を核にする所までは我と同様。我は〈生命力〉を供給する事で、その身体を維持させるのだが。イニシエンは自らの肉体を割いて分け与えたのだ。その分けられた肉体は、もはや別の個体とする。そんな力技で〈従者〉を造り出した。いや、肉体は〈システム〉としてはそこまでの損傷にはならないが、別個体として固定してしまえば、そこはイニシエンとして再生しない。悪魔のような尾も、二本の角も、二対の翼も失い、まるで人間のようだ。
生命力を介して、繋がっている我らと違い。イニシエンの従者は完全に独立した存在となっている。〈在り方〉として設定したのは人間の欲の形であるが、名前に〈魂〉を冠する名を入れる程に徹底して、一体何がしたいのか。そこまでして、自身と分離した存在を作りたかったのか。利点が無い訳では無い、我が滅ぼされれば、我の従者は生命力が供給されず、じきに消滅するが。独立してしまったイニシエンの従者ならば、消える事は無いだろう。
だが、逆に。我が従者は消滅しても、生命力を供給すれば再生するが、イニシエンでは不可能だろう。そういえば、〈従者〉は〈管理者〉の一部であると認識されるため〈世界転生システム〉によって共に復活するが、この場合はどうなる。権限の一部を核にしているのだから、同じような認識になるだろうか。
なんにせよ、フォルフルゴートでも動かない限りは〈管理者〉が滅ぶことは無い。イニシエンの従者の利点は、意味が無いとしておこう。他に、我らと違い力に差が無い事だが、どうやら7体の従者を同時に作成したとの事。その行動力には呆れよう。




