表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/402

不穏

―――――――――――1542年12月1日 岸岳城―――――――――――

「・・・はっ?」

なんだこの手紙は。ふざけているのか。

「ですから来年の筑紫攻めに兵を出していただきたい」

「だが、この手紙では命令のように書かれてあるが」

「元は家臣でしたので命令なのでは?」

「つまり宗は少弐の下につけと言うことでよろしいかな」

「冬尚様がそう仰っているのであればそうなのでしょう」

こいつ、何言っているんだ?国力でいえば有馬や大村から領地を分捕っている宗の方が大きいのだぞ。それも肥前最大と言ってもいいくらいだ。それを敵に回すようなことを言うなんて冬尚は馬鹿なのか。馬鹿なら有馬もそろそろ潰せるし同盟を解消しようかいな。いや、そもそもこんな阿呆なことを家臣はなぜ止めない。特に龍造寺家兼はどうした。あのじいさんはまともな人だったはずだ。

「家老の家兼はなんと言っている」

「僭越にも反対しておりましたな。家臣は主人の指示に従えば良いのです」

なんだかまともな家だとは思えないな。大友との関係を強化してさっさと潰そう。確かあと3年ぐらいしたら龍造寺一族を殺そうとなにやらいろいろ細工をしてくるはずだ。


史実では肥前の熊こと龍造寺隆信はこの騒動で殺されなかったが今回はこの時にこの世から去ってもらおう。そして適当な龍造寺家のものを担いで少弐を滅ぼす。これで肥前統一はほとんど成ったも同然だな。最後の難関は神代勝利だな。こいつはかなり厄介だ。ま、その話は少弐を滅ぼしてからにしよう。


「では、前向きに検討していただきたく。これで失礼いたします」

「その前に1ついいか」

「はい、なんでしょう」

「お前のような己の考えを持たぬものとは話ができん。次からは龍造寺家兼が使者でなければ会わん」

「なっ・・・」

「以上だ。景満、使者のお帰りだ。案内してやれ」

「はっ」

「お、お待ちくだされ」

景満が抵抗する頼周を引きずるようにして評定の間から連れ出す。思わずため息が出てしまった。


「熊太郎様、今のでよろしかったのですか」

盛廉が心配そうにこちらを見る。他の家臣たちも同様だ。

「構わん。それより少弐が阿呆なことを考えているようだな」

「いかがしますか」

「兵は送るが率いるのは別のものにしよう。そうだな500も送ればよかろう。盛廉、すまんがお前に頼む」

「はっ、かしこまりました」

「それから康広は大友のもとに行って今回のことを事前に知っていたか確認してまいれ」

「はっ」


まったく、すぐに他家を下に見ようとするのは名門の悪い癖だな。宗が少弐の配下だったのは何年前の話だよ。そりゃあ昔は少弐が対馬守護で宗が守護代だったけど今は宗が守護だぞ。親父の晴康の晴は征夷大将軍足利義晴から偏諱を受けたんだぞ。どう考えても守護大名だろ。


そういえば龍造寺一族が殺されたのは頼周の嫉妬が原因であると書いてあった資料もあった気がする。今回の件で頼周は後任の家兼を恨むかもしれんな。それに去年東千葉氏に冬尚の弟が養子入りをしたはず。よし、煽ろう。


「頼氏、少弐領内に家兼が冬尚に不満を持ち大内に通じてようとしている、千葉の家臣も養子入りの件で不満を持っていて龍造寺が反旗を翻せば行動を共にするだろうと噂を流せ。あと、有馬領内に今回の出兵の情報を大げさに流せ」

「はっ」

実際に龍造寺が大内につくかわからないし千葉が同調するかもわからないが確か史実では行動を共にしていたから多分今回もそうだろう。龍造寺離反は資料によって違ったからなんともいえんが。

有馬が今回の出兵を大げさに受け取ってくれればその間の侵攻はないと油断するはずだ。そこをついて有馬を滅ぼす。

もし、大友が今回の件を把握して黙認していたのであればどうするかな。とりあえず有馬を滅ぼして大内と手を結ぶぐらいしか大友と戦うことはできないだろうし。ま、さすがに大友も少弐があんな馬鹿なことを考えているなんて思っていないだろう。


「景満、戻ったか。次の客がいたはずだ。連れてきてくれ」

「はっ」

「熊太郎様、次の客とは?」

「大村の家臣だ」


「大村家が家臣、福田兼次ふくだかねつぐにございます」

「宗熊太郎だ。面を上げよ」

「はっ」

この福田兼次は大村家の重臣の一人だ。

「それで用件はなんだ」

「このたび不幸にも大村と宗は敵対することとなってしまいましたが純前様が討ち死に為されたとき又八郎様を当主に戴くつもりでありました。それを有馬の横槍で勝童丸が家督を継ぐことになり家臣一同酷く不満に思っております。このうえは宗に降り又八郎様を当主にとの意見にまとまり、その交渉に参りました」

降伏か。出来れば大村も滅ぼしたいんだけどな。あそこはいい湊があったはずだ。大村の居城だった今富城は去年落としたから今は福田城が居城になっているはず。そのあたりは南蛮貿易が盛んになるはずだ。


「宗は父親の仇となるがそのような家に忠義を尽くせるか」

「戦のことですので恨みは持ちませぬ。むしろ頸を丁寧に扱ってくださりありがたいと」

確かに敵味方関係なく死者は丁寧に扱わせてもらっているよ。

「勝童丸はいかがするつもりだ」

「追放いたしまする」

ここで殺しますと言わないのは甘いと思うんだが。どうしよう、殺させた方がいいのかな。まぁ。わざわざ殺す必要はないし追放でいいか。


「領地について何か言われているか」

「他は手放しますゆえ先祖伝来の地である大村はいただきたく」

大村か、確かそこまで欲しいとは思わない土地だったはずだ。別に問題ないだろう。

「わかった。次に我らが有馬を攻めるまでに勝童丸を追放し有馬と縁を切ることを条件に宗への降伏と大村の安堵を認める」

「ありがとうございまする」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ