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評定4

―――――――――1582年3月31日 大坂城 惟宗貞康―――――――――

「では次は文部奉行所」

「はっ。文部奉行所からは大名・旗本の子供を集めて教育する施設、学校を作ることを提案させていただきます」

藤孝がそういうと氏郷と輝元が皆に資料を配る。

「この施設は大名・旗本の8歳から14歳の子供を対象に教育を施します。また大名の子供には同い年の家臣の子供を3人まで入れることを認める予定です。教える内容に関しては二枚目以降をご覧ください」

武芸・習字・算術・兵法・歴史・礼儀などを教えるのか。ふむ、大名や旗本の子供であればいずれは何かしらの働きをせねばならん。それなら一定の知識は必要だからな。そこから優秀なものを集めて、医術などの高度な学問を教えるのもいいな。人材の育成はこれから惟宗の天下を安定させるためには必要なことだ。多少銭がかかろうがどんどんしていくべきだろう。大名たちからしても子供のころから他の大名たちと顔見知りになれるのはうれしいだろう。伝手というものはどこで役に立つか分からんからな。それに大阪で教育をするということは大阪に子供を置かねばならないということになる。つまり人質としての側面もあるだろう。あと大坂で育てることで領地と結びにくくする狙いもあるのだろうな。それからこちらに子供を置いておけば必然的に大名たちは大阪と領地を往復するようになるだろう。そうなれば大名たちは銭を使う。往復する際に使う道の店は繁盛するだろう。日ノ本の経済も大いに盛り上がるようになるはずだ。大名が銭をため込んで何かをするのを防ぐということもできるな。

「藤孝、これは男子のみか」

「いえ、男女両方を集める予定です。もちろん教える内容は違いますが」

「そうか」

女子にも学はあった方がよかろう。もし当主が若くして死んでしまい、後継ぎが幼かったときは母親が大きな影響力を持つことがある。その時にその母親が馬鹿だったらその家は大いに混乱するだろう。ある程度の学は必要だ。それを考えると女子にも学ぶ場を設けるというのは必要なことだろう。

「これを教えるのは誰がする予定だ」

「現在の予定では惟宗が運営する孤児院で教えていたものをこちらに回そうかと考えています。それでも足りないときは隠居した旗本から優秀なものを引き抜こうと考えております」

孤児院か。父上が領内の戦などで親を亡くしたものを集めて育てていたあれか。孤児院の出身の者の中には優秀なものが惟宗に仕えて、産業奉行所の研究局に参加していると聞く。そのような者たちを育てたのだからそれなりに優秀なのだろう。

「ふむ、この計画書通りで問題ないだろう。人手が足りていないときは言ってくれ。こちらでも対応しよう」

「はっ」

「では次は外務奉行所」

「はっ。外務奉行所からは特にございません」

なんだ、ないのか。

「そうか。では最後に財務奉行所」

「はっ。財務奉行所からはまず今年度の幕府の収支についてご報告させていただきます」

良通がそういうと正家と時忠が皆に資料を配る。

「資料をご覧いただければわかるかと思いますが、現状では収入の方が支出を上回っている状態です。またこれから様々な事業が始まり支出が増えるかと思われますが、大名・旗本・商人・町人などから新たに税を取る仕組みを作り出せば問題ないと考えます。そのためにも早急にそれらの法を作るべく法務奉行所と連携して法案作りを進めているところです。収入の詳細につきましては二枚目以降を、支出の詳細につきましては五枚目以降をご覧ください」

ふむ、収入が上回っているとはいえ意外と支出が多いな。詳細を見れば仕方ないとは思うが。やはり百姓以外から税を取る仕組みは早急に作り上げねばならんな。父上が前から言っていたのもこれを予想していたからだろうか。

「次に九枚目をご覧ください。こちらは株式会社設立に関する提案書です。これは惟宗が出資して作る商家のようなものとお考え下さい」

惟宗が出資して商家を作る?それに何の意味があるのだ?

「まずは株式会社の仕組みにつきましては十枚目をご覧ください。まずこの株式会社を作る目的ですが、幕府は百姓に対して銭で年貢を納めるようにとしています。しかしこれに目をつけて米を安く買い叩こうと言う輩が現れました。年貢の額は前回の検地の年の米の値を平均としていますので石高の半分以上を売って年貢を納めているなんて言うところもあるようです。売らなければ年貢を納めることはできませんので、百姓たちはしぶしぶ安い値で売っているようですがこのままではいずれ餓死してしまうものが出て来るやもしれません。そこで幕府の銭を用いて株式会社を設立し、日ノ本中に店を構えます。そして百姓たちには、もし悪徳商人がいたら幕府が作った株式会社に買ってもらうよう促します。それだけでなく石鹸の生産・販売なども幕府に代わって行わせる予定です」

「しかしそれでは幕府の利益が減ってしまうのではないか」

百姓が潰れるのはまずいが、そのために幕府の利益をくれてやるのは気に食わん。

「問題ございません。石鹸の作り方などは先ほど議題に上がりました特許とします。株式会社には特許料を支払わせ、利益は配当金として受け取る。米などこれまでしてこなかったものにも手を広げますので、うまくいけばこれまでより多くの利益を生むことになりましょう」

「そうか」

悪くない。うまくいけば今まで以上の利益を得ることができる。それにこれまでは石鹸の作り方などは惟宗の特権的なものだった。しかしこれからは特許料さえ払えば誰でも作れるようになる。需要に対して供給が追いついていない現状には合っているだろう。

しかしよく思いついたな。いや、これは父上の案だな。このような変わった、それでいて惟宗の利益になるものを考えるのは父上ぐらいだ。おそらく父上の名を出してさっさと決めてしまうのはこの評定の意味がないと考えられたのだろう。あくまで財務奉行所からの提案という形にしたいのだな。

「何か反対意見や異議のあるものはいるか」

「「「「異議なし」」」」

「ではこの件はこれで進めよ。特許料に関しては産業奉行所と連携して行うように」

「「「はっ」」」

良通たちが頭を下げる。これで今日の評定は終わりだな。

「ところでこの株式会社の名前は何とするのだ」

「様々なことをする商家という意味を込めて九十九つくも株式会社とする予定です」

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