表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
219/402

第二次織田征伐3

―――――――――――1574年3月10日 大垣城――――――――――――

「北条が戦の準備をしているだと」

頼久の報告に思わず聞き返した。北条は義昭を匿っているとはいえ反惟宗は形だけだと思っていたけど違ったのかな。北条は関東に手を出さない限り来ないと思っていたから問題ないと思っていたけどこっちまで来るなら少し厄介だな。北条は少なくとも3万は動かせたはずだ。その兵が遠江に入ってくるとさすがの舅殿と家康でもかなり厳しいことになるだろう。舅殿の隊が崩れれば織田・武田・北条が集結することになる。数でいえば8万ぐらいになるかな。いや、北条が全軍を送るとは限らないか。案外2000とかそれぐらいかもしれない。

「数は分かるか」

「1万ほどかと。率いるのは北条氏照のようです」

1万か。それが遠江に入ったら厳しいな。確か武田と対陣している舅殿も数ではほぼ同じで小競り合いを続けているだけだったよな。よし、3万の兵を遠江に上陸させて2万を北条の備えに1万を舅殿の援軍になってもらおう。北条の備えは康興でいいな。援軍は忠平と盛円に任せよう。追い払う必要はないのだ。舅殿と武田の戦が終わるまで抑え込んでくれればいい。どうせそこまで本気ではないのだろう。

「当主の氏政が率いるのではないのか」

「違うようです」

数と言い当主が率いないことと言いそこまで本気ではないのかな。だけど反惟宗派の声が大きいからそれなりの兵を出すことになったとか。そうなると氏照は反惟宗派か。確か氏照は史実でも秀吉が来た時は徹底抗戦を唱えていたはずだ。小田原征伐前とは状況は違うが関東の事は北条がという意識が強いのだろうな。

「それで北条はどこに兵を送るつもりだ。駿河を通って遠江か。それとも上野を通って上杉攻めか」

「おそらく駿河を通って遠江に向かうものと思われます」

しかし何で反惟宗になるのかな。俺と敵対して何を得るつもりなのだろうか。近くにある惟宗の領地は上杉から分捕った上野の一部ぐらいしかない。それだけのために惟宗に喧嘩を売るか?上野を取ったらあとは越後ぐらいだぞ。上杉単独でも勝てなかった越後を攻めるか。うーん、どうも読めない。織田は惟宗と領地が接しているから戦をして攻め取ろうとすることができる。武田は飛騨と隣り合っているし、上洛は信玄の悲願だ。戦をする理由はある。しかし北条は何を理由に戦をするのかな。ま、どんな理由にしろ敵対した以上は潰すだけだ。100万石以上の大名なんて上杉だけで十分だ。念のため上杉には上野に兵を送るように伝えよう。それから惟宗からも兵を送るか。5000もいればいいかな。将は・・・成幸にするか。あいつなら上杉を不快にするようなことはしないはずだ。


―――――――――1574年3月20日 岐阜城 村井貞勝―――――――――

「ちっ。もう対応してきたか」

報告書を読みながら御屋形様が舌打ちをされる。今は軍議ではないためこの部屋にはあまり人はいない。しかし対応とは何のことだろうか。

「御屋形様、いかがなされましたか」

「志摩に3万の兵が集まっている。北条の援軍は期待できんぞ」

志摩に3万の兵?志摩に集めているということは尾張への援軍だろうか。いや、それならわざわざ志摩に集める必要はない。志摩に集めるということは船を使って兵を送るということだろう。そうなると遠江に兵を送るか。北条の援軍は駿河を通って遠江に入ることになっている。それで北条の援軍は期待できないのか。

「せめて武田が惟宗の別働隊に勝ってくれればいいのだがな。あれが総大将ならば無理か」

あれというのは惟宗の別働隊の総大将である戸次鑑連の事だろうか。それとも武田の当主である勝頼殿の事だろうか。どちらにせよ勝頼殿や武田では鑑連には勝てないと思われているのだろう。

「いかがしますか。もう一度降伏の使者を出しますか」

「必要ない。無駄なことだ」

「以前認められなかったからですか。しかし今ならば」

織田は決定的に負けてはいない。上杉のようにある程度領地を割譲すれば何とかまとめられるのではないだろうか。

「降伏は認められん。惟宗は元が小さかったからな」

元が小さいから認められない?どういうことだろうか。御屋形様の顔がゆがんだ。どうやら顔に出ていたようだ。

「惟宗は対馬一国から天下に覇を唱えるまで大きくなった。しかし国康が死んで惟宗の力が衰えた後に第二の国康が出てこないとも限らない。だから大大名を警戒しているのだ。だから毛利も三好も認めなかった。それに尾張や美濃は肥沃な土地でもある。そして津島などの湊もある。惟宗がそれを警戒しないはずがなかろう」

「しかし上杉は降伏を認められましたが」

「それは織田という大大名を相手にしなければならない時期だったからだろう。それに謙信には実子がいない。たきつければいくらでも内乱を起こすことができる。いま勢力を削がなくてもいずれ出来る」

惟宗がほかの大名を恐れているのか。そういえば筒井も大きな勢力ではあるが娘を嫁がせて身内に取り込んだ。御屋形様のおっしゃる通り惟宗は大きな勢力を恐れているのかもしれないな。

「ふん、それよりこの危機をどう乗り越えるかだ。お前も無駄なことを考えている暇があったら策を考えよ」

「はっ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ