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3.言語習得

連続投稿いきます。

乳幼児の言語習得の能力は、半端ないといっても大変なことには変わりがない。


茉莉は転生前の真っ白い空間は、自分の夢だと思っていた。ほしい能力について聞かれたときも、適当に言ってみただけだった。今更もう遅いが、言語理解能力をつけてもらえばよかったと思う茉莉だった。

言葉が分からないままでは人生の楽しさ半減するので、言語の習得に(いそ)しんだのだった


もし、「常に気難しい顔をしている赤ちゃん」だったら普通は変に見えるかもしれない。しかし、幸運にも、乳幼児には本能の部分が多く、特に理性があると都合の悪いときには勝手に意識が沈んでいった。もちろん、いいことばかりではなく、茉莉が気がついたら日が暮れていたということもよくあった。



最初、自分の世話をしている人が母親だと思っていたが、どうやら違うらしい。両親らしき人物は忙しく働いているため、使用人に自分の世話を任せているということは分かった。



まだ、転生して1年経っていないころ、突然家の中が騒がしくなった。言葉が分からないので、いまひとつ状況がつかめていないが、どうやら「引越し」をしたということは理解した。それ以来、両親らしき人の姿を見ることは無かった……。




*************


そうしているうちに、4年ほどの歳月が経過した。


今の自分は、光にかざすと金髪に変わる透明な茶色の髪でとてもふわふわしている。転生前は、真っ黒な直毛だった。瞳の色はさらに不思議な色合いで、青とも水色ともいえない薄青色である。


鏡で見る自分は、普通の4歳児と比べると冷めたような目をしている。まあ、これは仕方がないだろう。精神年齢が高いのだから。

会社でバリバリ働いていた茉莉にとって、この状況は不本意である。せっかくそれなりの地位について自分の思うように仕事ができるようになってきたのに……と思わずにはいられない。


しかし、新しい人生というのも面白いかもしれないと無理やり思うことにした。まだ、試していないが転生が本当なら、『能力』も本当にあるのだろう。

元の世界に戻る方法を探すより、『能力』とやらを使って楽しく生きることにした。


まあ、すでに暗雲が立ち込めているが……。




4年のうちに、こちらの言葉はしっかり理解できるようになった。



そして、分かったことは、自分の名前がマリスで、両親がレストランの集団食中毒によってなくなっているということだった。そのため、孤児院にいる。

ちなみに、苗字は分からない。




マリスのこの世界について考えてみた。

こちらの世界でも、両親がいないのは悲しいと思ったが、その分、孤児院の職員さんはとても優しかった。

生活水準としては、大量生産の概念があり産業革命時代に相当している。それにしては、孤児院は、清潔で食事や衣服も足りていた。これが、マリスのこの世界の印象だった。

この孤児院では、貴族が支援をしている。学費なども保障されている。貴族としては、屋敷で急に人手が必要になったとき、しっかり教育を受けた人間の供給源を確保しているのである。



*****************


ある日、マリスは『能力』について思い出した。これまでは精神的な余裕があまり無かったので、すっかり忘れていた。

まずは、『植物を手のひらの上に出してみる』をやってみた。右手をしっかり握り締め、頭の中には、おいしそうな炊き立てご飯を思い浮かべながら……。


マリスが手を広げてみると、(もみ)つきのコメがちょこんと一粒のっていた。

成功したと思った瞬間、めまいをおこして倒れてしまった。



その日、マリスが目覚めることはなかった。


さて、マリスに何が起こったのか!?

次話、乞うご期待!


(次からは、主人公の名前は完全に『マリス』だけになります。)



11月23日 改訂しました。

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