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御館の乱4

――――――――――――1578年7月1日 大坂城――――――――――――

「そうか。それではあと少しで上杉の内乱は収まるか」

「はい。すでに景虎についた諸将の中には景勝につこうとしている者もいるようです。北条や蘆名があてにならない以上勝機はありませんからな」

俺の言葉に頼久が返事をしながら駒を動かす。今のところは将棋でも戦でも俺が優勢だな。戦の方は合計6万の兵を動かしたからそう失敗するとは思っていなかったけど。

「伊豆を攻めている康興はどうだ」

「御屋形様が北条の兵を出来るだけ引き付けよと命じたのでゆっくりと兵を進めているようです。現在は君沢郡を制圧して南部に攻め入っています」

「北条は援軍を出さんのか」

「3万近くの兵が小田原城を発ったと知らせがありました。おそらく今頃北条とにらみ合いをしている頃でしょう」

今回の戦の目的は上杉の内乱を治めることだ。別に伊豆を攻め取る必要はない。北条を本格的に攻めるのは来年だ。この北条征伐で天下統一が成ればいいんだけどな。史実の秀吉は北条征伐でほぼ日ノ本を統一した。この歴史ではどうかな。史実より早く統一が進んでいるせいで奥羽はまだ多くの大名が生き残っている。そのことがどうかかわってくるかだな。

「伊達でも御家騒動が起きたと聞いたが」

「嫡男の政宗が当主で父親の輝宗と反惟宗派の重臣たちを隠居、ないし殺害しました。政宗とそれに従う家臣たちは親惟宗派ですので伊達はこちらに付く可能性が高いかと思われます。現在は米沢城にいなかった反惟宗派の家臣を討伐するべく戦の準備をしているようです」

「確か家臣たちの中には弟の竺丸を当主にと言っている者もいると聞いているが」

「竺丸を支持している家臣たちは今回の騒動で反惟宗派の重臣たちと一緒に隠居ないし殺害されました。竺丸はまだ11ですので生かされたようです」

竺丸といえばのちの伊達小次郎だな。俺だったら内乱の原因になりかねないから最低でも出家させるだろうな。ま、あの伊達政宗といえどまだ元服したばかりだ。そう非情な手段はとれないか。

「伊達の御家騒動に周りの大名は何か動きそうか」

「相馬が戦支度をしています。おそらく伊達領を攻めようとしているものと思われます。また最上が敵対的な上山を攻めようとしています。それから大崎が伊達と同盟関係にある葛西を攻めようとしています。またそれらの動きに合わせて奥羽の諸大名が各地で戦を始めようとしています」

やっぱり奥羽での伊達の影響力は大きいな。確か先代も今年の1月に亡くなっていたから伊達は混乱するとみられているのかもしれないな。だから混乱している間に反伊達派が動き出したのだろう。そうなると奥羽の反伊達派がそのまま反惟宗派になると見ていいな。

「奥羽の諸大名の調略をすすめよ。来年行われる北条征伐の際は必ず兵を送れ、惟宗の下につかなければ潰すと」

「かしこまりました」

おそらく史実とは違って伊達が真っ先に来るだろう。御家騒動を起こしてまで惟宗につこうとしたのに減封されたり取り潰されたりしたら堪ったものじゃないからな。他の大名、特に反伊達派以外の大名たちはどうするかな。この歴史での奥羽は伊達の混乱もあってこれからが戦国時代と言ってもいいくらいだ。そんな中戦をやめて惟宗の支配下に入れと言われて素直に言うことを聞くだろうか。

「それから北条やそれに味方する大名には朝敵になると噂を流せ」

「朝敵ですか」

「そうだ。来年の正月に鎮守府大将軍になる。その際に北条征伐の勅を賜ろうと考えている。そして出陣の際は帝より節刀を賜る」

惟宗と敵対して北条の味方になれば朝敵になるし領地は全て奪われる。これで多くの大名が惟宗につこうとするだろう。日ノ本の統一はもう目の前だ

「義昭はいかがしますか。北条と同様に朝敵に?」

「そんなわけなかろう。たかが義昭を朝敵にする必要はない」

義昭に対しては追放してからは基本的に無視だ。実際にそこまで義昭に利用価値はないだろう。せいぜい北条の大義名分になるためぐらいだ。確か幕臣たちも追放時から従っている奴の多くが死んだと聞いている。確かこの間は大舘が死んだんだっけな。

「そういえば今回の上杉の御家騒動で佐渡の本間は景虎についたんだったよな」

「はい。今は景勝派に寝返ろうとしていると聞いています」

「よし、水軍衆を使って潰すか」

「よろしいのですか。佐渡は良い湊があるため上杉が嫌がるかもしれませぬが」

「構わんだろう。内乱を自らの手で防ぐことができなかったのだ。それぐらいの罰はなければ。それに今昔物語集の中に佐渡では金が出るという記述がある。もう400年以上前のものだから正しいかどうかわからんが本間が佐渡を支配している間は惟宗が金山を探すことができん。ならばさっさと潰すに限る」

他の鉱山はともかく佐渡の金山はさすがにその周辺も惟宗の直轄地にしておきたい。水軍衆はこの間坊津に戻ってきたから北条征伐と同時に始めるかな。北条征伐には水軍も使うが佐渡制圧ぐらいなら全軍を使うまでもないだろう。よし、朝敵の件も含めて貞康と話し合っておくか。

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