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襲撃

――――――――――1545年1月10日 塚崎城寝室――――――――――

「御前様、御前様」

正月で色々と忙しかったためかなりぐっすり寝ていると隣で寝ていた政千代が揺すって起こしてきた。うん、今日も可愛い。

去年の11月に結婚した政千代は現代風美少女といった感じだ。病弱だったためあまり外に出ることがなかったのかかなり色白である。そして目が二重で大きい。これは父親に似たのかな。さらに目鼻立ちがくっきりしていて彫りが深く、前世を含めて一番美人だと思う。いやぁ、いい嫁さんをもらったな〜。

「いかがなさいましたか?私の顔をじっと眺めて」

「いや、今日も綺麗だと思ってな」

「そんなことを言っている暇があったら起きてくださいまし。評定の間に頼氏殿がお待ちですよ」

頼氏が?何かあったのだろうか。まさか正月から少弐がやらかしたか。だとしたら嬉しいのだが。

「分かった、すぐに行く」


評定の間に行くと頼氏だけではなく他の評定衆も集まっていた。余程のことらしいな。やっぱり少弐がやらかしたか。

「頼氏、何があった」

「少弐冬尚が龍造寺一門を城内にて討ち果たしました」

「なんと!」

「まさか」

頼氏の報告に皆が驚く。そりゃそうだよな、龍造寺は少弐氏の中では発言力が高く忠臣との評判なんだ。

「それで誰が討ち取られた」

龍造寺家純りゅうぞうじいえすみ周家ちかいえ家門いえかど家泰いえやす純家すみいえ・純頼です」

「家兼はどうした」

「その日は病だとかで出仕いたしませんでした」

おいおい、一番殺さないといけないやつを殺せていないじゃないか。


「そのあとはどうなった」

「冬尚自らが総大将となり龍造寺方の城を攻めていますが一進一退といったところです」

「東西千葉氏はどちらに付く」

「東千葉は今回の騒動と同じ頃に家臣達から人質を取り少弐に付くようです。西千葉は様子見のようでどちらにも兵を出しておりません」

「神代はどうしている」

「龍造寺一門を討ち取ったと聞いて少弐に味方する方向に固まり今少弐本隊と合流するところです」

東千葉の家臣は動けないか。だが、人質を取ったことで少弐に対しての不信感がさらに増したことだろう。西千葉は迷っているな。当主の妻は家兼の孫で嫡男は龍造寺の重臣の子。今参戦してこれまでの縁を切り龍造寺と敵対するか、見送って勝った方と仲良くするか。あと少弐が信用できるか測りかねているのだろう。神代は思ったより足止めできなかったがまだましだろう。


「国康様、いかがなさいますか?このままでは肥前が混乱しますが」

「・・・これを機に東に領土を広げたい。よし、まずは西千葉・龍造寺・多久を攻める。康広、大友の元に行き今回の件の詳細を伝え西千葉・龍造寺・多久攻めは同盟の違反ではないことを確認してこい。できれば肥前のことは我らに任せると言わせろ」

「承りました」

「頼氏は東千葉の家臣の人質を解放できればしてくれ。できなくても家臣の反乱を煽れ」

「はっ」

「他の評定衆は戦の準備だ。明日の昼には梶峰城を攻める」

「「「はっ」」」


――――――――1545年1月30日 村中城周辺 馬場頼周――――――――

「ええい、まだ落とせぬのか」

「申し訳ございませぬ」

「謝っている暇があったらさっさとあの城を落として来いっ」

冬尚様に怒鳴られ諸将が本陣から下がる。やれやれ、死にかけの老いぼれの城ひとつ落とすことができんか。これでは冬尚様がお怒りになるのも無理はないわ。


「頼周、なにか策はないのか。このままでは宗が出しゃばってくるぞ」

「冬尚様、宗ではなく惟宗ですぞ」

「ふん、どちらでも良いわ。だいたい朝臣を名乗るなど不遜でしかないわ。今まで通り平氏を自称しておればよかったものを」

「まこと、朝廷もなぜそのような不遜な申し出を許したのか」

「どうせ、金で解決したのであろう。宗は金儲けだけは天下一だからな」

余程に宗が朝廷より惟宗姓を賜ったことを妬んでおられるようだな。それと宗に金があることを。


「それより策はないのか」

「数は我らの方が多いのです。慌てずに城を囲っていればそのうち降伏か自害するでしょう。総大将はどっしりと構えていてくだされば良いのです。それだけで御味方は勇気付けられましょう。すでに龍造寺常家りゅうぞうじつねいえ盛家もりいえ胤直たねなおを討ち取り城方の士気はかなり下がっているはずです。慌てて詰めを誤ってはなりませぬ」

「しかし、宗が出しゃばってくるのではないか」

「惟宗は朝鮮で厄介ごとを抱えております。そのような状態で出てくることはないでしょう」

「だがの・・・」

「それほど心配なされるのであれば大友様に使者を出してはいかがでしょうか。もし、惟宗が出てきた時は止めて欲しいと」

「そうだな、宗を止めるのに大友の力をからねばならんのは腹立たしいが仕方ない。頼周、行ってくれるか」

「はっ、かしこまりました」

これで少弐本家の力が強まり太宰府奪還に大きく前進することができるな。これも全て冬尚様の御力があったのことであるの。あと10年もすれば筑前を大内から取り戻すことも可能であろう。楽しみなことよ。


「申し上げます。惟宗殿が多久・東西千葉・村中城と水ヶ江城以外の龍造寺領を制圧したとの知らせが参りました」

「なっ!!」

「馬鹿なっ!!」

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