4158回目の世界
世界はひとまず安定している。不自然な自壊は収まり、変異する人間も殆どいなくなっている。いない訳では無いが、それはそれで安定しているようだ。それも全て〈魔力〉の起こす異常と言って良いのだろうか、間違ってはいないだろう。
前々から危惧していたことを解消する為、今回の世界から〈宣言〉というシステムを実装する。これは〈能力〉を使う際に、使う事を〈宣言〉しなくてはならないというものだ。単純な抑止力ではあるが、無いよりはマシだろう。全く使われないというのは問題であるため、このような緩いものになっている。
不用意に力を振るう事の無いように、もう少し強制力のある制限をかけたかったのだが、レアルがやけに反対していた。多少妥協したような形にはなっているが、現状その抑止力は働いているようだ。何しろ〈能力〉が発現した人間は多い。〈宣言〉が必要な事と、お互いが抑止力になっていると言える。
〈能力〉だが、〈宣言〉の他にも無条件で使える訳では無いようだ。〈権限〉も無条件に使えるものでは無いので、使えてたまるかという考えもある。〈能力〉の大元には〈プロテク・コード〉と〈シール・コード〉の組み合わせがあるのだが、これの事を〈根源〉と呼ぶことにした。
〈根源〉は全ての人間が持っているが、全ての人間が〈能力〉を発現させる訳では無いようだ。基本的に生まれついたものではあるが、場合によっては、肉体の変質、精神の変化、はたまた何らかの行動によって、内部にある〈根源〉が合致する事もある。この辺の事も全て含めて、厄介なものであり、やはりこの世界の理の外のものである事を自覚する。
もう一つ、大きな問題がある。中立の管理者が出てこない。リアの言っていた戯言が、真実とするならば、フォルフルゴートは管理者として大きな欠陥を抱えている。だが、事実として、2946回目の世界から、一度として世界に降りてはいない。真意を問いただす必要がある。何を思って、世界に現れないのか、その〈在り方〉を放棄しているのか。
……。最早、フォルフルゴートを頼る事は出来ない。例え、中立が機能しなくなったとしても、我らは世界を守る。それこそが使命であり〈在り方〉だ。何人たりとも、この世界に危害を与えさせない。この礎に、どれだけの屍を重ねたか忘れるな。我らは世界を維持しなくてはならない。何をもってしても、終わらせてはならないのだ。




