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改易

―――――――――1601年9月10日 大坂城 惟宗長康―――――――――

「御屋形様、頼政にございます」

「入れ」

「はっ」

頼政が入って、小姓たちがさっと片付けて部屋を出る。

「最近はどうだ。新体制になってしばらく経つが」

「いまのところ大きな混乱はございません。情報本部という名称もかなり浸透しているようです。また新撰組をはじめとする新しい部署も問題なく動いているようで」

「ん?そっちの動きは知らないはずだが・・・」

「念には念を入れさせていただいています」

ということは新しくできた部署に情報本部に通じている者がいるということか。ま、お互いに監視し合った方が敵に内通しようとする者も見つけやすいだろう。

「あまりお互いを牽制し合うような真似はするなよ」

「もちろんでございます」

「ならいい。ところでアダムス達の件はどうなっている。国内での動向は新撰組に調べさせているが」

「いまのところ不審な動きは見えません。しかしこれから交渉のために南蛮人に手紙を書いたりすることもあるでしょう。何らかの動きをするのであればそのときかと」

「交渉の邪魔はするなよ」

せっかくイスパニア以外の交易相手ができそうなんだ。多少情報を流されたとしても得る利益の方が大きい。

「それで奴隷の話はどうなった。どこの馬鹿が関わっていたか分かったか」

「少なくとも関わっている南蛮の商人については把握できました。国内の方は新撰組の担当ですが」

「そうか、南蛮の貴族どもが関わっているというようなことは」

「一部の貴族が関わっているようです。そのなかには呂宋の総督も」

「たしか父上に書状を送ってきた総督とは違うものに変わったのだったな。ふざけた真似をしよって」

前の総督の時は南蛮人の要求を聞いてやったというのに。人が変わればすぐに恩を忘れるか。

「国内の関係者はすでに把握している」

そう言いながら手元の資料を頼政に渡す。頼政は資料にざっと目を通して顔をしかめる。

「これはまた」

「腹立たしいことに大名が関わっている可能性が出てきた。時期から察するにおそらく祖父様が亡くなられた直後からだ」

畠山・天草・安芸・河野・葛西。つまり父上はこの者たちになめられていたということだ。祖父様がいるうちは怖くてできなかったが父上や俺であれば問題ないと勘違いしているんだ。ふざけやがって。

「いかがしますか」

「情報本部で徹底的にこの大名どもを調査しろ。これは幕府が舐められているということだ。せっかく父上や祖父様が作られた太平の世を乱さんとしている。似たような考えを起こさないよう徹底的に潰す」

「今回の件だけで十分改易は可能かとおもいますが」

「見せしめが必要だ。この者たちの領地で一揆を起こさせろ。そして自分たちでけりをつけるよう命じる。全ての大名・商人には米一粒たりとも売らせない。そして失敗したところで今回の件を含めた理由で改易を命じる」

抵抗すれば幕府の武威を見せつけるいい機会だ。改易後は家臣たちで奴隷交易に関わっていない者は幕臣に取り立てよう。そうすれば優秀なものに活躍の場を与えることもできるし、ほかの大名の改易の際に藩主が抵抗しようとしても家臣たちが止めるだろう。


「国内の話はもういい。呂宋の様子はどうなっている。奴隷の件がばれたことぐらいわかっているのだろう」

「おそらくはそうかと。しかし特に変わった動きをする様子はありません」

「内も外も幕府は舐められているということか。このままでは新しい取引相手ができたとしても問題が残りそうだな。たしかアダムス達の話では交易が出来るようになるには最低でも5年以上はかかると言っていたな」

もちろん使節たちの成果次第ではもっと早くなるだろう。

「頼政、呂宋の提督を殺せるか」

「可能ではあります」

「ではそのあと呂宋で一揆のようなものをおこすことは」

「それも可能です」

「そうか」

貞親叔父上が参謀本部に提出した呂宋侵略計画では、呂宋を落とすには高山国軍の6万があれば十分とあった。もちろんこれに水軍の兵力も加わる計算だろうが、それだけであれば一揆と同時進行でも問題ないだろう。ならば外務奉行所に謝罪と賠償を呂宋提督に要求させよう。そして断ればすぐに攻める。アダムスの話ではイスパニアは阿蘭陀と戦をしている最中らしい。援軍の可能性など考える必要もないだろう。

「外務奉行所が奴隷に関する交渉を行う。それが失敗すれば提督を暗殺し、呂宋で一揆を起こせ」

「かしこまりました」

「・・・あまり祖父様はこのような手を好まれないだろうな」

祖父様がどのような武将であったかは知らない。だがきっとこのようなては使われなかっただろうな。

「そのようなことはないかと。私の父や祖父の話を聞く限りではむしろ積極的に暗殺や調略などの狡猾な手段を用いていたようです」

「そうなのか」

「はい。きっと草葉の陰で頼もしく感じられているのではないでしょうか」

「だといいがな」

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