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将軍宣下

―――――――――――1568年10月20日 山科邸―――――――――――

「大弐殿、よろしいかな」

部屋で九州から送られてきた書類を見ていると言継殿が入ってきた。

「これは言継殿。もちろんですよ」

そういうと言継殿はさっさと部屋に入ってきた。

「将軍宣下はなかなか豪華な席になったと聞きましたが如何でしたかな」

「えぇ、大樹はずいぶんと御不満そうでしたが」

「ほほほっ。せっかくその方がすべて手配をして武衛の屋敷跡に新たな屋敷を作ってやっているというのにな」

攻められたら速攻で落ちそうな屋敷だけどね。

「どうやら観能の会での十三番の演目を五番に減らしたことが御不満のようですな」

正確に言うとそれを言い始めたのは信長だけどな。俺は諸将の意見を聞いて準備しただけだ。俺を恨むのは筋違いだろう。


一昨日、将軍宣下と観能の会が行われた。準備は貞孝と頼安に任せておいたがかなりの量の銭を使ったらしい。まぁ、菱刈鉱山とか石見銀山とかがあるからいいけど。それに参加した大名や大名の代理達に惟宗の財力を見せつけることができたはずだ。参加した主だった大名は俺と信長・浅井長政・畠山高政・松永久秀・三好義継・一色義道・波多野秀治だ。代理の使者だけだったのは徳川家康・武田信玄・上杉輝虎・朝倉義景だ。そのあとは観能の会を行ったがまぁ白けていたな。五番しかなかったことで義昭や奉公衆たちがかなり不満そうな顔をしていた。それにその時に信長に鼓をさせようとしていた。俺には笛をやれって言ってきた。信長は普通に断っていたな。俺はたまたま近くにいた康興が横笛がうまいと聞いていたのでさせた。そこは普通に盛り上がっていたな。義昭は不満げだったけど。この中から誰が反惟宗同盟に付くかな。


「これからどうするおつもりかな」

「そうですな。ある程度落ち着いてきましたしそろそろ九州に戻ろうかと。三好討伐もしなければなりませんし。それから将軍宣下に参加しなかった因幡・但馬の山名らを攻めようと考えています。ですがさすがにこれほどの兵を動かしたので少し時間がかかるでしょうが」

「その間に大樹が動き出すかもしれんぞ。あれは誰かが自分の上にいることを殊更嫌う」

「某が大樹の上にいると思っていると。だとしたらいいのですが」

三好を潰すまでは待ってほしいのだがな。三好を潰してからだったら本願寺が義昭に付いたとしても淡路で兵糧を止めて飢えを待てばいい。史実とは違って毛利がいないのだ。油断はできないが何とかなるはず。不安なのは安芸や播磨などで一揆がおきることだが一向一揆の主力は農民だ。そこを抑えれば何とか防げるはず。加賀・越中の一揆の様子を悪いように流すか。坊主に納めなければならない年貢が惟宗より高い、坊主が酒を飲んだりして遊びほうけているとか。そうすれば一揆に参加する人数も減るはずだ。

「楽しみにしていますぞ。足利ではなく惟宗の天下を」

「ご期待に沿えるよう頑張ります」

「そういえば側室を探していたと聞いているが公家の娘を紹介しようか」

「いえ、村上通康の娘を河野通宣の養女にして側室することになっておりますのでお気遣いは無用にございます」

「そうか、ま、必要になったら言ってくれ。嫡男の正室でもの」


――――――――1568年11月10日 石山本願寺 顕如―――――――――

「ふ、ふざけるな。このような条件が認められるわけがなかろうがっ」

そう言って書状を破り捨てる。国康め、ふざけよって。

「矢銭5000貫はいい。払えないほどの額ではないからな。ほかの宗派を認めよというのも癪だが認められないわけではない。だがほかの条件は何だ。石山から撤去せよ、一揆衆の治める土地を惟宗に渡せ、惟宗の指示を聞け。ふざけているとしか思えんわ」

「頼廉殿、なぜこのような条件で引き下がってきた」

そう言って頼照が頼廉を睨む。

「蓮如上人が唱えた王法為本の考えを守るだけなのだから簡単だろうと言ってさっさとどこかに行ってしまったのでそれ以上交渉することができず。申し訳ございませぬ」

「よい、どうせこちらの要求など受け入れるつもりはなかったのだろう。だからこのような条件を突き付けて蓮如上人の言葉を引用してきたのだろうな。その方の責任ではない」

それよりこれからだ。なんとしてでもあの男をどうにかせねば。

「国康は今どうしている」

「九州へ帰る支度をしています。京には家臣の松浦康興・武田康繁と1万の兵を置くようです。それと和泉には弟の康正と2万の兵を置くようです」

「計3万か、そう簡単には動けないな」

信者たちを集めても4・5万ほどだろう。数だけで見れば対等かそれ以上だが兵の質が違う。たとえ信者が死を恐れずに戦ったとしても厳しいだろう。時間を稼がれては今回の上洛戦の時ほどではないだろうが多くの兵がここに来るはずだ。単独では勝てない。もう少し惟宗の兵を分散させねば。

「朝倉・三好・山名などと連絡を取る。それから安芸・播磨の信者たちにも」

「惟宗と敵対されるおつもりですか」

「惟宗もそれを望んでいるはずだ。ならばこちらから仕掛けて主導権を取った方がよい。頼照、安芸に行き信者たちを纏めよ。頼廉は播磨だ」

安芸には新たな城が出来つつある。これ以上時間をかければ安芸で動くことが出来なくなる。

「はっ」

「かしこまりました」

必ずや国康を潰してくれるわ。

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