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第二次織田征伐5

―――――――――――1574年4月10日 本田城――――――――――――

「そうか!舅殿が武田に勝ったか」

舅殿の家臣からの報告を聞いて思わず叫んだ。これで織田の士気が下がるだけでなく、反惟宗同盟全体の士気も下がるだろう。それに武田は当分動けないはずだ。今のうちに徳川が武田に奪われた遠江や駿河を奪い取ることができるだろう。織田の家臣からもこちらに寝返ろうとする者が出てくるかもしれない。そうなれば織田滅亡も時間の問題だろう。織田が滅べば上杉も裏切ろうとしないはずだ。あとは史実通り重臣たちがいなくなった武田と北条・奥羽の大名だけだ。あと10年もしないうちに天下を統一することができるだろう。俺がいつ死ぬか分からないけどこれなら問題なさそうだな。織田を滅ぼした後の戦は貞康に任せて俺は新しい幕府を作っていくか。


舅殿と武田の戦は史実の長篠の戦いとほぼ同じ場所で行われたらしい。結果は惟宗の兵の損害は100ほどに対して武田の損害は約1万。さらに山県昌景・馬場信春・内藤昌秀・原昌胤・原盛胤・真田信綱・真田昌輝・土屋昌続・土屋直規・安中景繁・望月信永・米倉丹後守といった重臣や指揮官クラスがたくさん討死したみたいだ。勝頼はボロボロになりながら甲斐に逃げ帰ったらしい。その話を聞いた北条も兵を引き上げた。その知らせを聞いた義昭は烈火のごとく怒ったらしいが氏政は領内や小田原城の守りを固めることを優先するようだ。


「舅殿は今何をしているかな」

「武田の追撃を行っていましたが三河を越えたあたりで追撃をやめ、周辺の武田についた城を落としています」

「そうか。そのまま三河平定を進めてくれ。遠江平定の方は康興に任せる」

「はっ」

遠江平定はほぼ終わっていたはずだからそのまま駿河に攻め入らせるか。上杉も信濃に約5000で攻め入った。武田はそっちの対応に追われて駿河の守りは減るはずだ。簡単に取れるだろう。

「三河平定が終わったら尾張に攻め込んでくれ。その頃には美濃平定も終わっていよう」

「かしこまりました」

そういって一礼すると使者が下がる。さて、あとは信長の頸を取れば織田征伐は終わったも同然だな。しかしなかなか岐阜城から出てこない。それに城の守りもかなり堅いせいでかなり手間取っている。予定だったらすでに岐阜城を囲んでいるはずだったんだけどな。ま、予定通りになることの方が少ないか。相手があの信長だからな。


――――――――1574年4月15日 小田原城 大舘晴光―――――――――

「なぜ兵を退いたっ」

大樹に呼び出されてこの部屋に来た氏政殿に大樹が怒鳴りつける。氏政殿はただ頭を下げるだけで何も言われない。

「あのまま惟宗とにらみ合いを続けておれば少なくない兵を引き付けることができたであろう。それだけでも織田の助けとなったであろう。なのになぜ」

「某には家臣や領民を守る義務があります。ここでいたずらに兵を損なう訳にはいきませぬ」

「うるさいっ。味方が少ない我らにとって織田は頼りになる大大名だ。それを見捨てるような真似をするというのか。ええい、もう顔は見たくない。さっさと下がれ」

「では失礼いたしまする」

そう言って一礼すると氏政殿が下がる。氏政殿が下がるのを確認してから誰かが溜息をつかれる。

「大樹、いかがしますか。北条が動かず武田も大きな損害を被りました。織田もあと少しで岐阜城を囲まれることになると思われますが」

「分かっておる。しかし北条が動かないのであれば奥羽の大名を動かしたところで意味がない。いかがしたものか」

そういうと大樹が考え込まれる。それにつられて皆も考え始める。しかしどうしたものか。北条・武田が動けない今、織田に援軍を送り込むことはできない。しかしそれでは織田が滅びかねない。どうしたものか。

「・・・切支丹を利用するのはいかがでしょうか」

「なに?」

和田殿の言葉に大樹が反応された。しかし切支丹を利用する?どういうことだろうか。

「大樹や皆様もご存知のように惟宗が大軍を動かせる理由の一つは長い間九州や山陰・山陽で戦がなかったため生産力が高まったからです。そしてその戦が長くなかった地域は切支丹が多い地域でもあります。そこで切支丹が反乱が起きれば惟宗は戦どころではなくなるでしょう。その間に反惟宗勢力をまとめ上げて上洛の準備をするのです」

「しかし切支丹を動かすには宣教師たちの力を借りる必要があろう。あ奴らが余に力を貸すか」

宣教師たちは国康の許可をもらったと言って布教をしているのだ。力を貸すとはとても思えんが。

「宣教師といえども一枚岩ではありません。中にはカブラルやコエリョのように宗教を管理しようとしている国康に対して不満を持っている者がいます。惟宗の時より切支丹を優遇するといえばこちらに付こうとする者が出てくるかと」

本願寺が反惟宗になった理由の一つが説法ひとつするのに惟宗の許可を得ないといけなくなるからだった。宣教師たちも俗世の人間には口出しされたくないということだろうか。

「ふむ、出来ることであればなんでもせよ。もし惟宗討伐に力を貸せば日ノ本での布教を認めると伝えよ。もちろん布教に関しては口出しせぬ」

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