崩壊以降の世界1
あの現象。少なくとも、世界の異常と関連付ける事は可能だ。そうなれば、あの波のようなものも説明しようとするならば。おそらく、世界はこのような異常を起こしていながらも、何かを抑えている。だが、抑えるというのは、それが解消される訳では無い。今回の世界で限界が来たのだろうか。つまり〈世界転生システム〉が機能しきれていない可能性がある。その辺の事は、更なる調査で明らかになるだろう。
動き出すのは我らだけではない筈だ。他の管理者も動き出す事は予測できる。しかし、一番最初に接触してきたのが、メビウスだという事には驚きだと言っておこう。
「私達は既に結束している。残すは貴様だけだ。この事態、楽観視は出来ない。協力するべきだろう?」
なるほど。既に手を組んでいたか。そうなれば、最も説得に向いている人選だろう。だが、簡単に手を組むつもりも無ければ、必要もない。我らは既に情報を持っており、更なる情報を得る事は容易い。
「汝等、それには、理解しよう。だが、要らぬ。我ら、世界を整えるもの。この件、既に調査は済んでいる。故に、必要ない」
我らの情報。ただ渡すつもりは無い。メビウスは、何を考えるか解らないが、少なくとも、イニシエンとレアルは悪用するだろう。我らは世界を守るもの。不用意な行動をするつもりは無い。
「ククッ、本当に、そう明言できるのか?」
「……。汝、何を言いたい」
メビウスは、何を考えているのか解らない。揺さぶりをかけようと我の影響力を放つが、おそらく効果は無いだろう。それに、確かに思う事はある。
「私は、時間が無いと言っているんだ。次の世界でも同じことが起こる可能性が高いが、それは今回の世界のように、猶予があると思うのか? この世界へのダメージについては、貴様が一番理解しているのだろう?」
「……。何を知っている」
そんなことは解っている。だが、そう仮定しなければ動けない事もある。このままでは話が進まない。早く話せと促すことにしよう。
「少なくとも、この力を利用する方法は、推定している。上手くやれば、時間稼ぎくらいは出来るだろう。貴様は、その可能性さえも、切り捨てるか? 全てが可能性でしか無いとはいえ、最善を選ばないのは、秩序の管理者として、怠慢だろう? ククッ、よく考える事だ」
これは、メビウスの結界の話か、確かに、あれはおかしなものだった。異常によって構成されたのならば、納得は出来る。それに、かつてイニシエンも異常を利用していた。だが、我らにその術は無い。異常の方向性を逸らす事が出来るのならば、最悪の事態であろうとも、調査を進める時間を得る事は出来るという話か。
「……。解決するまでの、期間に限り、汝らに、協力しよう」
そろそろ世界が完全に崩壊する。他の管理者に関しては、多くの事を与えないように、注意すれば良いだろう。我等が、解決するまでの期間ならば、納得もしておこう。




