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サクラサケ!  作者: tkkosa
8/12

第7話



 シューッ、コッ、コッ、コッ、コッ(電気ケトルの沸いた音)。

 ジャンジャジャンジャジャジャ〜ン(んっ、なんだ、このけたたましい音楽は・・・最

初のケトルの音で絵里奈さんかと思いきや、これは違うな)。

 ポッ、ポッ、ポポポポポ〜(ケトルの湯をコーヒーカップへ注ぐ)。

 ゴク、ゴク、ゴク、ゴク(それを二口で飲んでいくの図・・・って、そろそろツッコん

でもいいでしょうか)。

 はい、なんですか(さっきから擬音ばっかりになって伝わりにくいので・・・プラス、

私自身、誰なのか分かってないので)。

 あぁ、紹介が遅れました、富士誉です(おぉ、今注目の富士ですね)。

 注目・・・どういうことですか(いえいえ、こっちの話なんで気にしないでください)。

 そういえば、作者さんって宮前のところによくいるんですよね(はい、こうして出張も

どきに来ることもありますが、基本はさくらさんのところですね)。

 ちょっとだけ、聞いてもいいですか(むっ、どうしましたか)。

 宮前って、俺のことに関して何か言ってたりしませんか(・・・・・・どうしてまた、

それを)。

 なんだか、アイツの気持ちが全然分からなくて・・・正直、どうしていいか迷ってるん

です(あぁ・・・よかったら、もう少し聞かせてもらってもいいでしょうか)。

 はっきり言って、俺はアイツに気持ちがあるんです(おっと、いきなりの大胆発言を)。

 なんていうか、仕事では突っかかってばっかりなんですけど、そうやって言い合える仲

っていうのが俺にはすごい心地良くて(はいはい、分かります)。

 自然に宮前に惹かれていきました、俺はあんまり感情を表に出さない方だからアイツみ

たいな元気印っていう感じの子は魅力を感じるんです(はい、なんだかんだで一緒にいる

と楽しいですからね)。

 だけど、こんな性格してるせいか、うまく自分の気持ちを伝えるのがヘタで(なるほど、

それで行動に出てしまうということなんですね)。

 はい、最初にアイツにキスしてから距離を置かれるようになってたから、このままじゃ

何も変わらないとやきもきしてました(それで、二回目のキスをしたと)。

 いや、というよりか、あのときは自然にそうしようと思いました(「そこに宮前さくらの

唇があったから」ですか、にくいですね〜)。

 そういう言葉で表すようなもんじゃなく、身体がスッと動いたんですよね(いいじゃな

いですか、そういうのいいっす)。

 あのとき、宮前も自分を受け入れてくれたのがスゲェ嬉しかったんです(はい、言葉じ

ゃないですね、こればっかりは)。

 でも、まだアイツの心の中がつかめなくて・・・どうしようか、どうすればいいか、そ

んなことばっかり考えてます、答えも出ないんですけど(うぅん・・・多分、考えすぎじ

ゃないかと思いますよ)。

 そうですかね、アイツってああ見えて意外に複雑な感じしませんか(いえ、結構どスト

レートだと思いますよ・・・単純ですよ、良い意味でさくらさんは)。

 そうなんですか・・・俺が思い込みすぎてるんですか(はい、もっと積極的でいいんじ

ゃないでしょうか、ウジウジする必要はないと思います)。

 ありがとうございます、作者さんのおかげで勇気でました(いえいえ、健闘を祈ってま

すよ)。


          ☆


 うぅ〜っ、ゆううつ、うぅ〜っ(どうしました、さくらさん)。

 只今、フロートアップへと上昇を続けるエレベーターの中です(会社ですね、頑張って

ください、今日も)。

 頑張れないかもしんな〜い、今日は集中できないよ〜(どうしちゃったんですか、一体)。

 だって、会社に行ったら富士がいるんですよ(そりゃ、そうでしょう)。

 ダメですぅ〜、そんなの気になって仕事がはかどりません(仕事は仕事、恋は恋、メリ

ハリつけてください)。

 あぁんっ、作者さんは他人事だからそんなことが言えるんですよ(いいから、観念しな

さいな)。

 このままじゃ、気持ちの切り替えができませんっ・・・作者さん、私に応援の言葉をく

ださい(応援ですか、分かりました・・・さくらさん)。

 はい、何でしょうか(素直になってください、それだけでいいんですよ)。

 へぇ・・・それだけでいいんですか(はい、さくらさんはそのままで充分に魅力的な女

の子ですよ)。

 ホントですか、いつものように嘘じゃないんですか(いつものように、って・・・嘘な

んかじゃありません、本心ですよ)。

 はわわわわっ、ありがとうございますっ(人として大好きですよ、さくらさんのこと)。

 はわわわわっ、そっ、そんなに褒めてくれるんですかっ(いつもはああだこうだ言って

ますけど、さくらさんは文句なしで素敵です)。

 うぅう・・・泣きそうです、そんなふうに思っててくれたんですか(はい、そんなには

言いませんからね、こんなこと)。

 作者さぁ〜ん、チュウしてもいいですかっ(あっ、ありがたいですが・・・私にするな

ら、富士にしてください)。

 富士とは2回してますからぁ、作者さんにしてあげますぅ(いいですって、富士との3

回目にまわしてください)。

 どうしてですかぁ、私の身体が目当てなんでしょ(どういうこっちゃ・・・収集つかな

いから早送り、ピッ)。

「おはよう」

 ふっ、富士っ・・・よりにもよって、どこにタイムワープさせてるんですか(手っ取り

早くていいじゃないですか)。

 むぅ、やっぱ、いい性格してるよ、アンタは(お褒めの言葉として受け取っておきます)。

「おはよう・・・・・・」

 あぁん、「おはよう」の後に何か言いたいけど、なんて言ったらいいか分かんないよぉ(別

に、そこは「おはよう」でいいんじゃないでしょうか)。

 違いますよ、いつもとは一味も二味も上乗せした私を表現したいんですよぉ(自然体で

いいんです、さくらさんは)。

 作者さん、前に言ってましたよね・・・「無難に」でしたっけ、あれでいけばいいんです

か(いや、さくらさんの「無難」は他の人とは違うみたいなんで、なかったことにしてく

ださい)。

 それじゃあ、前とちっとも変わんないじゃないですか(大丈夫ですって、成るように成

りますから)。

 なんくるないさぁ、ってやつですか(そうです、焦らないでいいんですよ)


「先週の山梨でのワインイベント、Aチームの運営で大成功に終わった。契約の方も予想

を上回る結果になったようで、先方もいたく感謝してくれている。「是非、来年も一緒にお

願いします」という、電話も昨日いただいた。今後もクライアントの意向に応えられるよ

う、精進してがんばってほしい」

 部長の言葉に、Aチームのみんなが顔を見合わせては綻ばせます。

 しかぁ〜し、さくらさんはそれどころではないのです(こらっ、勝手に脱線するんじゃ

ないの)。

 はぁい、言ってみただけですよっ(気ぃ張ってないと、何しだすか分かんないな)。

「次のイベントは、毎年恒例の花火大会の歌自慢イベントよ。2週間後の26日の日曜日、

近場で開かれる大規模な花火大会に合わせて行われてる商店街主催のイベント。企画やキ

ャスティング関係は終わってるから、当日までの運営や展開を行っていきます。さくらと

誉は来場者、絵里奈と智成は出演者、鋸鎖と米太良は舞台、緒辺と佐渡はスタッフ、私は

統括を担当します。毎年やってるイベントだから、特別大変なところはないと思うので、

各自よろしくお願いします」

 今年もですか、花火大会イベント(歌自慢イベントって、のど自慢みたいなものですか)。

 いえ、名称がそういうっぽいだけで、ちゃんと歌手の方を呼んでミニコンサートみたい

にするんですよ(へぇ、ちなみにどういった)。

 商店街の主催ですから演歌の方々ですね、来場者も年配の方が多いですし(あぁ、そう

なりますね)。

 でも、皆さんには喜んでもらえて、毎年いい雰囲気なんですよ(花火大会もありますし

ね)。

 はい、花火大会の始まる前に終わるようにしてあるので、そのままみんなで花火を観て

行くといった流れになります(なるほど、なるほど)。

「おい、宮前、出掛けるぞ」

「あっ、うん、ちょっと待って」

 資料集めを終わらせると、私と富士はイベントの現場に向かいます(2人きりですね、

これは)。

 ふっ、2人きりなんてそんな・・・仕事です、これはあくまで仕事ですから(まぁ、そ

う言い聞かせたい気持ちも分かりますが)。

 どうしたいっていうんですか、作者さんは私を(どうって・・・単に、富士のことが好

きと分かったんだから、ためらうことはないんじゃないかなと)。

 なんですか、具体的に言ってください(だから、もう四の五の言うんじゃなく、行動に

移すのが1番ですって)。

 行動って・・・どういうことですか(簡単に言ってしまえば、告白ですよね)。

 こっ、告白ですかっ(そんな驚かなくても・・・次のステップに進むためには必要な過

程ですし)。

 でっ、でもっ、昨日の今日のじゃあ、気持ちの整理がついてねぇですわ(緊張で語尾が

ぐだぐだになってますよ)。

 第一、こういうのは男性からしてくれるものじゃないですか(まぁ、富士がしてくれれ

ばいいんですが・・・するかどうかの保障もないのに待ち続けるのもどうかと)。

 そりゃそうですけど、富士は私にそういうのしてくれないんですか(その辺は、さすが

に私にはどうにも出来ないので)。

 一体、富士は私のことをどう思ってるんですか。キスしたり、ものすごく思わせぶりな

ことばかりしてるくせに、気持ちを言葉にしてくれたことがないのはどうしてですか(富

士の性格も分かってあげてください、変に冷静になってしまうところがあるんですよ)。

 だとしても、しっかり言葉にしてくれないと分かりません(こういうのって、勇気やら

勢いやらって必要でしょ。富士って、そういうところで一歩引いて見てしまうんですよ)。

 作者さん、ずいぶん富士のことが分かってるんですね(最近おじゃましたんで、向こう

に)。

 えっ、絵里奈さんのところだけじゃなく、富士のところにも行ってるんですか(はい、

2回ほど)。

 マジですか、富士は私のことを何て言ってたんですかっ(それは・・・プライバシーや

らで勘弁していただきたい)。

 プライバシーって・・・私の中にこれだけ入って来ておいて、プライバシーもクソもあ

るかっ(そこを突かれると、正直つらい・・・・・・)。

 富士の本当の気持ちは何なんですか、教えてくださいよ(そこは本人の口からじゃない

と・・・とにかく、さくらさんは自分に素直にいればいいんですよ)。

 うぅ・・・なんか、好きになるって苦しいですね(そうですよ、相手の心が読めないか

らこそ苦しくなるんです)。

 早くスッキリしてしまいたい・・・けど、はっきり告げてしまって、その後が失くなっ

てしまうことの方が耐えられません(そうやって、不安になっていくんです・・・でも、

それが恋なんです)。

 あぁん、なんだかキュッと胸の内が苦しいよぉ(頑張ってください、さくらさん、応援

してますから)。

「なぁ、宮前」

「・・・・・・なぁに」

「これ終わったらさ・・・夕飯、付き合ってもらっていいか」

 つっ、付き合ってもらっていいか・・・これは告白ですか(さくらさん、その前に「夕

飯」って言ってるでしょ・・・そういう単語に敏感になりすぎ)。

 でっ、でも、富士から仕事終わりに食事に誘われるのも滅多にないことですよ(まぁま

ぁ、堅くならずに)。

「・・・・・・いいよ」

 ただ、こうなってしまっては、仕事に力が入りきらないのも事実でございまして。現場

の確認や取材をしながらも、気が気じゃない時間がやけに長く感じられました(うぅむ・・・

コメディ路線としては、この真面目な展開に危機感が)。

 すいません、そうしてあげたいのはやまやまですけど、こちとらそれどころじゃねぇん

です(はい、ここはこちらが折れますので、さくらさんは集中していいですよ)。

 その代わり、ちゃんと張り切るところは張り切りますから(待ってます、私は待ってま

すよ)。


 今日は現場の見学が終わったら直帰でいいと言われてるので、そのまま富士と食事に行

くことになりました(おぉ、2ショットタ〜イムっ)。

 作者さん・・・なんで、1人で盛り上がってるんですか(さくらさんの分を補おうと思

いまして)。

 あぁあ・・・私のせいで申し訳ねぇです、気を遣わせてしまって(いえ、もうここまで

来たからには二人三脚も同然ですから)。

 今日、季節はずれの運動会ですか(例え話ですよ、片方がローなら片方はハイ、プラマ

イゼロになるようにしてるんです)。

 うぅ・・・優しさが胸にしみてきます、作者さんが死んだら絶対にお花をあげに行きま

すからね(勝手に殺さないでください・・・・・・)。

「でさ、そいつにボールが直撃して、鼻血ブーって出して気絶しちゃったんだよ」

「アハハ、超おかしいっ、最高っ」

 私と富士は創作料理の居酒屋に入って、日本酒で乾杯しました(あぁ、創作料理のお店、

いいですよね)。

 うん、ブラックボードにメニューを書いてるお店、活気もあるけど雰囲気も感じます(そ

うそう、ここなら緊張も和らぐでしょう)。

 それからというものです、気焦ったように2人ともノンストップで喋り続けます(うん、

確かに・・・会話の空白が怖いんでしょうな)。

 富士は幼稚園時代にザリガニを振りかざして女の子を泣かせた話から、高校生時代に剣

道で県大会3位になった話から、昔の話を次々にしてくれました(ふむ、どれもこれも初

めて聞く話ですね)。

 はい、会社の飲み会でも話さないようなことばっかりで新鮮でした(そういうのも知っ

てもらいたいってことじゃないですか、さくらさんに)。

 えっ、そういう意味なんですか(真相は分かりませんが・・・ここまで饒舌な富士も珍

しいですよ、きっと頑張ってるんですよ)。

 そうなんですか・・・なんか、お互いに気を遣ってるようで変な感じですね(これまで

の2人だったら、お互いに気を遣わないでズケズケ言うくらいなのにね)。

「ここ、俺が出そうか」

「うぅん、いいよ、今月はピンチじゃないから・・・割り勘にしよう」

 とは言ったものの・・・割り勘でよかったのかな、これって(いいんですよ、デートっ

てわけじゃないし)。

 でも、富士の言葉のニュアンスからして、富士が出しといた方がよかったっぽくないで

すか(大丈夫です、そこは気にしすぎなくて)。

「この時間になると過ごしやすくなるな」

「うん、こんな遅くに涼しくなられてもなぁ、昼間になってほしいよ」

 居酒屋を後にすると、ほろ酔い気分のままで帰り道を歩き出します。

 一転して、今度は1分間に1回くらいの会話しかなくなり、なんだか急に緊張してきま

した(この感じ・・・どちらが先に切り出すか、というところですか)。

 切り出す、って・・・どういうことですか(ここ、チャンスですよ、告白の)。

 こっ、告白ぅ・・・そんな、いきなりですかぁ(いきなりじゃないですよ、昼に言った

でしょ)。

 あわわ、ものすごく身体が堅くなってきました(力が入りすぎです、リラックスしてく

ださい)。

 リラックス・・・休日に昼過ぎまで寝て、そこから夜中までテレビを見続けるみたいな

ことですか(・・・・・・それ、リラックスしすぎです)。

 じゃあ、ネイルを塗るのが面倒くさいから、クレヨンでごまかせみたいなことですか

(・・・・・・だらしなさすぎるし、クレヨンなんかでごまかせるはずないでしょうに)。

 あわわ、どうすればっ、どうすればいいんですかっ(まずい、軽くパニックになってる)。

「宮前っ」

「・・・・・・はい」

 人気のない公園を横切ってるときでした、富士はいつもより少し強めな声で私を呼び止

めます。

「聞いて欲しい話があるんだ・・・いいか」

「・・・・・・うん」

 目の前にいる富士から伝わってくる、この緊迫感・・・これって(うぅ、もう何も言い

ますまい、私は引っ込んでますっ)。

「俺、失礼なことしたと思ってたんだ・・・前、観覧車でお前にキスしたこと」

「・・・・・・うん(ただ、聞くさくら)」

「でも、決して、適当な気持ちでしたっていうんじゃないんだ。あのときはまだ答えを出

せてなかったけど、今ならはっきり言える」

「・・・・・・うん(ただただ、聞くさくら)」

「俺は・・・お前のことが好きだ」

「・・・・・・(固まったさくら)」

 好きって・・・好きって・・・好きって・・・そう言いましたよね、今(はい、聞きま

したっ)。

 富士が私に言ったんですよね、私の後ろにいるお婆ちゃんに言ったんじゃないですよね

(そんな意地悪いたしません、間違いなくさくらさんが言われたんですっ)。

 これは現実ですよね、夢じゃないんですよねっ(頬っぺをつねってください、さくらさ

ん)。

 ムギュ〜ッ、痛いです、起きてます、さくらは起きてますっ(現実ですよ、目の前で起

こってることは)。

「返事は急がないから・・・じっくり考えて欲しい」

「・・・・・・うん(固まったまま、言うさくら)」

 その後、私は先を歩いてく富士の後ろをただただ着いて行きました。

 5mだけ空いた2人の距離は、今の私の心情をままに映したようでした。近づきたいけ

ど恥ずかしくて側には立てない、隣にいきたいけど恥ずかしがってる顔を見られたくなく

て行けない、っていう。

 言葉を交わしたい、すごく富士と話したい・・・でも、実際に話したら、きっとぎこち

ない話しかできない・・・そこから、私の鼓動が伝わってしまうかもしれないって思うと、

それが出来ませんでした。

 ドキドキしてた・・・胸が高鳴ってた・・・富士の気持ちが嬉しかった・・・富士の言

葉が温かかった。


          ☆


 ジュ〜ッ、翌日、ジュ〜ッ(さくらさん、「翌日」は大フライパンにサラダ油を熱してる

音で挟むものじゃありません)。

 おっ、今日は的確にツッコミいれてくださってますね、作者さん(なにやら、これが1

番のお気に入りらしいので、ここはキッチリいこうかなと)。

 いい心がけです、これからも抜かりのないように(なんか、さくらさんが殿で私が家来

の関係になってる)。

 いいじゃないですか、私が織田信長で作者さんがザビエルです(フランシスコ・ザビエ

ルって、ハゲてるじゃねぇかよ)。

 や〜い、若ハゲ、若ハゲ、アルシンドになっちゃうよ〜(ものごっつムカつく・・・い

や、おさえろ、おさえるんだ、ここは)。

 頭てかてか、さえてピカピカ、それがど〜した、ボク作者さ〜ん(勝手な替え歌まで・・・

いや、おさえろ、ここは)。

「俺は・・・お前のことが好きだ(1回目)」

「俺は・・・お前のことが好きだ(2回目)」

「俺は・・・お前のことが好きだ(3回目)」

「俺は・・・お前のことが好きだ(4回目)」

「俺は・・・お前のことが好きだ(5回目・・・って、もういいでしょうよ)」

 はっ、いつのまにか、頭ん中が昨日に飛んでた(気をつけてください、料理中なんだか

ら)。

 だってぇ、富士から「好きだ」って言われちゃったんだも〜ん(浮かれてる・・・「浮か

れる」と辞書でひいたら載ってそうなぐらいに浮かれてる)。

 もぉっ、私のどこがそんなに素敵なんですかねっ(にやけてる・・・「にやにや」と辞書

でひいたら載ってそうなぐらいににやけてる)。

 さくらは幸せです、さくらさんは世界で一番幸せで〜すっ、チャチャ〜チャ〜チャチャ

(なっ、なぜ、ミュージカルっぽい音楽がっ)。

「幸せ〜、幸せ〜、こんな〜にも〜幸せ〜(うっ、歌まであるとは・・・しかも、若干の

宝塚チック)。私は役職シンデレラ〜、明日は〜衆議院で〜弾き語り〜(意味が分からな

い・・・きっと、意味なんてないだろうし)。歌お〜、踊ろ〜、今夜は〜夢の〜ラララ〜ミ

ュージックフェア〜(ミュージックフェアのオープニングかいっ、ちゃんとオチまで用意

してあるとは)」

 アハハ、私の幸せはこれだけ盛大に表現しなければイーブンにならなくてよっ(ここま

で嬉しかったのか・・・しかも、お嬢様もどきの言葉遣い)。

 私は花さかじいさんになりますっ、桜の木から私の幸せを皆さんに分けてさしあげます

(すいません・・・それ、ちょっとオリジナルのストーリーから外れてます)。

 ピョンピョン飛び跳ねたい気分です、今なら飛べるかもしれません(飛べませんし、飛

び跳ねたら下の階から苦情がくるからやめてください)。

 アチキは幸せでやんす、アッシほど恵まれた人がこの世にいるんでしょうけ(そこま

で・・・っていうか、言葉遣いがめちゃくちゃです)。

 何をおっしゃいますか、正しい日本語を使ってるじゃありませんきゃ(どの口が言うん

だ・・・さくらさん、国はどこでしたっけ)。

 えぇとね、日本です(その国じゃないっ、出身地はどこと聞いてるんです・・・さくら

さんが日本人であることなんか、百も承知ですよ)。

 出身地ですか、ここで問題です、私の出身地はどこでしょう(んっ、勝手にクイズ形式

になってる)。

 1・福岡、2・群馬、3・東京、4・ミャンマー(絶対、ふざけてる・・・じゃあ、2

番で)。

 えっ、どうして分かるんですか(どう見ても、都会人とは思えないからです)。

 いやぁ、そこまで褒められると照れるでありますぅ(なんだ、この究極のプラス思

考・・・・)。

 やっぱ、作者さんはいい人でありますなぁ、うんうん(その語尾、どっかで聞いたこと

ある・・・それ、誰ですか)。

 我が輩でありますか、我が輩はケロロ軍曹でありますぅ(どうなってるんだ、この子は

一体・・・・・・)。

 ペコポン侵略でありますぅ、まずはガンプラの作製からでありますよぉ(暴走しないで

ください、さくらさぁ〜ん、ケロロ軍曹はリセットです)。

 ボク、ドラえも〜ん(変えりゃあいいってもんじゃないです・・・それに、それ前にや

ったでしょ)。

 ボク、ドラミちゃ〜ん(浅い・・・あまりにも浅い変化)。

 のび太く〜ん、富士から告白されちゃったよぉ(もう着いてけない・・・ここまで頑張

ってきたけど、もう無理だ)。

 どこでもドア〜、ウッホホ〜イ(・・・・・・ドンヨリ)。

 あっ、あれっ、作者さん、どうしましたか(・・・・・・ドンヨリ)。

 まずいですっ、作者さんが死んじゃうよぉ(勝手に殺すな、勝手に)。

 誰か助けてくださいっ、ユア・ラヴ・フォーエーバー、瞳をと〜じて〜君を〜えが〜く

よ〜(セカチューって・・・ダメだ、力が出ない)。

 作者さぁん、死んじゃダメですっ(だから、死んでないし、死ぬ予定もございませ

ん・・・・・・)。

 こんなことなら、もっと優しくしておけばよかった(聞いてないな・・・ところで、さ

くらさん)。

 はっ、何でございやしょうか(このくだりの冒頭で、サラダ油を熱してませんでしたっ

け)。

 あぁっ、またしても・・・なんて、ウソだよ〜ん(あれっ、どうしたんですか)。

 こんなことになるだろうと、あらかじめ火は消しておいたんですよ(なにぃ、今までと

違う展開だ)。

 そうそうドジをぶっこき続けるさくらさんではないのです(成長したんですね、さくら

さん・・・雛鳥を見守る親鳥の気分です)。

 フッフッフ、フが3つ(それ、懐かしい・・・・・・)。

 料理再開です、今日は作者の分まで作ってあげますからね(それはどうもです、今日は

やけに時間に余裕があるんですね)。

 はい、実は昨日は気分が高鳴りすぎて眠れなかったので(もしや、これからの2人のバ

ラ色の人生を妄想していたとか)。

 せっ、正解です、どうして分かったんですかっ(いの一番に思いつきますよ、抱き枕を

ギュッとしながら乙女になってたんでしょ)。

 すごいです、まるで全部見てたかのような的中ぶり(まぁ、見てたんですけどね)。

 見てたんかいっ、まったく油断もスキもあったもんじゃありません(さくらさんに油断

とスキがありすぎるんですって)。

 しかしね、これからのさくらは変わりますよっ(おっ、これは力強いコメントですね)。

 絵里奈さんのように素敵に、紀子姉様のように優雅になるぞぉ(その意気です、さくら

さん)。

 そして、いつかはペコポンを侵略するでありますっ(・・・・・・まだ、さっきの抜け

てないんだな)。

 あっ、とんだ八百長疑惑について語ってる間に完成です(いつ、そんなことを話したっ

け・・・いや、もういいか、別に)。

 今日は背伸びしてみて、天津丼を作ってみました(マジですか、手作りの天津丼なんて

初めてですよ)。

 むふふ、中華店で食べるような天津丼とは一回りも二回りも違うんですよ(すごい自信

だ・・・一体、どのへんが違うんでしょうか)。

 中華店よりも一回りも二回りもグレードが落ちるってことですよ(おいっ、期待させと

いて・・・まっ、尤もといえば尤もではあるけど)。

 ほらっ、まずは食べてみてくださいなっ(そうですね、いただきま〜す、パクリ)。

 どうですか、美味しいですか、作者さん(ウエェッ、なんじゃこりゃ)。

 どっ、どうしたんですかっ、美味しすぎて作者さんの口には合わないということですか

っ(なんで、そんな都合のいい捉え方を・・・逆ですよぉ)。

 まずいってことですか、作った人に向かって失礼すぎますよっ(そういうことではなく、

根本的なものとして天津丼ではありません)。

 天津丼ではない・・・何がどうなっちゃったんですか、いっさいがっさい(いっさいが

っさい・・・「一体全体」の間違いでしょ)。

 そんなことはどうでもいいんです、私の天津丼の何がいけないんですか(多分ですけど、

材料が違ってないでしょうか)。

 何を言いますか、ちゃんとレシピを見ながら作ったん・・・はあぁっ、やってしまった

ぁっ(どっ、どうしましたっ)。

 えらいこっちゃです、これはさすがに・・・いえ、何でもありません(絶対、何かある

だろう・・・言えっ、言いなさいっ)。

 うぅう・・・言ったら、作者さんが怒るから言えませんっ(教えてください、もう食べ

てしまったんだから聞かないと気持ち悪いです)。

 ・・・・・・怒らないって約束してくれますか(はい、怒りませんから)。

 じゃあ・・・すいませんです、片栗粉と薄力粉を間違えて入れてしまいましたっ(へぇ、

片栗粉と薄力粉かぁ、確かに徹夜明けの視界じゃ見間違っても・・・しょうがないわけね

ぇだろうがぁっ、このやろ〜めぇ)。

 はわわわわ、怒らないって言ったじゃないですかぁ(言っただけじゃい、このくるくる

パーがぁっ)。

 ほわわわわ、私をどうしようっていうんですかぁ(そうですねぇ・・・私がさくらさん

のことを料理してさしあげましょうか)。

 ヤダよぉ〜、食べられちゃうよぉ〜、ぬか漬けなんてまっぴらゴメンだよぉ〜(別に限

定はしてませんが・・・命乞いをするなら今のうちですよ)。

 何でもしますから許してくだせぇ、メイドのコスプレで「ご主人様、お帰りなさいませ」

だってやりますからぁ(あいにくですが、私はアキバ系に一切の興味がありませんのでム

ダです)。

 はうぅ、私は何をすればいいんですかっ、身売りだけは勘弁してくだせぇ(そこまでは

いくらなんでも・・・じゃあ、一つ注文してもいいでしょうか)。

 はい、私に出来ることであればやらせていただきます(さくらさん、おにぎりとお味噌

汁を作ってください)。

 へっ、今なんと(だから、おにぎりとお味噌汁を作ってください)。

 ふへっ、そんなんでいいんですか・・・もっと、手の込んだものとかじゃなくていいん

ですか(いいんです、シンプルで)。

 はぁ、それじゃあ作りますね(はい、お願いします)。

 ちなみに、好きな具があったらどうぞ(そうですね・・・おにぎりが梅、お味噌汁が豆

腐を)。

 ラジャア、うけたまわりました(・・・・・・そして、10分後に完成)。

 出来ました、これでよろしいでしょうか(はい、いただきますね・・・モグモグ、美味

しいです、さくらさん)。

 本当にこんなんでいいんですか、なんだか作る側としては張り合いがないんですが(張

り合いのあることをしようとすると失敗するでしょ、さくらさんは)。

 あぁ・・・そうですね、過去を振り返れば(気合いが悪い方へ空回りして、ミスしちゃ

うんですよ)。

 うんうん、どうしてでしょうね(元々、さくらさんは凝ったことなんか似合わないんで

すよ)。

 ムッ、それはどういう意味ですかっ(ムッとせずに聞いてください、ちょっと真剣な話

ですから)。

 はい、それならお聞きします(さくらさんはドの付くストレート人間なんですよ、ヘタ

に凝ったことなんかしなくていいんです)。

 ふむ、なるへそ(そういうのは合わないんです、まっすぐでいいんですよ、さくらさん

は)。

 ふむふむ、なるへそ(富士に対してでも同じです、考えすぎなくていいんです、さくら

さんはさくらさんのまんまでいいんですよ)。

 ふむふむふむ、なるへそ(だって、富士はありのままのさくらさんを見てたんでしょ、

それで好きになってくれたんでしょ)。

 はい、そうです(なら、さくらさんはいつものまんまでいいじゃないですか、そのまん

まで体当たりでぶつかればいいじゃないですか)。

 そうか、そうなんだ、私は私であって私でしかない私なんだっ(・・・・・・ホントに

分かったのかな)。

 作者さん、ありがとうございます、おかげで目が覚めました(お役に立てたようでよか

ったです)。

 シンプル・イズ・ベストですね、これこそが宮前さくらの進む道なのですねっ(頑張っ

てください、富士にちゃんと想いを伝えられるように)。

 ふわぁいっ、さくらは、さくらは告白をするのでありますっ(・・・・・・まだ、抜け

きれてないんだな)。

 さぁ、今日も出発であります、ガチャッ、テッテケテ〜。

「あっ、宮前さん、おはようございます」

 その声は管理人さん、またまたまたまたまたまたまた今日もちゃんちゃんこでお掃除中

ですね(これ、最終的にどんぐらい長くなるんだろう・・・・・・)。

 しょうがないじゃないですか、管理人さんがいつもボキャブラリーのない登場しかして

くんないんだから(管理人さんのせいではないですよ、一応ですが)。

 1回くらい、「おでかけですか、レレレのレ〜」とか言ってくんないのかな(ないでしょ、

絶対・・・あの人のキャラ、知ってるでしょ)。

「おはようございます、いってきます」

 さくらさん、笑顔で挨拶中。

「いってらっしゃい」

 管理人さん、笑顔を継続中。

 そして、さくらさんは通勤開始。



 こちらはフロートアップ、いつもと何違わぬ空気の中で私だけは並々ならぬ決意をもっ

て仕事に取り組んでいるのです(おっ、燃えてますね、さくらさん)。

 はい、今はそのタイミングをうかがっている最中でございます(うぅむ、こっちまで緊

張感が伝わってきますね・・・モグモグ)。

 あれっ、まだおにぎりとお味噌汁を食べてるんですか(タイムワープの間に食べ損ねち

ゃって)。

 食べてくれるのは嬉しいですけど、食器は洗っといてくださいよ(はい、了解でありま

す)。

 作者さんまでケロロ軍曹のマネですか・・・ったく、真面目にやってくれないと困るん

ですよね〜(てめぇ、散々やってたじゃねぇかよ、ギュ〜ッ)。

 はうぅっ、頬っぺをつねらないでくださいっ(まったく、その減らず口だけは健在です

ね・・・大一番の前に食器だけ洗っとこう、ゴシゴシ、ゴシゴシ、キュッキュッ、キュッ

キュッ)。

「ねぇ、ちょっといいかな」

「あぁ・・・いいけど」

 頃合をみて、富士を第二会議室へと呼び出します(今、仕事中じゃ・・・いいか、どう

せ手につかないんだろうし)。

「あのね・・・聞いてほしいことがあるの」

「あぁ・・・うん(どうして呼び出されたか、なんとなく気づく富士)」

 バクバク、心臓がぁ、バクバク(いよいよですか・・・陰ながら見守ってますよ)。

 お前は巨人の星かっ(星明子のつもりじゃないですから・・・なんだ、余裕あるじゃな

いですか)。

 そんなことないですぅ、心臓からトム・クルーズが飛び出しそうですっ(読解不可能で

す、さくらさん)。

「私ね・・・富士のことがね(おっと、いきなりですか)」

「富士のことが・・・そのっ(ためますねぇ、頑張って、さくらさん)」

「すっ・・・すっ・・・すっ(うぅ、かつてない緊張感)」

「すっ・・・すこやかな天気だね(えっ・・・今なんと)」

 ダメですっ、極度の緊張で頭がまわりませんっ(えぇっ、「好き」の2文字を言うだけで

しょ)。

「あぁ・・・今日も暑いな、34℃まであがるらしいよ(意図のつかめない質問だけど、

とりあえず返答しておく富士)」

「へぇ・・・困っちゃうよね、こうも暑いと」

 作者さぁん、私はどうすればいいんですかっ(ここまできて何を言いますか、アタック

あるのみですよ)。

 ふわぁいっ、もう一度、なんとかやってみますのですます(日本語もおぼついてない・・・

大丈夫なのか)。

「あのね、私ね・・・富士のことがね(今度こそ、言っちゃってください)」

「富士のことが・・・そのっ(またためますねぇ、頑張って、さくらさん)」

「すっ・・・すっ・・・すっ(うぅ、かつてない緊張感・・・その2)」

「すっ・・・素敵なシャツだね、それ(えっ・・・再びなんと)」

 ダメですっ、もはや極度の緊張で頭がイカれてますっ(えぇっ、「好き」の2文字を言う

だけでしょ)。

「いやっ・・・これ、普通に古着で買っただけなんだけど(また意図のつかめない質問だ

けど、とりあえず返答しておく富士)」

「へぇ、そうなんだ・・・イケてるよ、それ」

 作者さぁん、私はどうすればいいんですかっ(ここまできて引き返す気ですか、アタッ

クしなさいっ)。

 ふわぁいっ、もう一度のもう一度、なんとかやってみますのですますですます(日本語

がよりおぼついてない・・・大丈夫なのか)。

「あのね、私ね・・・私は富士のことがね(今度こそ、キメちゃってください)」

「富士のことが・・・そのっ(またまたためますねぇ、頑張って、さくらさん)」

「すっ・・・すっ・・・すっ(うぅ、かつてない緊張感・・・その3)」

「すっ・・・スープカレーって好きかな(えっ・・・三度なんと)」

 ダメですっ、もはや極度の緊張で頭がスパークしてますっ(えぇっ、「好き」の2文字を

言うだけでしょ)。

「あぁ・・・食べたことないけど、そういうのが好きなの(またまた意図のつかめない質

問だけど、とりあえず返答しておく富士)」

「うん・・・よかったら、今度どうかなって思って」

「あぁ・・・いいよ、もちろん」

 作者さぁん、私はどうすればいいんですかっ(ここまできて何を言いますか・・・いや

っ、さすがに無理だな、もう)。

「話って、それぐらいかな」

「いやっ・・・うっ、うん、そう」

「じゃあ・・・俺は戻るから」

「うん、分かった」

 トコトコ、バタン(第二会議室を後にする富士)。

 ふわあぁんっ、やってもうたよぉっ(極度の緊張でカチンコチンに固まっていたさくら、

ようやく解放されて崩れ落ちるの図)。

 せっかく断固たる決意で来たのにぃ、あっしは・・・あっしはダメな女でございますっ

(いえ、さくらさんはさくらさんの中で一生懸命頑張りましたよ)。

 うぅう、私を慰めてください、作者さぁん(その必要はないみたいですよ、どうやら)。

 へっ、どういうことですか(後ろです、後ろ)。

「さくら、大丈夫か、こんなところにしゃがみこんで」

 のっ、紀子姉様・・・なぜ、ここに(なぜって・・・フロートアップの会議室に紀子姉

様がいたって何もおかしくないですって)。

「アンタが思いつめた顔で誉とここに入ってくのが見えたからさ、どうしたのかなって思

ったの。まぁ、さしずめ、好きな彼に告白タイムってところかなって予想したんだけど」

 ドキッ、なっ、なぜ、そんなタイムリーに正解を(全部お見通しのようですね、心配し

て来てくれたみたいですよ)。

「よかったらさ、私に話してみない。スッキリするよ、他人に話すと」

「えっ・・・でも、リーダー、仕事中じゃ」

「ちょっとぐらい、サボったって分かりゃあしないって。そうだ、コーヒー入れてきてあ

げるよ」

 紀子姉様・・・私のために仕事を後回しにしてくれるんですか(うぅん、良い先輩です

ね、相変わらず)。

「・・・・・・なるほど、そういう展開になってたんだ」

 私は今日までの富士との関係をありのままに説明しました。紀子姉様は私の話をただう

なずいて聞いてくれました(コーヒー含む姿が様になりますね、さすが出来る女です)。

「そこまでいってるんなら、あとはアンタが富士にしっかり言うだけだよ。それで全てま

とまるんだからさ、勇気出して言ってみようよ。富士はアンタにちゃんと伝えたんでしょ、

次はアンタが富士に好きって伝える番だよ」

「でも・・・いざとなると、恐縮してしまうっていうか、ホントに自分でいいのかなって

なっちゃって」

「何言ってんの、自分に自信持ちなさい。アンタの良いところなんか、私が10でも20

でも言ってあげられるよ。なら、私よりアンタの近くにいる富士はさ、もっとアンタの良

いところを分かってるんだって。もう一度、トライしてみなさい、出来るよね」

「・・・・・・はい、やってみます」

「よし、良い子だっ(さくらの頭をくしゃくしゃ撫でてあげる紀子姉様)」

 紀子姉様の言葉はどれも私の心の芯をつくものばかりで、縮こんでしまった私をまた起

き上がらせてくれました。

「さくら、アンタ結構いい女だからね」

 姉様の去り際の一言、格好いい〜っ(さくらさん、また別の意味で心ここにあらずにな

ってます)。

 紀子姉様のおかげで元気出ました、いい女・宮前さくら、次こそやってみせます(頑張

って、さくらさん)。



 その日の帰り、私は絵里奈さんに誘われて、以前に行った街中にあるイタリアンレスト

ランで夕食を摂りました。

 周りの席にいる仕事帰りのおしゃれさんたち、前は少し窄みましたけど今日は違います

(自信に満ちてる、これまでとは違う確かなる自信に)。

 セミスパークリングの白ワインで乾杯すると、私はタコとカラスミのパスタ、絵里奈さ

んはイカとナスのトマトソースを食していきます。

「花火大会、楽しみだよね」

「はい、去年は感動モノでしたもんね」

 絵里奈さん・・・素敵なお姉さんですが、今はライバルなんですね(図式としてはそう

なりますね)。

 髪型は素敵なミディアム、笑顔も素敵なハニカミスマイル、洋服も素敵なブランドコー

ディネート、体型も素敵なスレンダーボディ、性格も素敵な気配り屋、佇まいも素敵なス

ラッと姿勢・・・間違いなく、いい女です(はい、文句つけるのが難しいですね)。

 私も男だったら狙ってるはずです、敵ながらアッパレでげすよ(そういうさくらさんこ

そ、見せつけてやりなさいな)。

 髪型は素敵なセミロング(うん、これは認めよう)、笑顔はキュートな癒しスマイル(ゲ

ラゲラ笑ってるじゃないですか、テレビ見ながら)、洋服は素敵なブランドコーディネート

(うん、ここは気遣ってますよね)、体型は悪くはないが締まりきらないボディライン(ぷ

よぷよウエスト、いまだ抜けられず)、性格は純情可憐なシンデレラ(ご覧のように、単な

る嘘つきです)、佇まいは伸びきらない若干の猫背(猫はこたつで丸くなる、が思いつくだ

らけ方が常時姿勢なり)。

 間違いなく、いい女・・・無理ですかね、これ(自分で分かってるなら言わないの)。

 うぅ、女としては惜敗です・・・ここに関しては、いさぎよく負けを認めます(残念な

がら、惜敗ではありません)。

「そうだ、今日はね、宮前さんに相談があるんだ」

「相談・・・何ですか」

 絵里奈さんが私に相談・・・中々ない展開だな。

「富士くんってさ、何か趣味とかあるかな」

「趣味・・・ですか」

 富士の趣味・・・そういえば、ちゃんと聞いたことはないかも。

「ごめんなさい、分からないです・・・でも、どうしてですか」

「んっ・・・あのね、今度富士くんを誘おうかなって思って、デートとかそんなんじゃな

いんだけどね」

 誘う・・・富士を、デートみたいなものに(絵里奈さん、動きにきてるみたいですよ)。

「富士くん、普段どういうところに行くのかなって思って。野球観戦はこの前行ったから、

何かそれ以外のところでないかなって。宮前さんなら聞いたことあるかもと思ったんだけ

ど・・・どこがいいのかな、富士くんみたいな人は」

「さぁ・・・よく分かんないです」

 まずいです、このままでは絵里奈さんに先手先手に回られそうです(ダメですよ、後手

後手に回っちゃあ、気がついたら手遅れなんてケースもありますからね)。

「そうかぁ・・・ねぇ、宮前さん、よかったらさ、これからも富士くんのことで相談のっ

てもらえないかな。宮前さん、いろいろ富士くんと接する機会も多いし」

 えぇっ、これじゃあ、絵里奈さんと富士のパイプ役じゃないですか(はっきり言うと、

そういうお願いですね)。

 いけません、そんなこと出来るわけないです(じゃあ、ちゃんと言わないといけません

よ)。

 でも・・・こんな素敵なお姉さんに私がなんて、上位チームに挑む下位チームみたいな

ものです(いいんですよ、上位チームを食う下位チームだってくさるほどいるんですから)。

 それはありますけど・・・私にそれが出来るんでしょうか(紀子姉様の言葉を思い出し

てください、「さくら、アンタ結構いい女だよ」って言ってたでしょ)。

 はい・・・それでも、目の前の絵里奈さんを見てると足元がすくんでしまいます(ダメ

ですよ、ここです、ここが勝負なんですよ)。

 本当に大丈夫でしょうか、私は「いい女」でしょうか(「多分」とか「ところどころ」と

か付属はあれど、私が保障します、さくらさんはいい女ですよっ)。

「絵里奈さん、すいませんっ」

「えっ・・・どうしたの」

「申し訳ないですけど・・・私には出来ません」

「・・・・・・ごめん、何かまずいこと言ったのかな、私(状況がのみこめない絵里奈さ

ん)」

 ここだ、ここで言うんだ、さくらっ。

「私・・・富士のことが好きなんです」

「えっ・・・・・・」

「だから・・・絵里奈さんの相談に乗ることは出来ません」

 言った・・・言っちゃったっ(さくらさん・・・・・・)。

「・・・・・・そうなんだ、ごめん」

「いえ、こちらこそすいません」

「じゃあ・・・私たち、ライバルってことなんだね」

「はい」

「そうなんだ・・・頑張ろうね、お互い(スッ、手を差し伸べる絵里奈さん)」

 えっ、握手ですか(お互いの健闘を祈って、みたいなことでは)。

 あぁ・・・では、ギュッ(握手をかわす、さくらと絵里奈さん)。

「そうか〜、宮前さんも富士くんが好きだったのか〜、気づかなかったなぁ」

「はい・・・・・・」

 なんだ、この動揺を見せてない感じ(えらく涼しい顔ですよね、絵里奈さん)。

 私のような下っ端には負けるはずがない、って余裕ですかね(分かりませんが・・・こ

んなときでも爽やかなんですね)。

 私だったら絶対に動揺しまくりでしょうに、やはり「いい女」は違うんですね(みたい

ですね、さくらさんはどんな感じですか)。

 私ですか・・・すごく晴れ晴れとした、清々しい気持ちでいっぱいです(おや、意外で

すね)。

 絵里奈さんに向かって正面きって言えたことが少し自信になりました(そういえば、気

持ち、顔立ちがスッキリ見えます)。

 はい、なんだかパワーがみるみる身体中に行き渡っていくようです、今なら・・・言え

る気がします(さくらさん・・・もしや)。



 翌日、いつもの出勤時間より30分早く、私はフロートアップに着きました(あれ、い

つもの「翌日」挟みがない)。

 まだ誰もいない会社に私は富士を呼び出し、昨日と同じ第二会議室で二人きりになりま

す(淡々と真面目に進行してる・・・決意は固いようですね)。

「ごめんね、朝早くに呼び出しちゃって」

「いや、大丈夫」

 ドキドキしてる・・・富士のこと、こんな好きなんだなぁ(はい、それが素直な気持ち

ですよ)。

 そのイケてる外見も、イケてない内面も、全部ひっくるめて惹かれてる(いいですねぇ、

さくらさん、良い顔してます)。

「・・・好きだよ・・・」

「宮前・・・・・・」

「・・・私も富士のことが好き・・・」

「・・・・・・あぁ、ありがとう」

 そのまま、私と富士は誰かの物音が聞こえてくるまで会議室で抱き合いました。

 太陽から注がれる夏の日差しは私の右側と富士の左側を温めて、私たちをより気持ちよ

くさせてくれました。



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