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悲しみの蒼空 ~日本と戦う少年~  作者: 蒼空の騎士
第一章 蒼空の戦士
3/4

少年の名

大変お待たせしました!3ヶ月ぶりの更新です。感想、意見などお待ちしています。

2025年 5月5日 午後1時25分


茨城県 航空自衛隊百里基地

第2格納庫前



ここは東日本の防空の要となる、百里基地。この基地には3つの航空隊がある。世界最強とも言われたF-15Jを運用する第305飛行隊。F-4EJ改を運用する第302飛行隊。そして空自最強とも言われる部隊、第33統合戦闘航空団第1戦術戦闘航空隊、通称エンジェル隊。


エンジェル隊が運用するのはF-4ファントムの最終形態とも言われるF-4F改スーパーファントム、F-15イーグルの改造型でカナード翼と3次元推力偏向ノズルを装備し、さらにステルス性能を備えたFR-02散花だ。

この2機種を運用しているのはエンジェル隊だけである。


今日は演習2日目、既に午前中に対地戦闘訓練を終えた機体達が羽を休めている。機種はさまざまで日本、アメリカ、ヨーロッパの各軍用機が駐機され整備が行われている最中だ。

漆黒に塗装されたF-4F改の翼の上に少年は居た。翼の上で音楽を聴きながら空を眺めることが彼の一番好きなことだ。



―― 少年の名は、風見竜一。15歳の少年兵だ。


「お〜い、竜一!」


格納庫付近から一人の少年が走ってきたが、竜一は音楽を聴いているので気づかない。少年は彼のイヤホンを耳から引き抜いた。


「おい!」


「お前は、いつもこうだよな。音量下げて聴けよ…」


竜一はいつも大音量で音楽を聴いている。今日もそうだった。


「おいおい、今いいところだったのによ…で、なんだよ?」


「へっ、聞いて驚くなよ。今日の演習で地上目標10、航空機6機ぶっ飛ばしてやったぜ。撃破数は俺が1番さ!どうだ、すげぇだろ」


「へいへい、よく頑張りましたな。」


竜一はあきれた口調で適当な返答をした。

彼、アルフ・セドリックは対地攻撃の天才と言われているエンジェル隊の3番機パイロットだ。必ずと言っていいほどアルフは演習があるとこうやって自慢してくるのだ。


「なんだよ、冷たい奴だな」


二人は笑顔で話を続けた。

そんな時、罵声が基地に響き渡った。


『おいてめぇ!ろくに整備も出来ねぇならとっとと消えろクズ野郎!』


『てめぇが触ると機体が汚れるんだよ!』


声の聞こえる方向に顔を向けるとそこでは大柄な男2人が14歳ほどの整備士達に罵声を浴びせ、殴る蹴るの暴行をしていた。だが、竜一達は驚くような素振りを見せない。こんなことは日常茶飯事になってきているからだ。


2025年、自衛隊発足以来最も最悪な時期を向かえていた。世界の基準が変わり、徴兵制を導入した自衛隊だったが長引く戦況により大人たちのストレスが爆発し徴兵された少年少女達への暴行が頻繁に起きるようになってしまった。最近は自殺をする者や薬物に手を出す者まで出てきてしまった。また、自衛隊を離れる者も続出し現役の自衛官が発足以来最も少なくなった。

そんな場所でも、彼らは必死に生きて戦い続けていた。どんな困難にも立ち向かわなくてはならなかった。竜一はそれを知っていた。だから、こんな場面に遭遇しても竜一は決して手を出さないようにしているのだ。


暴行をしていた隊員たちは数分後に指令室まで連れていかれたようだ。その後どうなったのかはよくわからないが、おそらく暴行をしていた隊員は階級を剥奪され自衛隊を去ることになるだろう。

こんな事が頻繁になってきているのだから隊員が減るのも当たり前だ。そんなことを竜一は思いながらまた曲を聴き始めた。


明日は演習最終日。この大規模演習の締めくくりとして各国対抗の空戦訓練が行われる。竜一は待ちきれない思いを抑えて、翼の上で眠りについた。


・風見竜一〔かざみ りゅういち〕

年齢 15歳

第33統合戦闘航空団第1戦術戦闘航空隊の1番機パイロット。空戦の腕はピカイチで彼と同じ年齢のパイロットで彼の右に出る者はいない。F-4ファントムをとても気に入っている。趣味は音楽を聴くこと。

・アルフ・セドリック

年齢 16歳

エンジェル隊の2番機パイロット。対地攻撃を得意としている。アメリカ出身で陽気な性格だ。だが彼の過去を知る者はほとんどいない。愛機はFR-02散花。

___________________

・F-4F改スーパーファントム

F-4ファントムの最終形態。ドイツに配備されていたF-4Fを自衛隊用に改良したもの。F/A-18ホーネットのレーダーを搭載し、従来のレーダーの性能を大幅に上回ることができた。また、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)をヘルメットに装着することによってより広範囲の敵を攻撃することが可能となった。機体にはフェライトと呼ばれる特殊な塗料が塗られておりステルス性も多少ではあるが存在する。現在この仕様のファントムは空自に3機しか存在しない。

・FR-02散花〔サンカ〕

F-15Jを元に開発された新型戦闘機。エアインテーク前方上部に大型のカナード翼をつけ、垂直尾翼を外側に少し傾け、さらにエンジンを三次元推力偏向ノズル付きの物を搭載した機体となった。ファントム同様に散花にもフェライトが塗られておりステルス性もある。機動性もF-22を上回るのではないかと言われている。非常に信頼性の高い機体だ。こちらもHMDを付けての空戦が可能だ。この機体はエンジェル隊用に開発されたものであり6機しか存在しない。


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