1994回目のその後
我らは、先ずは〈ファーテック王国〉をどうにかしなければならない。何故なら〈アフラ山脈〉によって、こちら側と、〈未開の大地〉〈オブリートシティ〉は分断されている。その為に、比較的攻めやすい〈北方連邦〉を攻撃する事は簡単に予測できる。だが、どうやるのか。
精霊達が交渉しているが、返答は芳しくない。そもそも、近隣の国を占領し、国土を大きくしていったのが〈ファーテック王国〉であり、それに対抗するために団結したのが〈北方連邦〉である。仲が良い訳でなく、今でも小さな諍いは続いている。その為に、双方からの拒絶がある。
理想は、不審なメビウスの動きを阻害する為に〈ファーテック王国〉をぶつける事。我らは、補佐役として、協力する形をとり、戦闘の前面には立たない。そして、両者の力関係が拮抗するように調整できれば、最善ではあった。レアルは、今の所動き出す様子を見せないが、もし動き出した場合、力を温存した我らで抑制する事は容易いだろう。だが、現状上手くはいかない。バランスを保つには、どうしたらいい。
意外な突破口がそこにあった。〈北方連邦〉の一部の国に出入りしている〈救い上げる巡礼者〉は〈未開の大地〉に拠点を置いているという。そして〈アフラ山脈〉を容易に超える方法を知っているらしい。その情報を手に入れる事が出来れば、上手い事〈ファーテック王国〉を誘導出来るかも知れない。
〈救い上げる巡礼者〉からの要求は全ての〈北方連邦〉の国に出入りできるようにすること。メビウスの影響範囲を広げる事になるが、寧ろ都合がいい。〈ファーテック王国〉が勢力を強め過ぎた場合、密かに支援する事も容易になるだろう。我らは勢力のバランスを保てばいい。
そして〈ファーテック王国〉には、我らを二百年の間は攻撃しないという条件の元に、この情報を渡すことになる。永続というのは双方納得はしないだろう、そして、二百年も攻撃を受けなければ〈北方連邦〉側の態度は軟化し、交渉はしやすくなるはずだ。そういえば、この情報というのが〈アフラ山脈〉を超えるのに〈ハウンドリィ同盟〉の力を借りるというもので、友好関係のある〈救い上げる巡礼者〉を頼る事になるが、本当に敵となりうる存在を受け入れるのか。あのメビウスが気づいていないとは思いにくい。
いや、想定外の事が起きた。〈ハウンドリィ同盟〉は〈ファーテック王国〉を攻撃し始めた。そして〈救い上げる巡礼者〉は〈北方連邦〉を扇動し攻撃させようとしている。精霊達は必死に止めているが、今まで争った背景がある中、難しい事であった。そして、最終的に、三つの勢力から攻撃を受けた〈ファーテック王国〉当分の間動けなくなるほどに壊滅してしまう。
それで、終わればよかった。〈救い上げる巡礼者〉の扇動の元。〈ハウンドリィ同盟〉によって運ばれていく〈北方連邦〉の人達。行先は〈オブリートシティ〉多くの人たちが集められていく。この事態に、早急に分体を創り、我も向かう事にする。そして、そこには異様な光景が広がっていた。微動だもせず、祈る人々。町の中央に立つ、神聖の管理者メビウス。
「私達の悲願を叶える時だ。今、理不尽な理から解放され、真の救済を此処に具現化しよう。祈れ、皆の想いを一つにし、世界を書き換える! ありとあらゆる、必然的な不幸は、未来永劫消え去るだろう!」




