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軍議

―――――――――――1547年11月10日 上津浦城―――――――――――

「皆の者、面をあげよ」

「「「はっ」」」

全員が一斉に顔を上げる。なかなかの壮観だな。それに今のところは大丈夫だがこれから大きくなると顔を覚えるのも大変だろう。信長とか秀吉、家康はどうやって覚えたんだろう?秀吉や家康は天下人になったから全国の大名を覚えなければならなかったはずだ。もし会うことになったら聞いてみようかな。


「これより軍議を行う。勝利」

「はっ。初めてお会いする方もいるでしょう。兵法衆の神代勝利にございます。御屋形様に代わりまして説明いたします。まずは大矢野城攻略ですが大矢野城には約500の兵が籠城していると頼氏殿より報告がありましたのでこれは3000の別動隊で攻めまする。将は智正殿を別動隊の総大将として佐須盛円殿・龍造寺胤栄殿・籠手田安昌殿・江里口常併殿が。名和氏の援軍が来るのでそれを撃退する水軍1500を山本康範殿・宇久盛定殿が。本隊5000は名和氏の援軍を撃退した後に宇土郡に上陸し名和氏方の城を攻めてもらいます」

水軍は当主になった時に研究を命じていた漆を使った船底塗料がやっとできたのですべての鉄甲船に塗って使用することにした。これで今までより長く水に浸かっても大丈夫なはずだ。もう少し鉄甲船を増やしてもいいかもしれんな。


安昌と常併は当主が若いので代わりに兵を率いてきた。安昌が仕える松浦氏は興信が6年前に死んだので当時まだ12歳の源三郎が跡を継いだ。今は18歳だがまだ元服していないので今回の戦には連れてこなかった。今回の戦が終わったら俺が烏帽子親になって元服式を行おう。常併が仕えるのは彦法師だがこいつは俺の小姓なのでまだ兵を率いることができない。そして常併は龍造寺四天王で有名な江里口信常えりぐちのぶつねの父親で本人も勇猛な将だ。それにしても龍造寺四天王もまだ子供なのか。確か最年長の百武賢兼ひゃくたけともかねでもまだ10歳だったはずだ。あと15~20年は人材不足に悩まされそうだな。


この調子で島津や大友と戦って勝てるだろうか。まぁ、まだ先の事になるかな。いや、二階崩れまであと3年じゃなかったか?史実通りに進まないであと少し伸びないだろうかとも思うが多聞衆の話では今すぐ何かあってもおかしくないくらい親子仲は険悪らしい。家臣たちにはまだ塩市丸擁立の話は出ていないらしいが義鑑が動き出せば混乱するのは間違いないはずだ。


もし史実通りになっても当分は長引くようちょっかいをかけてその間に周りの国をとるのもありかな。肥後は菊池が動き出すだろうし筑前の大内も確かそのころに義隆と陶隆房の仲が悪くなり翌年には謀反が起きるはずだ。うん、とることができるはずだ。そして弱ったころに義鎮派と塩市丸派を両方つぶす。問題は舅殿だな。あの舅殿の事だから大友を裏切らないはずだ。そもそも義鎮派と塩市丸派のどちらにつくか予想できない。史実では義鎮に味方したが今回は俺が義鎮の悪い噂を流させているからどうなるか分からない。


「それと田平城主加悦素心かえつそしんがこちらに寝返ることになっています。おそらく戦が始まれば寝返るものも増えてくるでしょう」

そもそも大友の重臣で寝返る奴はいるのだろうか。史実では多くの有能な重臣は耳川の戦いで死んでしまったからその辺りがよく読めないな。2・3人寝返れば儲けものぐらいに考えておいた方がいいな。

「何か質問はありますか?」

「よろしいだろうか」

勝利が周りを見渡すと智正が手を上げた。

「大矢野城を落とした別動隊と名和氏の援軍を撃退した水軍はその後いかがすればよいかな」

「別動隊と水軍は飛岳で合流して柴尾山のふもとに上陸して頂きます。その後豊福城を落としていただきたい」

「なっ」

「勝利殿、豊福城は相良氏の城ですぞ」

智正が驚いたように声を上げ、盛廉が反対するように声を上げた。勝利は困ったようにこちらを見てきた。そもそも勝利は豊福城攻めは反対だった。仕方ない、俺の口から言った方がいいな。


「構わん。名和氏が宇土氏の後継者を名乗っている以上宇土氏が築城した豊福城は名和氏のものだ。そして名和氏が降伏したらそこは惟宗のものとなる」

うん、自分でもかなり無理があるとは思うけど何とかなるだろう。豊福城は長年相良・名和・阿蘇が取り合う交通の要所だ。相良氏と敵対するし、二階崩れの後阿蘇氏との関係がどうなるか分からない以上早めに取っておくに越したことはない。まぁ、阿蘇とは敵対したくないな。甲斐宗運がいるからなぁ。できれば味方にしたい。龍造寺四天王ならぬ惟宗四天王だ。勝利と彦法師・宗運にあと誰かな?島津が俺の配下になるなら島津義弘かな。それともあえて舅殿だろうか。いや、譜代が一人もいないから盛廉か康広かな。


「それに相良とはいずれ敵対するのだ。それならばこちらから仕掛ける方がのちのち楽になる」

「相良にはすでに調略を仕掛けています。敵対しても問題ないでしょう」

さすが頼氏。仕事ができるな。

「他に何か質問がある方は?」

勝利が再び周りを見渡したが誰も答えない。もう大丈夫らしいな。

「では、軍議はここまでとする。出陣は2刻後だ」

「「「はっ」」」

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