毛玉との邂逅
(……人間よ…土に埋まってなにをしている?)
小さな体に白いフワフワとした毛を蓄え、クリクリとした大きな目に、笑っている様にも見える口からは小さな舌がチロチロで出ている。
そんな可愛らしい白い毛玉がこちらを見つめていた。
!?!?!?
凄い事に気付いてしまった。
目の前に居る毛玉がーーー
ーーー根を張っていない事にーーー
それは自分にとって衝撃的な事だった。
何故なら、自分と、周りの木々と、綺麗な植物の共通点は根を張っている事だった。
しかし目の前の毛玉は根を張らず動いている。
さっきまで自分達が変とか思っていたが、自分はまだまだ植物の範疇だったらしい。
(君も苦労しているんだね……)
自然とそんな事を思っていた。
(いや、現在進行形で苦労しているのは体の半分が埋まっているお主じゃろ?)
目の前の毛玉が「何を言ってるんだ?」という感じで返答してきた。
………ん?
あれ?自分の考えを相手に伝わってる?
(あれ?自分の考えを相手に伝わってる?)
不思議だな〜と思っていると、目の前の毛玉は呆れた様に返答を返してきた。
(お前さんは何馬鹿なことを言っておる?念話で話てるのだから当たり前じゃろ?)
………成る程。これは念話という当たり前のことなのか。
(成る程。所で自分とそこの綺麗な植物は何て名前の植物なんだ?)
当たり前のことを当然の様に知っている奇想天外の毛玉なら自分のことも分かるだろう。
(……お前さん……さては頭が……いやこれ以上はなにも言わなんでおこう……)
そう思い聞いてみると、何やら本気で心配をする様な感じで話してくれた。
綺麗な植物の種類は、花と言うらしくその花の名前は「月の雫」とか言う希少な花らしい。
そして自分は植物ではなく、動物で毛玉が見たところ人間?とドワーフ?のハーフ?って奴らしい。名前も聞いたが……
(ワシが知ってる訳ないじゃろ)
……とのこと、何でも人間の近縁種達は個体毎に名前が違うらしい。奥が深い。
(誤解される前に言うが、ワシは「魔獣」の中でも最も高位に位置する「神獣」フェンリル…………………の息子スコールと言う)
「どうだ?凄いだろ?」と言わんばかりに胸を張るフェンリルの息子スコールさん
(へー良く分からないが凄いんだな)
自分の返答で気を良くしたのか尻尾をブンブンと上機嫌に振るスコールさん
(そうじゃろ?そうじゃろ?…………でも母さんが他の義母さん達よりランクが凄く低いから……そのことで義姉ちゃん達が虐めるんだ……)
さっきまで上機嫌に尻尾を振っていたスコールだが、嫌なことを思い出したのか、口調が弱々しくなり尻尾は完全に沈黙し小さな体が更に縮こまってしまった。
(ま、まぁワシが本気を出せば義姉上達より強くなれるのは必然じゃがの)
スコールは強がる様に言い張りながら、トコトコと、こちらに来て自分の胴回りを掘り始めた。
(何してんの?)
いきなり自分に近寄り土を掘り始めたスコールの行動を疑問に思い聞いてみると。
(何、お前さんに少しばかりの知識を与えたのと、自由に動ける様にしてやる代わりに、ワシに恩を返して貰おうと思っての)
スコールは何やら難しいことを言った
(恩って何だ?)
(あぁ……お前さんはやはり頭が悪いのか……まぁ知識はこれからワシが与えるとして、恩と言うのはな、自分がされて嬉しい事やありがたい事などを相手にされる事じゃ)
(嬉しい事……ありがたい事?)
(ワシがお前さんにした恩は、知識を与えた事と、体を動ける様にした事じゃ。そして恩は返さなければならない)
(返さなければならない…)
恩は返さなければならないのか。
よし覚えた。何をすればいいのかは分からないけど、スコールが自分にしてくれた恩はきっちりと返そう。
そんな事を考えている間もスコールが、自分の周りの土を掘ってくれてたお陰で、目覚めて初めて自分の下半身が見えてきた。
(そろそろ足が動かんじゃないかの?いや〜お前さんが小さくて助かっ……まさかとは思うが歩けないと言う事は無いかの?)
(………いや、何となくだけどそれぐらいは分かるらしい)
そういいながら、自分はもぞもぞと足を動かして土からの脱出を計る。……お!ようやく土からの脱出が出来そうだ。
(それは良かった。流石に四足歩行のワシが、二足歩行のお前さんに歩き方は教えられんからの……)
安堵しながらスコールは息を吐いた。そしてスコールは腰を下ろし、ここからが本題だと意識を切り替える。
(さてワシはお前さんに知識を与えただけではなく、体を動かせる様にしてやった……違うか?)
(?そうだけど急にどうした?)
確かにスコールは知識をくれたし、体も動ける様にしてくれた。その恩はきっちりと返すと決めているがいきなり改まってどうしたのだろうか?
(………こういうやり取りは雰囲気作りが大切での、まぁ取り敢えず合わせるものなんじゃよ)
折角作った雰囲気を壊されてスコールは少し恥ずかしい思いをしながら忠告をした。
成る程、取り敢えず雰囲気とやらを合わせればいいのか。スコールが座ってるのに自分が座ってないのは少し変か。
スコールの真似をする様に座ると、奇しくもその体勢は正座だった。
(あぁ。スコールから貰った恩はきっちりと返すよ)
そう言うと、スコールは話の雰囲気に乗ってくれたのが嬉しいしのか尻尾を再び振り始めた。
(うむうむ。その心掛け誠に良いぞ……さてお主がワシにやってもらうことはーーー)
(ーーーワシの魔獣としての位を上げる手伝いをすることじゃ)
自分の稚拙な語彙力では伝わりにくいと思うので書きますが、スコールはポメラニアンみたいな外見しています。




