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第23歩:NO FOUL WORLD

 部屋を出ると一方は行き止まりなのですぐに方向は定まった。

 廊下を少しだけ進むと十字路にさしかかる。家の中にこんな交差があるとは何とも豪勢だ。少し迷ったが、最初鏡に連れてきてもらったときも今から此処に来るときも階段なんてなかった。二つとも別方向から来たので残った一つが正解だろう。

 長い廊下を中程まで行くと案の定、平屋にはあり得ない木製の階段があった。途中で折れ曲がって先の見えない階段。

 本当に此処であっているか迷ったが他にありそうもない。とりあえず上がってみれば分かることだ。

 一段一段を軽快に上る。規則的に籠もった音が連なる度に角に近づく。明かりがなく酷く暗い。続く場所から射し込む光さえも。

 だがそれは長くは続かなかった。

 暗ければ当然視界が無くなる。ならば何かにぶつかるのは当たり前だ。


「うぐっ!」


 鼻をぶつけなかったのは幸いだった。何故なら頭のてっぺんをぶつけたから。

 不意のことだったのでかなり痛い。頭を押さえながら階段から落ちないように必死になって踏ん張る。

 何が起きたのか未だに理解できていないので把握するため『梟騎の瞳』を開いた。普通では集められない光が限界まで吸収・調整されて辺りがよく見えるようになる。最初からこうすれば良かったのだ。それでもあえて使おうと無意識にしていたのは漠然とした嫌悪が僕の中にあるからなのだろう。

 頭を押さえていた手を外して激突したものを見るとそれは天井だった。脇道らしいものはないのでどうやら間違えたらしい。

 引き返そうと思ったがよく見てみると取っ手が付いている。と言うことは開閉可能なのだろう。

 正解らしい。

 とりわけ急ぐ必要もないので壊れたりしないか確認しながら慎重に開く。同時に『梟騎の瞳』を閉じた。おそらくこの先に和湖さんがいるのならば光源があるはず。ならば装備は不要だ。

 少しだけ上に向かって押すと天井にしろいひびが入る。着実に開いている証拠。

 それを確認したので一気に総て開いた。


「うわぁ……」


 思わず漏れた嘆息。

 空は雲一つない快晴。深い藍色の空と太陽光が僕を魅了してやまない。

 汚れなき離れた世界は例えようもないほどに美しく――とても儚く見えた。


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