そしてあらすじへ
コケッコウの肉は全部食べてしまった。
コケッコウを捌き、可食部位だけにしたにも関わらず、それでも子供と狼が食べれる量ではない筈なのにだ。
(食べた後に言うのも何だけど、あの量普通食べれないよね?)
(そうじゃの。じゃが、ワシらは魔素を取り入れステータスを更新した。魔素は進化を促すだけじゃ。体は進化し構造も少し変わる。それには莫大なエネルギーが必要じゃ。もう一度言うが魔素は進化を促すだけじゃ。促すだけでエネルギーを補ってくれんのじゃ。じゃからステータスを更新したらその分エネルギーを摂取しなければならんのじゃ)
(へー……ところでステータスを更新した後エネルギーを摂取しないとどうなるの?)
(死ぬの)
マジかよ。
しかも、聞けばステータスの上昇が高ければ高いほどその分エネルギーが必要なんだろう。
(じゃが死ぬ事を恐れて訓練を怠り魔素を取り込めば、位が高くともステータスが低くて弱いままじゃ)
(ん?ステータスって魔素を取り込めば上がる物じゃないの?)
(そんな訳無かろう。努力をすればする程ステータスは高く上がるし、スキルも発現するんじゃ。逆に何もしなければステータスは伸びんのじゃ)
そうなのか。早朝に魔獣コケッコウを狩ってしまったのは多分想定外だったのだろう。しかし、ステータスが上がってスキルが発現して良かった。あんなに頑張って倒したのに、ステータスが上がらないのはショックが大きいからね。
唯一、上がらなかった水魔術は全く使っていないからだろう。使ったの昨夜コップに水注いだだけだから。
(そう言う訳でこれからは訓練をし、ステータスの上昇を図る)
(わかった)
こうして訓練の日々が幕を開ける。
◇◇◇
メニュー
腕立て10回3セット、腹筋10回3セット、背筋10回3セット、スクワット10回3セット、50メートル?ダッシュ10回、素振り100回、魔術行使限界まで。
最初はこんな感じだ。慣れると回数を増やしていった。これをやり終わったら必ずストレッチをしないと地獄を見るとスコールに言われたため、欠かさず行なっている。
最初は「ふーん」ぐらいだったが実際やると割とキツイかった。だが、これをやった後のご飯は格別に美味しい。
50メートルは大体なので本当にあるかは分からない。
素振りの棒はコケッコウの時に作った棒だ。あの後違う棒を作って使ってみたが、最初に作った棒よりしっくり来ないし、折れやすい。何故かは分からない。
そして一番キツかったのが魔術行使だ。限界まで使用した後にまたスコールが魔力与えてくるのだ。そのお陰か土魔術の発動がスムーズになった。逆に何故だか水魔術は全く上達しなかった。スコールからは「水の素質があっても才能がないの」と言われた。
無魔術は念話で勝手に伸びると言われそこまで意識して鍛えてはいない。
そして新たにスコールに教えて貰った魔術は無魔術の「強化」と、土魔術の「石飛礫」の2つだ。
強化は、物の性質を一時的に上昇させる魔術で、生物には強化は出来ない。よく強化するものは棒だ。
石飛礫は、まぁ、石を飛ばすそれだけだ。込める魔力の量で石の数が増える。そして何故か浮いている。理由をスコールに聞くが分からないらしい。
そんな生活を一週間ほどしていて、この間ステータスは更新されずにいた。そしてある転機が訪れる。
◇◇◇
いつものメニューが終わり山菜採りをしていた。栄養バランスを考え山菜料理を作ろうと、スコールが言い出したのだ。まぁ、料理法は炒めるぐらいしかないけど。
(ふむ、グラの新芽とフラルイキナが採れたの。どちらも揚げ物にすると美味いらしいがのう。油がないからのぅ……)
(いつも通り炒め物だね)
(うぅむ……もっと食のレパートリーが欲しいのう……)
無茶を言ってくれる。
(そうだなぁ……この前言ってた鶏のガラからダシを取るみたいな事言ってたよね?それコケッコウでも出来るんじゃない?)
(鶏ガラスープかのう……奴は見た目デカイ鶏じゃから、いけん事もないかもじゃのう。ではコケッコウでも探すかの)
マジかよ。またアイツと戦うのか。自分で言った事だけど、出来るなら戦いたくないなぁ。
(勝てるのかな?)
(前回より強くなっとるからそりゃ勝てるじゃろ?。まぁ油断しなかったらの話じゃがな)
そんな話をしてしていると、突然草むらが揺れた。話を中断して警戒をしていると。草むらの中から二足歩行の生物が姿を現した。
「………はて?何故ここに幼子とポメラニアンがいるんじゃ?……」
ようやくあらすじに。しかし、こいつら喋ってないから矛盾ができちゃう……どうしよ……