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キリスト教と忍び

――――――――1534年11月―――――――――

爺たちに指示を出して半年が経った。今日はシャムから帰ってきた秦盛幸と会うことになっている。やっと鉄砲を作ることができるな。この日のために爺に頼んで最新の鍛冶場を作ってもらった。明日には仁位盛家が鍛冶師を連れて戻ってくるはずだから本格的に鉄砲の量産が始まる。日本初の国産鉄砲か、堺に流したら高く売れるかな。雑賀衆に売りつけて九州統一後の四国攻めで手伝ってもらうのも悪くない。まぁ、まだまだ先の話だな。

「熊太郎様、秦盛幸が参りました」

「そうか、いつものところに通しておいてくれ。すぐに行く」

小姓が知らせに来たのですぐに手習いを終えて評定の間に行く準備を整える。よしこれでいいな。

評定の間に行くと秦盛幸の後ろに男が5人頭を下げていた。

「面を上げよ」

「はっ」

秦たちが顔を上げる。

「さて、秦には鉄砲鍛冶のできるものを頼んでいたな。うしろにいる5人がそうか」

「はい、事情を話したところぜひ行ってみたいといった者たちです。腕の方は確かなのでご安心を」

「ん?その口ぶりでは自分から来たいと言ったように聞こえたのだが。たしか職人は無理だと言っていなかったか」

「手前が無理だと言ったのは普通の・・・職人です。されど彼らは変わり者の職人でございますので」

「変わり者だから来たというか、面白い。その者たちは言葉は大丈夫なのか」

「問題ありません」

「そうか、それなら明日は鍛冶場を見てもらってあさってから本格的に働いてもらおう。ちょうど明日には本土の方から鍛冶師が何人か来ることになっているからその者たちに鉄砲鍛冶を教えてやってくれ」

「「「「「かしこまりました」」」」」

その後職人たちと待遇面での話し合いや秦から鉄砲100丁と大砲10門の取引を持ち掛けられたのでその取引などをして雑談に移った。職人たちは自分たちの新居を見に行ったからいない。話題は外国の事だ。

「では、南蛮ではキリスト教とかいう宗教が幅を利かせておるのか」

「あれは幅を利かせているというより間接的に支配していると言った方があっております。教皇に破門を言い渡されるとたとえ国王でも人として生きていくのは難しくなるほどです」

「なんと!それほどか・・・」

「またキリスト教の教えのもととなっている聖書というものに書かれていることを否定すると火炙りの刑に処されるとか。恐ろしい話ですな」

爺は宗教が国王より上にいることにかなり驚いている。まぁ無理もないか。日本でいえば朝廷より本願寺の方が上にいるようなものだしな。さすが暗黒時代。

「そのキリスト教とやらはどのような教えなのだ」

「デウスという神とキリストという使徒を救世主として崇めているようです。その教えをまとめたものが聖書で信じる者は死んだあと天国という苦しみのない世界で神と共に暮らせ、信じない者は陰府というところに行くそうです」

「死んだ後はどの宗教も似たようなものだな」

違いがあるとすれば名称ぐらいか。

「そういえば近年宗教改革があり、教皇の影響力が低下しているようです。そのため教皇派は世界各地に信者を増やそうとイエズス会なるものを作ったようです。いずれは明や日ノ本にもその教えを説くために宣教師という坊主のようなものがおくられてくるかもしれませんな」

「迷惑な話だな。ただでさえ日ノ本は多くの教えがあり宗派間で争いがあるというのに・・・。仏教の中の話だけであれだけ荒れているというのにほかの宗教まで来たら余計に荒れるわ」

「まぁ先に明の方に行きましょう。南蛮との貿易はなかなか儲けることができます」

「その貿易をするためにキリスト教を認めることになるだろうな。明の動きも注意しておかねば」

宗教なんて面倒なだけだな。幸い九州は一向宗の影響力は少ないが早く統一しないとキリスト教が力をつけてしまう。

「熊太郎様はキリスト教など信じませんよう」

「そもそも俺は神や仏などいないと思っている。極楽浄土も天国もな」

「しかし熊太郎様は新しい物好きですから・・・」

爺はそれでも心配そうにこちらを見る。心配性だな。

その後ある程度雑談した後盛幸はこの後商談があるらしくこれでお開きとなった。



次の日、俺が爺を相手に剣術の鍛錬をしていると小姓が茂通と盛家が戻ってきたことを伝えにきた。しかしいつも同じ小姓だけど人手不足なのだろうか。いつものように評定の間に待たせるよう伝えると、ささっと立ち去った。なかなか仕事ができるな。よし、あの小姓が元服したら取り立ててやろう。

「確か茂通が連れてきたのは忍びでしたかな」

「あぁ、そうだ。戦をする上で情報は必要不可欠だからな。言っておくが忍びだからといって差別することはたとえ爺でも許さんからな。他の者にもしっかり言っておいてくれ」

この時代の忍びはなぜか地位が低い。なんで情報が必要なのに差別するのかね。

汗を拭き着替えた後評定の間に行くと倉野と仁位、そしてその後ろに男が1人控えていた。

「面をあげよ」

「「「はっ」」」

「さて、まずは盛家の方から聞こうかな」

「はっ。鍛治のできる者ですが40人集めることができました。今は鍛冶場の方に行っております」

「40人も集まったか、よくやった。その者たちには鉄砲を作ってもらうことは伝えているのか」

「はい、既に知らせております。皆新しい武器が作れると張り切っておりまする」

「そうか。5人ほど作れるものを雇ったからそのものたちに習うよう言っておいてくれ。長旅であったから疲れておろう。もう下がって良いぞ」

「はっ、では失礼します」

一礼して盛家が下がる。

「さて、茂通は忍びのものだったな。後ろにおるものがそうか」

「初めて御目にかかります。大江流忍者の頭をしております北原頼氏にございます」

大江流?頭?

「すまんが俺は浅学でな。大江流について全く知らん」

「では、説明させていただきます。我等大江流忍者は大江匡房公ゆかりのものにございます。鎌倉幕府が成立した際大江広元公の下で働いておりましたが幕府がなくなると大江氏に近しいものとして追われたため肥後の山に逃げ申した。その後は時折仕事を受けるため山を降りるという生活をしておりました。そのためあまり世には知られておりません。しかしそれがあまりに口惜しく思い、世に出てみようという話が持ち上がった時ちょうど倉野様が忍びを探しているという話を伺ったのです」

「しかし世に出たいなら大内や大友の方が良いのではないか」

宗家は国持ちとはいえせいぜい3万石に届くかどうかぐらいの小さな大名だ。そんなところより大内や大友に仕えたほうがよっぽどいいだろうに。

「我らが御当家に支えたいと思ったのは熊太郎様の話を倉野様から伺ったからです」

「俺の話を?」

「はい。熊太郎様は九州を取ると言われたとのこと。また忍びの者だからと差別せぬよう命じられたと伺い、このお方ならと思ったのです」

おい、茂通、お前どこまで話しているんだよ。九州を取るなんて大内や大友を刺激するだけだろうに。茂通に視線を向けるとなぜかどうだと言わんばかりに胸を張る。こいつを外に出したのは失敗だったかな。

「何人だ」

「はっ?」

「大江流の忍びは何人おると聞いている」

「女子供を含めて500人おります」

「わかった。召抱えよう」

「雇うのではなく召抱えていただけるのですか」

「何度も言わせるな。召し抱える」

「ははっ、ありがたき幸せ。我ら粉骨砕身任務を果たさせていただきまする」

400pも頂けるとは・・・。これからもよろしくお願いします。

次回は一週間後に投稿予定です。

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