2509回目の世界
どうしようもない。解決が出来ぬまま、時は経つ。レアルは二人も従者を増やし、更なる調査を続けているようだが、何も進展は無いようだ。イニシエンは、特に言う事は無いだろう。メビウスは、特に何か行動しているという事は無いが、調子を取り戻してきたかのように見える。
しかし、未だに何も見つからないというのは、やはり〈外部〉に問題があり、この世界には原因その物は存在しないのではないかという結論に至ってしまう。レアルも同意見であるようだ。イニシエンは、理解しているのかしていないのか解らないが、何か考えているようにも見える。だが、フォルフルゴートが無言を貫いている以上は、今は我らに出来る事をするしかないだろう。
だが、状況は、酷いものだ。頻度は高くないが、命を落とす人間が現れ始めた。おそらく、この異常が人体の中に起きたのだろう。せめて、制御する方法があれば、最低限に出来る。しかし、未だに何が原因なのかも解りはしない。
世界がこんな様子なのが災いしてか、人間達の精神にも問題があるようで、やけに治安が悪い。イニシエンの君臨する〈中央統制国家セントルス〉と〈仕組みの教団〉の治安部隊。それどころか、レアルの率いる〈鉄の騎士団〉も安定化に努めているが、どうにも効果が出ない。
確かに、多くは無いとはいえ、謎の不審死が起きているというのは、恐怖を煽る。そこから、噂を呼んで、噂が更なる噂を呼びこみ、不安と恐怖で包まれている。火種が徐々に燃え上がっている。こういう時はメビウスの管轄なのだろうが、今回奴は影響力を広げなかったために、さしたる力を持っていない。不安が感染しすぎて追いつかないと、そう言っていた。
とうとう〈中央統制国家セントルス〉が割れた。そして、戦乱の時代が訪れる。制御された戦乱では無い、制御不可能な戦乱。そうなれば動くのが、ドラゴンになる訳だ。人間の共通の敵となり、人間同士の戦いをやめさせる為に。だが、もう止まらない。火に油を注いだかのように、加熱していく。
破滅願望に支配され暴走を始めた〈仕組みの教団〉も、無感情に争いを止めようとする〈鉄の騎士団〉も、更なる戦乱の拡大にしかならなかった。そして、とうとう、世界が悲鳴を上げる。
短い時で滅びる事も多くなった、全体的に維持できる時間も減った。世界は、どうなってしまう。我に出来る事は、出来うる限り、世界を維持する事だけだ。




