6.収穫とメンバー
なんとか本日中
であります。
自分は冷めた性格をしているので、たまには、子どもらしいことをしなければとマリスは常々思っている。
変な歌を歌うのもその一環だったりする。……多少恥ずかしくても。
「ピーマン♪トウガラシ♪カッラッカラ~」
「あらマリス、楽しそうな歌ね。」
微妙なリズムで変な歌を歌いながら、マリスは副リーダーのミーザと共に、ルーサの実を収穫していた。
ルーサは、見た目はピーマンそっくりだが、緑色の部分は食べられない。食べられるのは、種の方である。
種はひと月干すと、トウガラシとコショウを足して2で割ったようなスパイスになるのだ。
ちなみに実の部分は食用にはならない。種と同じように乾燥させると、木の皮のように硬くなる。他の植物の苗の根元に敷き詰めると、保温効果が得られる便利な植物である。
茎はとても硬く、専用のはさみで切ル必要がある。しかし、このはさみは威力があるため、収穫するときには、きれいに葉をかき分けないと必要な茎まで切ってしまう。ある程度経験がないと切れないが、マリスは簡単そうに切っていく。……もちろん『能力』によって。
『どんな植物でも栽培できる技術と力』……体が勝手に動くわけではなく、微妙なコツがつかめている状態である。言葉では表現できないけれど、なんとなく分かる。というレベルである。
ちなみに、『力』の方は、使いすぎると弊害が起こる。
―――まだ、マリスには筋力がついているわけではないので、筋肉が負荷に耐え切れず筋肉痛を起こしてしまう。
どちらにせよ、最強な能力にはなりえない。悲しいことに。
閑話休題、4歳児がはさみを一人で扱うのは危険なので、副リーダーのミーザがついているわけである。ミーザは、薄い赤褐色の波打つロングヘアーを後ろで束ねた、17歳の笑顔が素敵なやさしいお姉さんである。グループ内では最年長である。
実は、グループで、2番目に年長者はリーダーを、1番の年長者が副リーダーを勤めることになっている。将来の進路を考える時間をより多く取るために、1番の年長者は補佐という形になる。ちなみに、ミーザは将来、孤児院の職員になるつもりである。
マリスとミーザによって、収穫されたルーサはリーダーのディークによって運ばれる。
運ばれた、ルーサはオネエな口調のカルドーラ(通称カル・カル姉)と暗褐色のソバージュヘアーのピッサによって、半分に切られ、網の上にのせて干されていく。カルドーラはオカマというわけではない。ただ、ガサツをきらい女性らしくなっただけである。そのため、このような細かい作業に適しているといえる。
ピッサも姉御肌で、カルドーラのこだわりすぎによる暴走(?)をしっかり食い止めている。
とてもすばらしい連係プレーにより、予定より早く、収穫は完了した。
11月23日 改訂しました。