表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
227/402

家督相続

―――――――――――1574年11月10日 大坂城―――――――――――

「まずめでたいな。これからはお前が当主だ。しっかり務めよ」

「はい。父上には及びませんが精いっぱい努めたいと思います」

そう言って貞康が頭を下げる。政千代も舅殿もうれしそうに貞康を見ている。めでたいな。これで俺も御屋形様からご隠居様だ。少しは仕事量は減るかな。

「皆に正式に発表するのは明日だ。途中で慌てないで済むよう今日のうちから準備をしておけ」

「はい」

「よかったですね、貞康。御前様もこれまでお疲れ様です」

「今まで世話をかけたな。まだすべてを任せるわけではないがこれまでよりは共にいることができよう」


途中で貞康と交代した織田攻めは無事美濃・尾張・三河を平定して終わった。国人たちは信長が死んだと知って降伏したり寝返ろうとしたみたいだけど貞康は一切認めずに攻め滅ぼした。これで残る大きな敵は武田と北条だけ。その武田も重臣たちが死んで混乱中だし、北条も小田原城に籠っているだけだ。そこまで脅威にならないだろう。


「それでこれからの事だが」

俺がそういうと貞康と舅殿の顔が引き締まる。政千代はニコニコしながら一礼して部屋から出ていく。

「戦の事はお前に任せる。これからの戦はお前がすべて指揮を執れ。それから畿内と伊勢・志摩・近江・尾張・美濃はお前に任せる。残りは当分俺が預かる。新たな政の仕組み作りは俺が完成させてから引き継がせる。日ノ本を統一してある程度安定したらお前に任せよう。それまで惟宗の当主として、天下人として何をなすべきかしっかり学べよ」

「はい」

「ではまず最初の仕事だ。明日の家督相続の後論功行賞を行う。それはお前が行え。誰にどの恩賞を与えるかはまとめてあるがお前の名で行うのだ」

「かしこまりました」

この論功行賞はかなり大変なんだよな。ま、これからは貞康がやるんだ。しっかり務めてほしいな。あとは官位か。この間言継が俺を権中納言に、貞康を従五位上肥後守にしたいと言ってきた。家督を継ぐという話を聞いてご機嫌取りかな。朝廷も俺が死んでから冷遇されるようなことになりたくないのだろう。だからわざわざ肥後守にしたんだな。朝廷も貞康を俺の後継ぎとして認めているという形にしたいんだろう。ま、俺の死んだ後のことなんてどうでもいいけどな。少なくともこうしろああしろというつもりはない。その時勢に合った行動をとってくれればいいんだ。

「ところで父上。新しい政の仕組みというのはどのようなものになるのですか。鎮西大将軍になるとは聞いていますが」

「そうだな。今の惟宗家の仕組みとは大きく変わることになるだろう。今の惟宗家の仕組みはあくまで大名惟宗家のものだ。これからは天下を統治する仕組みにせねばならん。まず惟宗の当主が征夷大将軍の代わりに鎮西大将軍となって幕府を指揮することになる。その下にはいくつかの奉行所を設ける。その奉行所には仕事の内容に応じて様々な部署を作りこの国のために働く。1万石以上の所領を持つ者は藩主と名乗り、幕府の定める法に従いながら所領を治める。1万石未満の者は旗本と名乗り大坂の奉行所や役を命じられた場所にて働く。所領には戻らん。常に城下に居を構える。大名も一年おきに大阪と所領を行き来するのだ」

今のところは基本的には江戸幕府と同じかな。違うのは大老や老中がいないことぐらいだろう。

「各奉行は譜代大名の中から選ぶ。選ぶのはもちろん将軍だ。罷免するのもな。役目に応じて奉行所を分けるのだから足利の時のように将軍以外の特定のものに権力が集まることはなかろう」

「奉行所と言いますとどのような」

「幕府の財務を管理する勘定奉行所、幕府の水軍の作戦立案・造船などを行う水軍奉行、などだな。まだ奉行所の部署など細かいところは決めていないが日ノ本の政は将軍と各奉行の合議によって決められることになるだろう。たとえ将軍が馬鹿だったとしてもまともな政治が行われる。それから税の取り方も変えるぞ」

「税の取り方ですか」

「そうだ。まず百姓の年貢が4年に1度検地を行い、その結果に応じて年貢を納めてもらう。そしてその年貢は前年の米の値に応じて銭で納めさせる。町人には公役を命じることで税の代わりにしようと思っている。商人には帳簿の提出と売上高に応じて納税を義務付ける。それだけでなく旗本や大名にも税を課そうと思う」

「大名にもですか。しかし反発しませんかね」

「反発したとして勝てると思うか。このことを伝えるのは日ノ本を統一してからだ。北条も武田もない。それでも反抗しようという馬鹿がいれば徹底的に潰すまでだ」

江戸幕府は大名に対して税をかけることができなかった。もしできていたらどうなっていたかな。もしかしたら明治維新はなかったかもしれない。そして慶喜を中心とした上からの改革が行われたのかな。どれがいいのか分からないけど少なくとも平和が長く続く仕組みにしないと。そのためには幕府の力が強くないと。特に財政に関しては史実みたいに苦しくならないように所得税や相続税は導入していきたい。それから貨幣だな。貨幣を統一して私鋳銭は一切認めない。それから・・・まだまだやることは多いな。

「ま、まずは日ノ本の統一が先だな。次は武田を叩き潰す。戦は来年だな。今のうちに考えておけよ」

「はい」

「俺はまず宣教師たちだな。そろそろ頼久から報告があるはずだ。場合によっては宣教師どもを追放することになるやもしれん。面倒なことだ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ