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06.

 では、と皆の思考を引き戻すようにリンレイが言葉を紡ぐ。


「妾の推測としては、珠希の特異性とカルマが関係あるが故に付け狙われていると考える。というか、そなたを餌にカルマを誘き寄せるのが狙いであろうよ」

「ええ……?」

「――あまり推奨はせぬが、珠希は塔で預かろうか? そなた等の手には余ると見た」


 ぎょっとして息を呑む。賢者と言うだけあって打ち出した対策は完璧な事この上無いが、それにしたって急過ぎる。正直、よく知らない上に上流階級出身者らしい彼女の世話にはなりたくない。

 しかし、リンレイの問いに対する答えを自分が決められるはずもないだろう。これはイーヴァの旅。またはフェイロンの仕事であり、ダリルの逃避行でもあり、ロイの友人捜しの旅でもあった。流し流されている自分の為に彼等は存在しているのではない。


 恐々とパーティ内で下される決断を待つ。ここで意外にも異を唱えたのはコルネリアだった。


「やだよ。珠希がここに残るって事は、あたしもここに残らなきゃならないって事になるだろ。お前と四六時中、顔を付き合わせるとか拷問?」

「……そなた、自分の立場を忘れてしまったのか? よくもそのような口が利けたものだ」


 心底呆れたという顔をしたリンレイだったが、コルネリアの発言は珠希にとって良い結果をもたらした。どうすべきか考えていたイーヴァがその首を横に振ったからだ。


「コルネリアをここに預けるのは不安過ぎる。それに、預けるという事はいずれ引き取るという事。珠希をここに永住させられないのなら、私達は珠希を放り出す訳にはいかない」

「人の寿命など瞬きの刹那よ。100年やそこらならば、面倒を見ても構わぬ。しかし、ギレットの性質上、妾が珠希の面倒を見てやれるかと問われれば否と答えざるを得ないだろうな」


 ――何だかペットの話をしているみたいだ。

 ボンヤリとどこか他人事のように話を聞いていると、不意にロイが話し掛けてきた。


「そういえばさあ、珠希、帰れなくなったじゃん?」

「サラッと確認してくるよね、重い話題を。まあ、そうみたいだけどさ……」

「どこか住む所探そうぜ。何かあった時に、帰る場所があった方が良いだろ」

「ロイくんに真っ当な事言われると違和感が凄い」

「俺もそうだけど、珠希も俺にちょくちょく喧嘩を売ってくるよな」


 というか、彼は人が故郷へ戻る事が出来ずに落ち込んでいるかもしれないという考えは微塵も無いのだろうか。凄い。共感性が何かこう、凄い事になってる!

 そうこうしているうちに、リンレイとイーヴァの会話は決着したらしい。締めるようなリンレイのまとめ口調が耳に入ってくる。


「ならば、フェイロンの仕事が完了するまでに妾も珠希の処遇を決めておくとしよう。思い付きだけで預かるなどと提案した事は、撤回する」

「えっと? 結局どうなったんでしょうか……」

「珠希、そなたはこれまで通りイーヴァ達と旅をして構わぬ。何かあれば、ランドルに連絡させる」


 何故か唐突にランドルへ飛び火したが、召喚師は全く動揺せず「畏まりました」、とだけ答えた。


「ああそれと、フェイロン。そなたが探していた封具の作成書の写本が、王都で見つかったとついさっき連絡が来たぞ。取りに行ってはどうか?」

「承知致しました」

「先程の魔族2人は、動向が掴め次第そなた等に教えよう」


 考える素振りを見せたフェイロンの視線がイーヴァへと向けられる。


「ギレットに3日滞在すると言ったが、特に用事がないのであれば明日、王都へ出発して構わぬか?」

「分かった。それでいいよ」


 どうやら明日から再び野宿生活が始まるらしい。


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