蕎麦と天ぷら
今から天ぷらにするのはグラの新芽とフラルイキナ、そして、チベット爺さんが採ってきたごこみだ。
山菜の下処理を始める。
まず山菜たちを水で洗う。
グラの新芽の茶色く固い部分を切り落とし、根元の周りのガクをそぎ落とす。
次にごこみ。根元の1cm程の固い部分を切り落とす。柔らかい丸まった先端の部分と、固い茎の部分に切り分け。先ほどのグラの新芽と一緒に、水に十分程浸しアクを抜く。
フラルイキナは食べやすい大きさに切る。
(これで下処理は終わり?)
「大体な。あとはコケッコウの卵と小麦粉をまぶし衣を纏わせ油で揚げて完成じゃな。この間に蕎麦でも茹でようかの。」※スコールが通訳した
(蕎麦?)
「そう蕎麦じゃ。昨日背丈があっとらんらしく売り物にならんと言われ貰っての。じゃが味はお墨付きじゃよ」※スコールが通訳した
鍋に火を付け水を沸騰させ、蕎麦を茹でる。
「ありゃ、これでは蕎麦の汁を作る鍋が足りんの。どうしたものか……隣から鍋を借りるかのう……」※以下略
チベットとは頭を抱えて考えている。
(俺が鍋を作るよ)
「そんな事が出来るのかの?」
チベットが怪訝そうに俺に問う。最近は鍛錬の成果か、空中で小物を作れるようになっていた。
そしていつもの様に土魔術で鍋を作り出す。空中で土魔術を使うと、作られる工程が見れるから面白い。
(はい。魔術で作った筈だから綺麗だとは思うよ?)
「いやはや、驚いた。君、結構器用なんだね?」※以下略
(器用が一番高いからね)
蕎麦の汁を作り始める。
鍋で水を沸騰させたら火加減を弱くし、鰹節を入れ二分程煮出す。ここでポイントなのが鰹節を入れたら沸騰させない事らしい。
二分程煮込んだら、容器にザルを乗せキッチンペーパーを敷いてダシをこす。
こしたダシを冷やし、また鍋に熱する。その時に醤油、みりん、料理酒を入れ沸騰させ蕎麦の汁は完成。
アクを取り除いた山菜に衣を付け油で揚げる。きつね色になったら油から取り出し、キッチンペーパーを敷いている皿に乗せて完成!!
(この紙便利だね)
「これはキッチンペーパーと言ってな。900年程前に異世界から来た勇者が作った物なんじゃ」※以下略
900年程前に勇者が作った紙……なんかいまいちピンと来ないな。
◇◇◇
「出来たぞー」
(おお!やっと出来たかの!!)
待ちわびたとばかりにスコールが尻尾を振っている。
(蕎麦まで付いてくるとは贅沢じゃな)
「いいか?蕎麦は啜る音を立てて食べる物なんじゃよ」
(おお、それは図書館で読んだことがあるぞ。確かうどんも音を立てて食べるんじゃよな?不思議な文化じゃな)
「そうじゃが、何でスコールが知っとるんじゃ?」
そうなのか。まぁ、実食。
(いただきます)
ズルズルと蕎麦を啜る。
(うむ!蕎麦というのは香りが良いの!この汁はダシが効いていで、蕎麦と一緒に啜るともっと美味くなるのう!)
スコールが味の感想を述べてくれた。作った側としては嬉しい限りだ。まぁ、蕎麦は茹でただけだけど……てか凄い器用に食べるなスコール。
「山菜の天ぷらも中々じゃよ?」
(何と!どれどれ……すまんが取ってはくれんかの?)
流石にスコールは山菜の天ぷらを取れなかったため、取ってあげた。
(ほうほう。作りたてじゃから当たり前じゃがホクホクじゃな。これは蕎麦の汁との相性が良くて止まらないの!)
スコールは美味しそうに食べていく。……あ、見てたら無くなってしまう食べなきゃ。
◇◇◇
(ふいー食べたのー)
スコールは満足そうに腹を見せている。
「では〆といこうかの」
(〆?)
「残った汁に、蕎麦湯を入れて飲むんじゃよ。これがまた美味くての」
そう言ってチベットは台所へ行き蕎麦湯を持って来た。そして蕎麦湯を汁に入れて飲む。
(……なんかホッとするね)
(そうじゃの〜)
(そういえば、聞きたいことがあったんだ)
「何じゃ?分かる事なら答えられるが……」
チベットは若干心配そうに聞いてくるが、恐らく知っている事だろう。だから俺は聞く。
(種族大戦って何?)
料理作るだけで終わってしまった……山菜の天ぷら食べた事無いんで食レポが雑になってしまいました。