2628回目のその後
まさか、こんなことが。ドラゴン達は人間の居ない西の島々に住んでいる。今回の世界では、あまり干渉してくることもなく、干渉されることも無かったようだ。そこに、イニシエンは強襲を仕掛けた。
先ずは、〈ワールド・レジスタンス〉の人間達を二つのルートで進ませたようだ。〈プライディクの森〉経由でひっそりと潜り込ませつつ、南の海経由で、ドラゴン達の住む島へ進ませる。そして、海ルートの部隊がたどり着き、攻撃を開始すると同時に、森ルートから入り込み、潜伏していた部隊が攻撃を開始する。
唐突な攻撃に動揺するドラゴン達であったが、そもそも素の力が違う。すぐに立て直して攻勢は一転するだろうと、思っていた。だが、その戦線は拮抗している。いったい何をした。例えイニシエンの力を貸していたとしても、所詮は人間でしかない。数の有利があったとしても、格差を埋められる程では無いはずだ。
それだけではない。人間達にドラゴンの相手をさせている間に、イニシエンと悪魔達は、フォルフルゴートに戦いを挑んでいた。普通に考えるのならば、無謀だと言うしか無いのだが、何か考えがあるとでも言うのだろうか。そのような状況が進展していく中、レアルから来てほしいという伝言があった。何か、解った事があるらしい。
分体を創り〈観測塔〉に向かう。そこには、我だけでは無く、メビウスも集まっていた。レアルが言うには、この塔に来ていた人間達に、技術の一部を盗まれたのだという。それを使って〈ワールド・レジスタンス〉は強力な兵器を開発したらしい。しかし、それは完全なものでは無いし、ドラゴンを相手するにはまだ足りないという事も。
レアルは、イニシエンとフォルフルゴートの戦いを見れば、何かが解る筈だと言っている。そして、〈観測塔〉はその様子を映像にして映し出す。戦いが始まろうとしていた。本来ならば、拒絶の力によって一瞬で終ってしまうもの。そして、光が放たれる。
だが、イニシエンはそれを何らかの方法で防いだ。そして、驚くフォルフルゴートに拳を撃ち込んだ。拒絶の壁を撃ち抜き、微かだが、確かにダメージを与える事が出来た。そして、戦いが本格的に始まる。
その攻防を見ていて、違和感を感じた。その違和感を感じるという事に、違和感を感じる。イニシエンは、この世界に起きている異常現象、そのものを壁にして拒絶を防いでいる。まさか、繋ぐ力で任意に呼び出すとは、誰が考えるだろうか。そして、この異常は拒絶の力でどうにかなるものでは無いという事も、同時に理解した。
この戦いは、とても長いものだった。攻撃を防ぎきれなかったのか、数体の悪魔は既に消滅している。対するフォルフルゴートは、傷だらけとは言え、未だに深刻なダメージを受けてはいない。イニシエンは一撃でも防ぐことが出来なければ終わり、そんな極限な状態で、戦線を維持している。その終わりは、世界が崩壊を始めた。




