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第27歩:TRUTH-4

 『神』とは何か。それは大凡――と言うか表面上の概念はよくわかった。で、それが何だというのか。

 僕が聞きたかったのは『大地さん達は一体何なのか』と言うことだ。もしかして和湖さんにうまく話を逸らされてるのか?

 一抹の不安が僕を行動へとかき立てる。


「一体それに何の関係があるんですか。そろそろ本題に入ってください」

「人の話は最後まで聞いてください」


 二人の声は静かに響く。舞うように、楽しむように、踊るように、愉しむように、廻りあう言葉。

 僕の声に厳かさや神々しさは微塵もない。あるのは話の続きを知りたがる子供の短絡さだけ。

 気持ちだけが急いて仕方ない。時間は有り余るほどあるというのに気持ちだけが倍速で進んでゆく。


「『神』が『零』に戻ると言うことがどういうことか分かってますか?」


 責め立てるように聞かれ僕は身を引いた。


「ヒントは『神』とは『人+α』と言うこと」


 突然問題を出された。

 分かるわけない問題だ。数分前に聞いたことを駆使したところでどうにかなるほど薄っぺらいわけではないはずだ。仮にも『神』なのだから。

 それでも考えるべきであるということぐらい理解している。

 人間が『零』の時。それだけで沢山ある。

 『零』。例えば、調和。正と負が均一。足して、加えて零になる。人で言うならば『成人』。

 『零』。例えば、空洞。内容量が虚偽。器だけ、外見だけの存在。人で言うならば『誕生』。

 『零』。例えば――無。持たざる者達。入れず、持たずの完全化。人で言うならば『死者』。

 どれが真実なのだろう。調和、空洞、無―――それとも『   』?

 結局回答はでない。どれもこれも明確ではなく推測の域を出ない。もしかしたら明快な枠がないのが答えなのだろうか。

 最終的に僕はこう答えるしかなかった。


「分かりません」

「そうですか……」


 残念そうにため息をついた和湖さん。いつの間にか仮面のように張り付いた笑みははがれ落ち、最初に見たあの崩れ落ちそうな切なげな顔が瞳の奥から垣間見えた気がする。それも一瞬。また恐怖すら感じる微笑。ただそれは僕ではなく空に向かって投げられていた。


「正解はとても簡単」


 和湖さんは目線をあわせず空に語りかけた。


「赤子に戻る。たったそれだけのシンプルな出来事です」


 語り辛そうに、ノドの奥につっかえているかのように、悲しげに和湖さんは言葉を連ねた。

 答えはまだ、僕の中には何一つ返ってきていない。


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