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再び

―――――――――――1569年10月15日 茶臼山―――――――――――

「御屋形様、予定通り広島城に繋がる道は全てふさぎました。これで兵糧が運び込まれることはありません」

「そうか」

頼氏の言葉に頷く。しかし思ったより少なかったな。てっきり安芸は3万は動くかと思っていたのに。


貞康が阿波を制圧するころに本願寺が挙兵した。挙兵の理由は惟宗が石山から撤去するよう不当に命令してきた。本願寺はこのような圧力に負けるわけにはいかない云々。ようは気に食わないから挙兵しますだそうだ。まずは播磨の一向衆が天神山城に攻めてきた。その数は約3万。これはまあ予想通りだったかな。小寺・別所・赤松など播磨の国人たちも一向衆に協力している。ただ官兵衛は反対して御着城から出て姫路城に籠っているらしい。何でも今は勢いがあるかもしれないがいずれは安定している九州から大軍が押し寄せてくる、それに対抗する手段を本願寺は持っていないと主張したらしい。だがまだ小寺を説得するのはあきらめていないらしい。史実みたいに幽閉されなければいいけどな。官兵衛の嫁の実家や冷泉家も一揆勢とは敵対しているらしい。落城する前に援軍に向かわないとな。

安芸の一向衆は俺の居城になるはずだった広島城を約1万で攻めてきた。ただ仏護寺にいる協力者や偽の信者のおかげで広島城を攻めるよう仕向けておいたから問題ない。あの城には1万も兵が入って籠城できるような環境ではないし兵糧もほとんどない。すでに広島城は囲んでいるから援軍も来ないだろう。それに今回乗っ取りを仕掛けたのは強硬派だけらしい。穏健派はすでに本願寺派から高田派などの本願寺派以外の浄土真宗に鞍替えした。ザマあみろ。


それに呼応するように尼子の残党が山名の支援で月山富田城に攻め入ってきた。尼子の残党の兵の数は約2000。確か史実より多いはずだ。だが月山富田城にいる兵も史実より多い1000。それに多聞衆に見つかっていたためすでに籠城の準備は出来ていた。すでに石見経由で4000の兵を送り込んでいる。率いるのは康胤だ。康胤にはそのまま伯耆・出雲の兵を使って山名領に攻め入るよう伝えている。伯耆・出雲の兵を使えば15000以上になるはずだ。山名を攻め滅ぼすのには十分だろう。


本願寺が挙兵すると同時に様々な大名が挙兵の動きを見せ始めた。波多野・一色などの丹波・丹後衆は山名を支援するという名目で、朝倉は本願寺の備えという名目で、織田・浅井は大樹を本願寺などから守るという名目だが間違いなく反惟宗連合といったところだろう。たぶん義昭が動いたな。義昭本人はまだ動く気配はないがどうするかな。まずは証拠だな。義昭が反惟宗連合の首謀者であるという証拠を見つけて義昭を京から追い出す。いや、義昭が自分から京を出る可能性があるな。すぐに手紙を書いて義昭を守るという名目で二条城を乗っ取らせよう。それから赤井だ。赤井は前久の伝手で惟宗方に付くことになった。条件は丹波一国。石高でいうと30万石に届かないぐらいだろう。ちょっと多いような気がするがまぁ、天下を取るためには仕方ないと割り切るか。それに赤井は丹波の有力者だ。山名・一色・波多野を牽制するには赤井を利用するのが一番いいだろう。それに赤井が信用できるか分からないしな。


「しかし今回の安芸の一向衆の動きは妙に手際が良かったな」

いちおう2・3日ぐらいは耐えられると思っていたんだけどな。今回は強硬派しかいないからそこまで多くない。なのに1日で落城するとは思わなかった。まぁ、無理するぐらいならすぐに城から出るように伝えていたのは俺なんだけど。

「一向衆を指揮しているのは誰だ」

「総大将は下間頼照ですが実際に指揮をしているのは別の者です」

「ほう、誰だ」

まさか鈴木重秀ではないよな。

「円月と名乗る坊主です」

円月?どこかで聞いたことがあるような・・・

「出家する前の名は龍造寺鑑信です」

えっ。あいつまだ生きていたの。

「まさか惟宗領にいるとは」

「申し訳ございません。始めは京に身を隠していたようですが三好が義輝公を殺してから安芸に移ったようです。京にいたあたりで身分を隠して行動していたようで。倅には叱っておきます」

「なに、多少予定が変わっただけだ。気にするな」

しかしまだ生きていたとはな。京にいたということは三好に仕官しようとしたのかな。だが畿内の有力者のところに身分を隠して仕官できるわけがない。義輝を殺したあたりで内輪もめをすると予想して安芸の仏護寺に移動したか。本願寺派ならバレても敵対することを避けると思ったのだろう。それに俺に復讐するなら一向一揆が一番戦力として使えると思ったか。しかししつこいなぁ。何年経ったよ。大友を滅ぼしたのが10年以上前だからもう25年近くになるのかな。あいつが最初に出家した寺は天台宗だったはずなんだけど。節操はないがよくやるなぁ。ある意味感心するよ。


円月の話は置いておくとして、問題は戦の準備をしている大名たちだな。織田はたぶん形だけだ。この歴史でも北畠攻めが行われたが史実ほどうまくいっていない。和睦も成立せずに未だに長々と戦を続けている。織田対策は北畠を支援すれば問題ないな。朝倉は本当に出て来るのかな?正直なところ加賀一向一揆たちと和睦をしたいだけのように思える。よし、偽書を使って嗾けるか。本願寺からの使いと偽って朝倉が惟宗に加担している故攻め込めと書かれた偽書を送ろう。それで一向一揆が動けばよし、動かなくても偽書は朝倉の罠だと噂を流せば疑心暗鬼になって本願寺・朝倉の協力関係は崩れる。若狭の支援も増やすか。

浅井は織田と朝倉が動けないと動かないだろう。単独で畿内にいる3万の兵を攻めれるだけの兵は集まらないだろうしな。あと警戒するべきは松永・畠山だがそれは筒井を嗾ければいいし、畠山は当主の秋高が河内の件であまり義昭のことをよく思っていない。いまのところは家督を譲ったはずの兄の高政が実権を握っているからそう簡単には動けないだろうけど義継が持っている河内北半国を譲ると言えば惟宗派と反惟宗派で争うだろう。少なくともこっちに攻めて来る余裕はなくなる。当面の敵は本願寺だな。

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