初めての夜2
(図書館の能力で何時もの様に知識を蓄えておった時、ふらっと現れたワシの義姉上が「お前は経験が無さすぎる。父の息子と言うのなら強くなって戻ってこい」と半ば強引に連れ出されて今に至るわけじゃ。ふう喉が渇いたのう水を出してくれ)
これで自分の話は終わり、スコールは水を請求してきた。
(水ね。分かったよすぐに汲んでくるよ)
そう言いつつ。土魔術で底の深い皿を作り川へ向かう。
(いやお前さんは何を言うとるんじゃよ。水魔術で出せばよかろう)
そういえば自分の適性に水があったことを忘れていた。しかし水はどう出せばいいのだろうか?スコールにまた補佐をしてもらう他は無さそうだ。
スコールに補佐しくれたため、難なく皿に水を注ぐことが出来た。しかしこの水は何処から出てきたのだろうか?
(この水って何処から出てきてるの?)
(その謎は今も学者の間で議論をされていてな。昔は体内の水を出してると言われておったらしい。しかし死刑執行人が罪人に水を大量に出させたが、水の体積が罪人の体積を上回ったが、それでも水が出たためこの説は間違いだと分かった。次は大気中の水素から水を作り出していると言う説がある。まぁこれも結論から言うとのこれも間違いだったらしい。じゃからワシにもよく分からんのじゃ済まんの)
スコールが分からないと言ったのはこれが初めてな気がする。まぁそれでも物知りなのは変わらないから、この機会に分からないことでも聞いておこう。
(魔力を持たない者はステータスが見れないと思うけど、どうやって確認しているの?)
(魔力を持たん者はユニークスキル「ステータス閲覧」というスキルを取得してある。このスキルは他の者のステータスをも見ることが出来るために、人間達の「公務員」と呼ばれる者になり人々から厚い信頼を寄せられているらしいの)
あと聞きたいです事はあったかな?そう悩んでいるとスコールの方から疑問を聞いてきた
(質問はないかの?ならワシからも1つ、何故お前さんはこの森で土に埋まっておったんじゃ?)
(……何でだろうね?自分も起きたら埋まってから分からない。埋まってる時の前の記憶が無いから、自分よりスコールの方が自分の事を分かってると思う……よ?)
自分で言っていて何だかんだ不自然な事が多いと思うが、記憶が無いからこれ以上は答えられない。
(そうかのう?……もう1ついいかの?そろそろお前さんの名が無いと呼びづらいんじゃが……ここで名前を付けるとのはどうかの?)
名前?そう言えば自分には名前がまだ無かったな。自分は「スコール」と言っているのに、スコールは「お前さん」と呼んでいる。確かにこれから協力し合うのに何だかんだ不仲みたいだ。
(なら自分の名前を付けてくれないかな?)
(……確かにそうなるか……うーむこれは責任重大じゃのぅ)
そう言いスコールは悩み始めた。その間暇だったので薪を焚べたり、お代わりの水を注いでたりしたが、スコールはまだ悩んでいた。何か無いか辺りをキョロキョロ見ていると、不意に視界が少し明るくなった。空を見上げると太陽とはまた違うまん丸の星が、空に浮かんでいた。
(スコール。あの星は何て名前なんだ?)
(ん?あぁ、あれは月と言うこの星を回る衛星じゃな。今宵は綺麗な満月じゃの)
スコールが自分に釣られて空を見上げ、自分の質問に答えてくれた。
(満月?月には種類があるのか?)
(勿論じゃ。月はの周期というのがあっての。大体1ヶ月ぐらいでこの星を回る。その際に形が変わるんじゃよ。)
(成る程。今日は満月だけど次の日は違うのか。何だかんだ楽しみだよ)
明日の夜は月が、どんな形をしているのか楽しみだ。
(月を追うのう……よし!ならお前さんの名前が決まった。お前さんの名前は今日から「ハティ」じゃ)
ハティ……自分の名前
(ハティ……うん自分はハティだ。ありがとうな自分に名前を付けてくれて)
(うむ、気に入ってくれて何よりじゃ。明日はもっと忙しくなる、そろそろ寝るとしよう)
スコールがそう言うと丸まって目を閉じた。自分も目を閉じて眠気を待つが、興奮して中々眠気がこなかった。
何か名前の下りが凄く強引になってしまった。